60 / 75
パーティー2
しおりを挟む
「これは盛大ですね……」
普通の規模ではない。料理も酒も一流品。雇っている使用人もすごい人数、楽団もオーケストラ顔負けの豪華さだった。
「事業がうまくいったことに対するお礼のパーティーらしいが、盛大すぎるな」
殿下の秘書官が言った。
「はい。最近出たパーティーの中では一番金がかかっていますね。従来は派手なことを嫌うタイプの方だったと思うのですが……」
「だな、なんか違和感あるよな」
見知った顔の者も多く、挨拶をして回る。
学園時代の同級生もいた。必ずセイラの事を聞かれるが、今日は先約があって来れなかったんだ。と言う。嘘はついていない。人気の俳優が出るのでご夫人方はそちらに行っている。ふと感じた違和感。
そうだ……女性が少ないんだ!
普通は男女で参加するものだが、男性一人で来ている参加者が多い。私も、秘書官もそうだから目立たないんだけど
「一人で来ている参加者が多いですね。我々もそうだから気がつくのが遅くなりました」
「我々の他にも一人での参加が多いと言うのも不思議だな」
「パートナーがいると、邪魔になる時間があるから、敢えて連れてこなかったのか……今日の人気の舞台に女性陣がこぞって行っているからなのか……?」
わざとこの日にパーティーを?
「伯爵本人が来た……。挨拶するぞ」
「ミランダ伯爵、お久しぶりです。招待いただきましてありがとうございます」
「オリバス伯爵家のウィルベルト殿か! おや? 一人で来たのかい? 噂の婚約者と会えるのを楽しみにしていたんだが?」
「本日は母と観劇に出かけたんですよ。何やら人気があるようで、チケットがようやく取れたようでした」
「そのようだね。人気の俳優が出るのは今日だけらしい。そうだ娘を紹介して良いかい?」
「……えぇ」
娘を紹介……。面倒くさい
「ウィルベルト殿、うちの娘だ今年学園に入学したんだ。クラーラご挨拶を」
「はじめまして。クラーラ・ミランダと申します」
顔をピンクに染め挨拶をしてくる目には熱がこもっているようだった……
面倒なことにならなきゃ良いのだが
「はじめまして。ウィルベルト・オリバスです」
「あとは若い人に任せて私は挨拶に回ろうか。頼むよウィルベルト殿」
何が頼むよ! だ。頼まれても困るんだが……。クラーラ嬢はゴテゴテと着飾っていて、宝石類もこれでもかと言うくらいに付けている。
見ているだけで目がチカチカする
「あー、クラーラ嬢学園は楽しいかい?」
「はい。楽しいです、お友達も出来ましたし」
恥じらいながら答えるが、この時間は一体なんなんだろうか……。
それにこの娘の甘い匂いが鼻につくな。セイラのような砂糖や蜂蜜の優しい甘さとは違う、鼻にこびりつくような香り、頭痛さえしてくる。
「オリバス様、ダンスを踊っていただけませんか? 私はまだ踊っていなくて……」
「私には婚約者がいるんだよ。彼女に悪いから断らせて貰うよ、悪いね」
こう言う娘にははっきりと断るようにしている。面倒くさいから
「確か遠く東の方にある……ルフォール子爵家の方でしたわね、領地に特にこれといった名産は見られない、長閑な所だと習いましたわ」
……案に田舎と言っているのか?
「最近はオリバス伯爵様が販売しているクッキーはとても人気ですね。うちでも購入してますのよ」
「それはありがとうございます」
「お塩を使ったお菓子なんて初めてでした。斬新で流石オリバス家ですわね!」
「あぁ、あれですか? 私の婚約者が考案したんですよ。私はあまり甘い菓子を好まないので、甘さ控えめのものをよく作ってくれるのですが、その一つがたまたま殿下の目に止まって、気に入ってもらえました」
このクッキーの販売は売り上げ好調で、予約が毎日入ってきている。
ついでにうちの塩も人気がうなぎのぼりで良いことずくめで領民のモチベーションも上がった。
「まぁ……! 令嬢がお菓子作りだなんて、珍しいご趣味ですのね。長閑な所でお育ちになられて独特な感性をお持ちなのですね」
「そうですね。そのおかげで刺繍も得意ですし、料理も振る舞ってくれます。
家に帰って、婚約者が作ってくれた菓子を食べながらお茶をするのが私の癒しとなっています。
本人は田舎娘と言うんですけれど、田舎で育ったおかげで現在の彼女があるわけですから。彼女の故郷は素晴らしい所なんですよ。一度行って見てはいかがですか?」
セイラを田舎者とバカにしているが、おまえに生産性なんてないだろう! どう育ったらこんな嫌味な令嬢になるんだろうか。
呆れて物が言えなくなると、クラーラ嬢が言った。
「オリバス様は羽目を外して遊んだりはしないのですか?」
「それはどう言う意味でしょう?」
近寄って耳元でこそっと囁くクラーラ嬢
「オリバス様は頭脳明晰ですもの。カードゲームはお好きですか?」
にたりと笑った。近くに寄られると一層甘い香りがした。
香水とはまた違う、甘い匂いと独特な匂いがする。
「褒められて悪い気はしませんね。ゲームはした事がありませんが、面白そうですね、興味はあります」
目を細め笑うようにクラーラ嬢を見た
普通の規模ではない。料理も酒も一流品。雇っている使用人もすごい人数、楽団もオーケストラ顔負けの豪華さだった。
「事業がうまくいったことに対するお礼のパーティーらしいが、盛大すぎるな」
殿下の秘書官が言った。
「はい。最近出たパーティーの中では一番金がかかっていますね。従来は派手なことを嫌うタイプの方だったと思うのですが……」
「だな、なんか違和感あるよな」
見知った顔の者も多く、挨拶をして回る。
学園時代の同級生もいた。必ずセイラの事を聞かれるが、今日は先約があって来れなかったんだ。と言う。嘘はついていない。人気の俳優が出るのでご夫人方はそちらに行っている。ふと感じた違和感。
そうだ……女性が少ないんだ!
