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レオの失態

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「レオ~! 遊びにいこっ!」 

 授業が終わりアイリに声を掛けられた。
 すっと隣に座っていたウィルベルト・オリバスが立ち上がり席を離れた。その際に軽蔑するような目で俺を見た

「あぁ、行くか。むしゃくしゃするから」
 片手で頭を掻きむしった

 腕を組み廊下を歩いていた


「ねぇ、ウィルベルト・オリバス様と仲良かったっけ?」

「いや全く」

「さっき話していたから! 例の話でしょ?」

「例の? なんのことだ」

「セイラちゃんとラブラブなんだって~! なんだかお似合いよねぇ。だからオリバス様には婚約者いなかったんだぁって噂だよ」

「ラブラブって…」

 ラブラブ? ウィルベルト・オリバスが? セイラと
 あいつセイラ何してんだよ!



「私たちみたいだね! レオ」

 その後もむしゃくしゃした。セイラとウィルベルト・オリバスだと? あり得んだろ
 田舎の子爵家の娘と伯爵家嫡男なんて!

「ねぇ、まだイラついてるの? なんかあったー?」



「悪い。アイリには関係なかったな」

「うーん。じゃあ……」






 連れて行かれた先はカジノだった。

「おい、帰るぞ」

「むしゃくしゃしたときにはこれでしょっ! 合法だもん、大丈夫。おにいさーん、黒の2にベット」

「はい」


 ルーレットで遊び始めるアイリ。それにしてもこんな場所があるんだ……。
 知らなかった。プレイしている人を見ていて、ルールを覚えた、なるほど


 いろいろ見て回ってブラックジャックとポーカーをプレイした。

 中々奥が深い……勝ったら金が倍になった。


「レオ! そろそろ帰ろう!」

「そうだな、帰るか」

「兄さん、勝ち逃げか? また待っているからな」



「レオすごぉーい。私は負けちゃった。また来ようね!」



 その後何回かカジノへ足を踏み入れることになった。
 そろそろやめないと中毒になる。


 カジノの周辺では、負けた男達が項垂れていた。それでもまたカジノに来るんだろう



 次のテストでの成績はなんとか上がりキープしている。
 一体何回テストがあるんだよ……家にも三通に一通は返事を返すようになった。
 手紙には、長期休暇にセイラと帰ってくるようにと書かれていた。それも悪くないかと思い始めた時だった




 学園長室に呼び出される事になった



******



「セイラ様、わたくし先程レオ・ファーノンが先生に呼ばれて学園長室に行くのを見てしまいましたの」
 こそっとフローラ様に耳打ちをされました


「えっ!」

 何かあったのか…レオには構わないと言ったけど、やはり気になりました

 もうすぐ授業が始まりますので、授業が終わった後に先生に相談をしたいと思います。



「先生!」
「あぁ、どうした?」
「お話があって」

 先生とは言え二人になると変な風に見られても困りますので、事情を知っているフローラ様が付き添ってくださいました


「レオ・ファーノンの事だろ? こっちへ」

 相談室と言う名の個室に入りました


「フローラ嬢がいると言うことは、君の婚約者が誰だか分かっていると言うことだな?」


「はい」


「あいつはカジノに出入りしていた」

「えっ! レオが、そんな所に」


 頷く先生

「成績も上がってきていたから、なんとか退学は免れたが、厳しいぞ……、取り敢えず謹慎一ヶ月ってところかな。
  課題もたくさん出るし、寮から一歩も出すつもりはない」


「そうですか」
「速達で親御さんに手紙を出した。君は悪くないが、あいつと話し合いはしたんだよな?」

「喧嘩をしてしまって……」



「ユベールにこの事は話した方がいい。早く家に帰れ、何かユベールに言われたなら私が相談にのるから話をつけてやる」



 先生との話は終わり部屋を出たら、足元がふらついてきました。力が入りません

「セイラ様!」


 倒れそうになり、なんとか廊下の壁に手をつきました


 たまたま職員室から出てきたウィルベルト様に見られてしまいました。なんというタイミングでしょうか……見られたくなかった



「セイラ嬢? どうした!」
「ウィルベルト様、大丈夫ですから気になさらずに」


「そんな顔して大丈夫な訳あるか! 馬車まで送る。確か……君はアルヴィエア侯爵のフローラ嬢」


「はい。オリバス様」


「私は彼女と知り合いだ、安心してくれ。悪いが彼女のカバンを持ってきて貰いたい」


「はい」


「よし、それじゃあ失礼する」
 背中と膝裏に手を添えられて持ち上げられた。

「きゃぁっ」

「落とされたくなかったら、私に捕まっていろ」


「セイラ様、歩くこともままならないのだからオリバス様に甘えましょう」



「恥ずかしいです……」

「羞恥心はあるのだな。顔を埋めて隠しておくといい」



 すたすたと歩き出すウィルベルト様、私重いのに


「何があったかは知らないけれど、こんな事歩けないになっているから隠すのは得策ではない。落ち着いたら話を聞かせてもらうからな」





「はい」









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