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番外編
ハリー
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騎士団に入団した。決してあの男の勧めがあったからではない!
「ハリー・グレイヴス! ノロノロするなっ!」
「はいっ」
騎士団に入団したまではいいが、何が近衛だ! 入団後はどの隊に入るかで将来が決まる……まさか鬼軍曹の隊に入ることになるとは……
はぁっ、はぁっ。吐きそうだ。
「なんだ! もう根を上げたのか。体力の無いやつだな! おまえ学生だったな! うちの隊は文武両道をモットーにしているから赤点なんて取ったら訓練は倍に増やしてやるからな!」
……マジか。寝る間を惜しんで勉強する羽目になる。
なんとかBクラスの真ん中に滑り込めた。今までお茶会だなんだと無駄に遊んでばかりだった。と思った。こんなにマジメに勉強したのは初めてだった(訓練が倍なんて死んでしまう)
令嬢に声をかけられれば、いい顔をしていた俺だが今、声をかけられてもそんな余裕も時間も無い! 新人騎士の俺は学園が終わり次第練習場にまっしぐらだ!
「ハリー・グレイヴス遅いぞ! 罰として二十周走り込み!」
「はいっ!」
これでも真っ直ぐ来たんだけどな! なんて言ったら四十周になりそうだから口答えはしない。
走り込みの次は木刀を持ち素振り千回。腕がパンパンになった。
やっと休憩時間になり、汗を拭き水を飲む。
「ハリー・グレイヴス。ようやく顔が締まってきたな」
「ありがとうございます!」
何か言われたらとにかく“ありがとうございます!”これが挨拶だ。
「入ってきた時は単なる顔だけで近衛志望の坊ちゃんかと思っていたが、思ったより根性がある」
「ありがとうございます!」
上官に褒められた。
「追加で素振り百本だ!」
「……ありがとうございます」
「不服か? 追加で五十!」
「っありがとうございますっ!」
走ってこの場を去った。上官が見ているから素振りでも力を抜けない!
その後訓練を終え、ヘトヘトになりシャワー室へと向かっていると俺の名前が聞こえてきたのでこっそり近くへ行き聞き耳を立てる。
「ハリー・グレイヴス頑張っていますね」
「そうだな。自信をなくすほど鍛えてやってくれと坊ちゃんから言われている」
「あれ? 私は小公爵様からこの部隊に入れ鍛えてやってくれ。と言われましたが……」
坊ちゃん? って誰だ。それに俺は小公爵様と面識などないのだが……
「坊ちゃんの婚約者に手を出そうとしたんだろう? ロワール領の大事な方に手を出そうとした罪は深い。私は引退後ロワール領に戻るつもりだ。亡くなられた奥様の様に優しい方だと聞く。あぁ早く引退したい」
「え! ずるいですよ。私もロワール領に戻りたいんですよ。早く息子が変わってくれないかな……」
「おい、おい。子供に無理させるなよ。世襲制じゃないからな」
「息子が騎士になりたいと言って騎士団に入ったのですから良いんですよ! あっ、そうだこれ、休みの届けです。花まつりがあるので休みますから!」
「それはいかんぞ! 私も休暇予定だ! 坊ちゃんの婚約者のご家族を招くんだから周辺警備の確認をしたい! 何かあってはロワール領の名に傷がつく!」
「それは他の騎士たちを信じていないということになりますよ、素直に祭りを楽しまないと!」
ん? 坊ちゃんの婚約者、ロワール領……あいつか! この辛い訓練もあいつのせいか! くそぉ……絶対に弱音を吐くものか! 見てろよ!!
「ハリー・グレイヴスどうした? 今日は気合いがちがうな」
今日は学園が休みで朝一番に練習場にやってきて一人で準備を整えた!
「ありがとうございます!」
「褒美に私が手合わせをしてやる」
鬼軍曹と手合わせか! どれだけ強いんだ?
結果はボロ負け。呼吸をするのもしんどい。俺は遊ばれて体力だけを失った。
「ふむ。体力は付いてきたな。新人の中でもそこそこ使えるんじゃ無いかな。おまえが強くなってくれたら私の引退も早まるかもな。その頃には坊ちゃんに子供ができて稽古をつける指南役になりたいものだ。言っておくが坊ちゃんは強いぞ? 私でも勝てる。とは言い切れないな」
聞き耳を立てていたのがバレている!
「騎士団長ってのは家柄がよく、そこそこ強くて頭が切れないとなれんのだが、おまえが本気で強くなりたいという気持ちがあれば騎士団長に勝てるくらいになるかもな。センスは悪く無いがもっと頭と体を使え。騎士団長に認められれば近衛も近づくぞ。今のうちに身辺は綺麗にしておけよ」
「っありがとうございます!」
「聞き耳を立てた罰として体力が回復次第、十周走ってこいよ」
「あ、ありがとうございます……」
地獄だ……だが負けないからな! ジルベルト・ロワール!! おまえより強くなってやろうじゃないかっ!
