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大舞踏会です

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 伯父様がシーバ国から帰ってきました。
今回の用向けは、ルアン王国で行われる大舞踏会についてです。
 お父様とお母様が出会ったイベントですね


「ティーナは行きたい?招待されているけれど。向こうの国からも子息令嬢が招かれているから、会いたくないなら行く必要はないよ。でもユリウスとイザークは来るってさ」

「え!お兄様達が?」

「年頃の子息だからねぇ来てもおかしくない。それでしばらく滞在させてくれと言われたから了承したよ」

 よかったね、と頭を撫でられた。嬉しいけどそうやって子供扱いをするのは、ちょっと

「行かなくても良いのですか?」

「参加は自由だから良いよ、無理して行く必要はない」


 そう、無理をして行く必要は無いーーーー
のだけれど、招待状とは別に王妃様から待っています。と書かれた手紙を頂いた
行かないわけにはいかないみたいです


 あれから殿下とはあまりお話をしなくなりました。世話役と言っても転校してから数ヶ月も経ったのだから、案内されることもないですもの


 少し変わったのは、殿下の側近三人が学園に戻ってきた事。
 例のクスリ騒動で、側近の仕事を全う出来なかったという事で、三人とも謹慎、その後騎士団で鍛えていたと聞きました
 側近をかえるという話もあったそうですが、殿下はそれを拒否したようです。


 側近の方が殿下の側から離れるとなると将来は明るくありません。殿下は自分のミスで側近を失いたくなかったようです。


******


「ティーナ、ランチに行きましょう、あら?殿下いらしたんですね。良かったらたまには一緒にランチしますか?」


 ミーナが殿下を誘ったことにより教室がざわめきましました


「いや、遠慮してお、」
「奢ってくださいね。ティーナの分も!貴方から迷惑料貰ってないから」
 にこっと笑顔を見せるミーナ


「ティーナ何食べる?殿下がご馳走してくださるから、今日は贅沢にデザートは二種類頼みましょうね~」

「アルベルティーナ嬢、好きな物を頼んでくれ、遠慮はいらない」

「わたくしまで…申し訳ございません」

「いや、居てくれて助かるよ」

「ほら良いって!サーモンとクリームチーズのサンド美味しそう、でもビーフも捨てがたいわね、ティーナどうする?」

「ふふっ。美味しそう、それをオーダーして半分こしましょう」
「良いわね、それでデザートは二種類!」

 



「あぁ、美味しい。このオレンジソース絶品ね」
「本当、美味しいですね!」


 ミーナはいつもよりちょっと声を大きめで話をしています。まるで周りに聞かせているみたいに…

「あっ。そうだ殿下に報告があるんですよ」
「なんだ?」

「婚約することになったの」
 しれっと報告した


 【ぶはっ】と殿下は少しお茶を吐き出しましたので、すぐにハンカチを渡しました

「すまない、汚してしまった…ハンカチは新たな物を返すよ…」

「そのハンカチは差し上げますので気になさらないでくださいね。驚きましたよね!もうミーナってば殿下がお茶を口にしている時に言わなくても…」


「驚くかなぁ…って思って」

 悪戯心でしょうね…くすくすと笑い出してしまいました


「驚いた…ところで誰と?私の知っている者か?」

「えぇ、よくご存知ですわよ。来年留学を終えて帰ってきます」

「ディーノか!」

 驚いた顔をされていました、幼馴染という事ですものね、ご存知なんでしょう


「えぇ。祝って下さいますよね?」

「それは、もちろんだけど、ディーノは私と会ってくれるだろうか…」

「さぁ?どうでしょうね?」

「ミーナ意地悪はそれくらいにして…」


 殿下もミーナも幼馴染ということで、話し方も変わってきたようです、表情が自然で、ぎすぎすした感じはなくなりました

「ごめんね。つい…。帰ってきたらミーナにも会ってもらいたいの」

「はい、喜んで!ご挨拶させてください」

 お二人の幼馴染なんですね。ミーナの顔が楽しそうなので、きっと良い方なんでしょう


「…そう言えば、アルベルティーナ嬢はいつまで留学を?国へ戻る予定なんだよね」

「そう言えば…決めていませんね…。今度兄達がこちらに来るので…話をしなくてはなりませんね」

「そうよね…わたくしと一緒にルアン王国に来たけど、ミーナは帰る家があるんだもんね」

「……そうだな、寂しくなる」

 せっかく良い雰囲気でしたのに…せっかくミーナと殿下が仲直りしたのに


「お二人ともっ、まだ帰ると決まった訳ではありませんし、そんな顔をなさらないで下さい!せっかくの美味しいデザートが台無しですよ」

「「そう」ね」だね」


 二人と目があい、三人でくすくすと笑いました。ミーナから殿下へ本題に入るようです


「だから許して差し上げますわ。わたくしも婚約をしますし、新たなスタートです。水に流しましょう」


「いや、しかし、」
「お言葉を返すようですが…殿下とミーナが仲良くしてくださると何か変わるような気がしませんか?」


「私が犯した罪は、」
「はい、それは後悔すればよろしいです。反省して下さいね。でももう十分罰は受けてますでしょう?相変わらず皆さんの殿下を見る目は冷たいですもの、辛い立場でしょう?
 わたくしは国外に逃げていたから同情される立場でしたけど、殿下は全てを受け入れたわけでしょう?そこは尊敬しますよ。
 だから許してあげます。幼馴染に戻りましょうお返事は?」


「ヘルミーナ…すまなかった。ありがとう」

「はい、謝罪を受けます」


 皆さんが聞き耳を立てている事を知って、このような人の多いところで…
 ここは学園ですから正式な謝罪ではありませんが、これで噂はあっという間に広まる事でしょう。ミーナは両陛下に謝罪された事で臣下として許していたのですもの。


 これで殿下が学園で過ごしやすくなると良いですね。
 …二人の関係性が羨ましくなりました








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