普通は男女で参加するものだが、男性一人で来ている参加者が多い。私も、秘書官もそうだから目立たないんだけど
「一人で来ている参加者が多いですね。我々もそうだから気がつくのが遅くなりました」
「我々の他にも一人での参加が多いと言うのも不思議だな」
「パートナーがいると、邪魔になる時間があるから、敢えて連れてこなかったのか……今日の人気の舞台に女性陣がこぞって行っているからなのか……?」
わざとこの日にパーティーを?
「伯爵本人が来た……。挨拶するぞ」
「ミランダ伯爵、お久しぶりです。招待いただきましてありがとうございます」
「オリバス伯爵家のウィルベルト殿か! おや? 一人で来たのかい? 噂の婚約者と会えるのを楽しみにしていたんだが?」
「本日は母と観劇に出かけたんですよ。何やら人気があるようで、チケットがようやく取れたようでした」
「そのようだね。人気の俳優が出るのは今日だけらしい。そうだ娘を紹介して良いかい?」
「……えぇ」
娘を紹介……。面倒くさい
「ウィルベルト殿、うちの娘だ今年学園に入学したんだ。クラーラご挨拶を」
「はじめまして。クラーラ・ミランダと申します」
顔をピンクに染め挨拶をしてくる目には熱がこもっているようだった……
面倒なことにならなきゃ良いのだが
「はじめまして。ウィルベルト・オリバスです」
「あとは若い人に任せて私は挨拶に回ろうか。頼むよウィルベルト殿」
何が頼むよ! だ。頼まれても困るんだが……。クラーラ嬢はゴテゴテと着飾っていて、宝石類もこれでもかと言うくらいに付けている。
見ているだけで目がチカチカする
「あー、クラーラ嬢学園は楽しいかい?」
「はい。楽しいです、お友達も出来ましたし」
恥じらいながら答えるが、この時間は一体なんなんだろうか……。
それにこの娘の甘い匂いが鼻につくな。セイラのような砂糖や蜂蜜の優しい甘さとは違う、鼻にこびりつくような香り、頭痛さえしてくる。
「オリバス様、ダンスを踊っていただけませんか? 私はまだ踊っていなくて……」
「私には婚約者がいるんだよ。彼女に悪いから断らせて貰うよ、悪いね」
こう言う娘にははっきりと断るようにしている。面倒くさいから
「確か遠く東の方にある……ルフォール子爵家の方でしたわね、領地に特にこれといった名産は見られない、長閑な所だと習いましたわ」
……案に田舎と言っているのか?