その後強くはなりはしたが、結局鬼軍曹の跡を引き継ぐことになった。近衛から声も掛かったんだが、この部隊も悪くないと思う俺は洗脳されてしまったのだろうか。
婚期がますます遅れたのはいうまでも無い。
「ハリー・グレイヴス! ノロノロするなっ!」
「はいっ」
騎士団に入団したまではいいが、何が近衛だ! 入団後はどの隊に入るかで将来が決まる……まさか鬼軍曹の隊に入ることになるとは……
はぁっ、はぁっ。吐きそうだ。
「なんだ! もう根を上げたのか。体力の無いやつだな! おまえ学生だったな! うちの隊は文武両道をモットーにしているから赤点なんて取ったら訓練は倍に増やしてやるからな!」
……マジか。寝る間を惜しんで勉強する羽目になる。
なんとかBクラスの真ん中に滑り込めた。今までお茶会だなんだと無駄に遊んでばかりだった。と思った。こんなにマジメに勉強したのは初めてだった(訓練が倍なんて死んでしまう)
令嬢に声をかけられれば、いい顔をしていた俺だが今、声をかけられてもそんな余裕も時間も無い! 新人騎士の俺は学園が終わり次第練習場にまっしぐらだ!
「ハリー・グレイヴス遅いぞ! 罰として二十周走り込み!」
「はいっ!」
これでも真っ直ぐ来たんだけどな! なんて言ったら四十周になりそうだから口答えはしない。
走り込みの次は木刀を持ち素振り千回。腕がパンパンになった。
やっと休憩時間になり、汗を拭き水を飲む。
「ハリー・グレイヴス。ようやく顔が締まってきたな」
「ありがとうございます!」
何か言われたらとにかく“ありがとうございます!”これが挨拶だ。
「入ってきた時は単なる顔だけで近衛志望の坊ちゃんかと思っていたが、思ったより根性がある」
「ありがとうございます!」
上官に褒められた。
「追加で素振り百本だ!」
「……ありがとうございます」
「不服か? 追加で五十!」
「っありがとうございますっ!」
走ってこの場を去った。上官が見ているから素振りでも力を抜けない!
その後訓練を終え、ヘトヘトになりシャワー室へと向かっていると俺の名前が聞こえてきたのでこっそり近くへ行き聞き耳を立てる。
「ハリー・グレイヴス頑張っていますね」
「そうだな。自信をなくすほど鍛えてやってくれと坊ちゃんから言われている」
「あれ? 私は小公爵様からこの部隊に入れ鍛えてやってくれ。と言われましたが……」
坊ちゃん? って誰だ。それに俺は小公爵様と面識などないのだが……
「坊ちゃんの婚約者に手を出そうとしたんだろう? ロワール領の大事な方に手を出そうとした罪は深い。私は引退後ロワール領に戻るつもりだ。亡くなられた奥様の様に優しい方だと聞く。あぁ早く引退したい」
「え! ずるいですよ。私もロワール領に戻りたいんですよ。早く息子が変わってくれないかな……」
「おい、おい。子供に無理させるなよ。世襲制じゃないからな」
「息子が騎士になりたいと言って騎士団に入ったのですから良いんですよ! あっ、そうだこれ、休みの届けです。花まつりがあるので休みますから!」
「それはいかんぞ! 私も休暇予定だ! 坊ちゃんの婚約者のご家族を招くんだから周辺警備の確認をしたい! 何かあってはロワール領の名に傷がつく!」
「それは他の騎士たちを信じていないということになりますよ、素直に祭りを楽しまないと!」
ん? 坊ちゃんの婚約者、ロワール領……あいつか! この辛い訓練もあいつのせいか! くそぉ……絶対に弱音を吐くものか! 見てろよ!!
「ハリー・グレイヴスどうした? 今日は気合いがちがうな」
今日は学園が休みで朝一番に練習場にやってきて一人で準備を整えた!
「ありがとうございます!」
「褒美に私が手合わせをしてやる」
鬼軍曹と手合わせか! どれだけ強いんだ?
結果はボロ負け。呼吸をするのもしんどい。俺は遊ばれて体力だけを失った。
「ふむ。体力は付いてきたな。新人の中でもそこそこ使えるんじゃ無いかな。おまえが強くなってくれたら私の引退も早まるかもな。その頃には坊ちゃんに子供ができて稽古をつける指南役になりたいものだ。言っておくが坊ちゃんは強いぞ? 私でも勝てる。とは言い切れないな」
聞き耳を立てていたのがバレている!
「騎士団長ってのは家柄がよく、そこそこ強くて頭が切れないとなれんのだが、おまえが本気で強くなりたいという気持ちがあれば騎士団長に勝てるくらいになるかもな。センスは悪く無いがもっと頭と体を使え。騎士団長に認められれば近衛も近づくぞ。今のうちに身辺は綺麗にしておけよ」
「っありがとうございます!」
「聞き耳を立てた罰として体力が回復次第、十周走ってこいよ」
「あ、ありがとうございます……」
地獄だ……だが負けないからな! ジルベルト・ロワール!! おまえより強くなってやろうじゃないかっ!
その後強くはなりはしたが、結局鬼軍曹の跡を引き継ぐことになった。近衛から声も掛かったんだが、この部隊も悪くないと思う俺は洗脳されてしまったのだろうか。
婚期がますます遅れたのはいうまでも無い。
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