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ジェレミー視線
しおりを挟む「ジェレミー、おはよう。良い朝ね」
僕は最悪な朝だ。なんで朝からこの女の顔を見なくてはならないのか。
「レイラさん、おはようございます」
誰でも良いから早く帰ってきてくれないかな……レイラと二人なんて苦痛だ! 僕の大好きなアリス姉様が家を出て行ってしまったんだ!
「昨日何か変わったことがあった? ジェレミー何か知らない? アリスも居ないし」
「……僕は部屋にいたので」
いま、アリス姉様の事呼び捨てにしたか?
「アリスが生意気だからフランツに婚約破棄をされたのよ……本当に恥よね。伯爵様が帰ってきたら悲しまれるわね。せっかくの王家との縁談だというのに。情けないわ、それで私がアリスの代わりに嫁ぐ事にするの」
「言っている意味が分かりませんが、父上が帰ってきたら話をしたら如何ですか?」
ナプキンで口を拭い、朝食を終えた。こいつの顔を見ながらパンを食べても美味しくない。
むしゃくしゃするから剣の稽古でもしようと思い、稽古場へ行った。
ぶんぶんぶん……くそっ。父や兄がいないと何もできない自分が嫌だ! どうしようかな……出来ることをしなくては!
アリス姉様は確かフェリクス第三王子殿下にグレマンへと言われたと言っていた。
第三王子殿下とは何度かお会いしたことがある。僕の剣の師が第三王子殿下を教えていたことがあるから……
よし。失礼を承知で手紙を書こう。
すると返事が返ってきた。取り敢えずアリス姉様の事はお願いする事にした。
僕に出来る事は取り敢えず、家でレイラと第五王子を見ておけ。って?
使用人にもその旨を伝えておこう。何事にも準備は必要だ。
誰でも良いから早く帰ってきて!
******
しばらく思考していると、アリス姉様が乗っていった馬車が戻ってきた。もしかしてアリス姉様が……
なんて淡い期待をしたが、いるわけは無くて……
御者にどこまで乗せていったのかと詳しく聞くことにした。
王都の外れで降ろすように言われて、仕方がなく降ろしたのだそうだ。
まさか一人じゃないだろうね……と聞くと、アリス姉様の執事と侍女が無理やり付いていったそうだ。ほっ。安心した。
姉様の執事は執事長の次男で、姉様が生まれた時からずっと世話をしていると聞く。
侍女は侍女長とシェフの娘で姉様よりも三歳上で、姉様が姉の様に慕う人だ。
姉様と一緒に居てくれて良かった!
姉様……なんとか頑張ってくれ。何もできなくてごめん。
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