「最近はオリバス伯爵様が販売しているクッキーはとても人気ですね。うちでも購入してますのよ」
「それはありがとうございます」
「お塩を使ったお菓子なんて初めてでした。斬新で流石オリバス家ですわね!」
「あぁ、あれですか? 私の婚約者が考案したんですよ。私はあまり甘い菓子を好まないので、甘さ控えめのものをよく作ってくれるのですが、その一つがたまたま殿下の目に止まって、気に入ってもらえました」
このクッキーの販売は売り上げ好調で、予約が毎日入ってきている。
ついでにうちの塩も人気がうなぎのぼりで良いことずくめで領民のモチベーションも上がった。
「まぁ……! 令嬢がお菓子作りだなんて、珍しいご趣味ですのね。長閑な所でお育ちになられて独特な感性をお持ちなのですね」
「そうですね。そのおかげで刺繍も得意ですし、料理も振る舞ってくれます。
家に帰って、婚約者が作ってくれた菓子を食べながらお茶をするのが私の癒しとなっています。
本人は田舎娘と言うんですけれど、田舎で育ったおかげで現在の彼女があるわけですから。彼女の故郷は素晴らしい所なんですよ。一度行って見てはいかがですか?」
セイラを田舎者とバカにしているが、おまえに生産性なんてないだろう! どう育ったらこんな嫌味な令嬢になるんだろうか。
呆れて物が言えなくなると、クラーラ嬢が言った。
「オリバス様は羽目を外して遊んだりはしないのですか?」
「それはどう言う意味でしょう?」
近寄って耳元でこそっと囁くクラーラ嬢
「オリバス様は頭脳明晰ですもの。カードゲームはお好きですか?」
にたりと笑った。近くに寄られると一層甘い香りがした。
香水とはまた違う、甘い匂いと独特な匂いがする。
「褒められて悪い気はしませんね。ゲームはした事がありませんが、面白そうですね、興味はあります」
目を細め笑うようにクラーラ嬢を見た
1
お気に入りに追加
3,431
あなたにおすすめの小説
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
【完結】騎士団長の旦那様は小さくて年下な私がお好みではないようです
大森 樹
恋愛
貧乏令嬢のヴィヴィアンヌと公爵家の嫡男で騎士団長のランドルフは、お互いの親の思惑によって結婚が決まった。
「俺は子どもみたいな女は好きではない」
ヴィヴィアンヌは十八歳で、ランドルフは三十歳。
ヴィヴィアンヌは背が低く、ランドルフは背が高い。
ヴィヴィアンヌは貧乏で、ランドルフは金持ち。
何もかもが違う二人。彼の好みの女性とは真逆のヴィヴィアンヌだったが、お金の恩があるためなんとか彼の妻になろうと奮闘する。そんな中ランドルフはぶっきらぼうで冷たいが、とろこどころに優しさを見せてきて……!?
貧乏令嬢×不器用な騎士の年の差ラブストーリーです。必ずハッピーエンドにします。
【完結】妹にあげるわ。
たろ
恋愛
なんでも欲しがる妹。だったら要らないからあげるわ。
婚約者だったケリーと妹のキャサリンが我が家で逢瀬をしていた時、妹の紅茶の味がおかしかった。
それだけでわたしが殺そうとしたと両親に責められた。
いやいやわたし出かけていたから!知らないわ。
それに婚約は半年前に解消しているのよ!書類すら見ていないのね?お父様。
なんでも欲しがる妹。可愛い妹が大切な両親。
浮気症のケリーなんて喜んで妹にあげるわ。ついでにわたしのドレスも宝石もどうぞ。
家を追い出されて意気揚々と一人で暮らし始めたアリスティア。
もともと家を出る計画を立てていたので、ここから幸せに………と思ったらまた妹がやってきて、今度はアリスティアの今の生活を欲しがった。
だったら、この生活もあげるわ。
だけどね、キャサリン……わたしの本当に愛する人たちだけはあげられないの。
キャサリン達に痛い目に遭わせて……アリスティアは幸せになります!
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】婚約を信じた結果が処刑でした。二度目はもう騙されません!
入魚ひえん
恋愛
伯爵家の跡継ぎとして養女になったリシェラ。それなのに義妹が生まれたからと冷遇を受け続け、成人した誕生日に追い出されることになった。
そのとき幼なじみの王子から婚約を申し込まれるが、彼に無実の罪を着せられて処刑されてしまう。
目覚めたリシェラは、なぜか三年前のあの誕生日に時間が巻き戻っていた。以前は騙されてしまったが、二度目は決して間違えない。
「しっかりお返ししますから!」
リシェラは順調に準備を進めると、隣国で暮らすために旅立つ。
予定が狂いだした義父や王子はリシェラを逃したことを後悔し、必死に追うが……。
一方、義妹が憧れる次期辺境伯セレイブは冷淡で有名だが、とある理由からリシェラを探し求めて伯爵領に滞在していた。
◇◇◇
設定はゆるあまです。完結しました。お気軽にどうぞ~。
◆第17回恋愛小説大賞◆奨励賞受賞◆
◆24/2/8◆HOT女性向けランキング3位◆
いつもありがとうございます!
【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです
たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。
お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。
これからどうやって暮らしていけばいいのか……
子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに……
そして………
身分を捨てて楽になりたい!婚約者はお譲りしますわね。
さこの
恋愛
ライアン王子には婚約者がいる。
侯爵家の長女ヴィクトリアと言った。
しかしお忍びで街に出て平民の女性ベラと出あってしまった。
ベラと結婚すると国民から人気になるだろう。シンデレラストーリだ。
しかしライアンの婚約者は侯爵令嬢ヴィクトリア。この国で5本指に入るほどの名家だ。まずはヴィクトリアと結婚した後、ベラと籍を入れれば問題はない。
そして結婚式当日、侯爵家の令嬢ヴィクトリアが来るはずだった結婚式に現れたのは……
緩い設定です。
HOTランキング入り致しました.ᐟ.ᐟ
ありがとうございます( .ˬ.)"2021/12/01
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる