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その4 アラン視点

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暇だ。暇すぎる……。

「殿下暇そうなお顔をしていますが今からは剣術の時間ですよ。剣術の後は執務もございますよ」

俺付きの執事が言う。
執事のいう事は間違えていないのだが面白くないのだ。
毎日毎日同じことの繰り返しだ。もちろん剣術も執務も勉強だって俺には大事な事であり嫌いでもない。
ただ同じ事の繰り返しで同じ顔ばっかり見ていてもつまらない。
しかしこの事を他の者に言う気持ちもないし努力もする、王族としての義務だからな。

「分かっている」
「殿下もたまには羽を伸ばしたいのでしょうね。」
「……そうかもな」
「そう言えば本日はブロッサム侯爵が御子息殿と登城との事ですよ、執務の前にお会いになられては如何ですか?」
「ユーリーか。そうだな最近会っていなかったな」
「剣術の時間が終わり次第お会いできるよう整えておきますね」
「ああ、頼むよアーサー」

ユーリウス・ブロッサム

ブロッサム侯爵は王国設立以来王家に仕える家で代々の主人は、王家に忠実かつ領民にも慕われている優秀な血族である。
その嫡子であるユーリーも優秀な男だ。
将来は俺の側近として活躍してくれる事だろう信頼のおける男であるのだが……

ユーリーは優秀な男というだけでは足らず顔まで良いのでお茶会に参加しようものならこの俺と並んで令嬢たちに大人気であるのに、未だ婚約者も作らずに飄々としている。
何か欠点でもあるのだろうか?

ユーリーのような家柄の嫡男といえば他家が黙っていないと思うけどな……
とまぁ俺も人の事は言えないのだが……

今度の王妃主宰のお茶会では伯爵位以上の令嬢を集めると母上が申していたのは、俺の婚約者候補と側近候補を決める為らしいのだが、全く乗り気ではない。憂鬱だ

この国の貴族子女は早くて13歳から王立学園に通わなくてはならない。
大体の家は入学前に婚約者が既に決まっており、俺が婚約者を早く決めないと上位貴族の令嬢が優良物件を逃してしまうという事態が起きてしまうのだ。
その件に関しても憂鬱である。
ごてごてと着飾った香水臭い令嬢相手にニコニコと話を聞いているほど暇ではないのだ。

まだ九歳なのに将来の伴侶を決めるなど、
婚約とはなんと言う制度なんだ!
家同士の釣り合い?付き合い?正直面倒だがこれも義務なのだ。分かっている。

母上はそんな事を言うなら貴方の理想のタイプを述べなさい!と言われたが理想のタイプとは何だ?好きになった子がタイプじゃダメなのか?
だからまだ俺にはタイプなどと言うものはない。と言うと母上に揶揄われてその話は終わった。


その点でユーリーとは気が合うのかもな……



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