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ジルベルト

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 ~ジルベルト視点~

「ジルベルト様、たくさんプレゼントをしてくれてありがとうございます。でもこんなに良いの? まだ正式に婚約もしてないんだよ」

 オフィーリアが喜んでくれるのならどれだけでも! と言いたいが予算はある。父は婚約者となる子に初めてプレゼントする物に値段は関係ない。気に入ったものをプレゼントしてあげなさい。と言ってくれた。そして予算内に収まってしまった……僕もそうだけどオフィーリアはゴテゴテしたものは苦手だ。そういうところも好ましい。

「僕がプレゼントした物をオフィーリアが身につけてくれるのは嬉しいよ。それにこの首飾りもつけてくれるんだろう? 誕生日にお古というのはどうかとも思ったんだが……」
「嬉しいよ! お母様の……形見なんでしょう? それを私にくれるって事は認められている感じがします。それにデザインもステキだし大事にするね」

 オフィーリアは笑顔で言ってくれたのが嬉しい。町娘姿のオフィーリアも可愛かったけれどドレスで着飾ったオフィーリアも可愛いんだろうな……母にも会わせてあげたかった。僕の好きなオフィーリアだよ。って紹介すれば喜んでくれただろう。

「早く来月にならないかな……そうしたらオフィーリアが正式に婚約者だと周りに周知されるのにな」
「うん。皆に認められるように頑張る。そして来年はAクラスになって一緒にいられたらいいな」

「大丈夫だよ。ルシアンが付いているし、オフィーリアはちゃんと理解しているからすぐに成績が上がるはずだ」

「だと良いけれど。これで成績が上がれば先生クビになっちゃうかも?」

 冗談混じりにオフィーリアは言った。

「クビにはならないと思うよ」

 土壌改革などカルメル領で忙しく過ごしていると聞いている。


 そして週が明け学園に行く。


「ジルベルト・ロワール話がある。ついて来い!」

 朝っぱらから何だよ……

『我々は入学当時からオフィーリア・カルメル嬢に好意を持っている。我々は話し合いの結果、抜け駆けなしでオフィーリア嬢を見守ってきた。なのに君はオフィーリア嬢にちょっかいをかけている。ルール違反をしているんだ、分かるか?』

 以前こんなことを言われた子息達か……

「こんな所に連れてきて一体何の用事?」

 裏庭に連れてこられた。朝から裏庭に生徒は来ない為人目につかない場所だ。

「君には先日注意したはずだ! オフィーリア・カルメル嬢にちょっかいをかける事は禁ずると! フェロウズ公爵令嬢と親しくしているからといって、休日にオフィーリア・カルメル嬢を独占するとは何事か!」

 買い物を見られていたのか。別に良いけど。隠すつもりもない。あれはデートだ。


「聞く所によるとドレス店や宝飾品店へ行きオフィーリア嬢を物で釣っていると、」
「はぁ? オフィーリアは物で釣られるような令嬢ではない! オフィーリアを侮辱するのは許さない」

 聞き捨てならない! オフィーリアは物をねだった事なんて今まで一度もない!(サツマイモは別だ)逆に買い与えたいくらいだ!

「それに僕は君たちの言う“抜け駆け禁止”という意味のわからない条約に了承したつもりはない。好意を持っているなら正々堂々と戦うがいい! 言っておくけれど僕はオフィーリアが大好きだし本人にも伝えてある」

「何だって!」

「君たちも釣書を送ったりしたのだろう? それで断られたのなら諦めれば良いものを団体で見守るだなんて気色の悪い……話が以上ならここで失礼する」

 待てだの、話の途中だのと言っているが放っておこう。そんな事をぬかしても来月には諦めるだろう……婚約者同士の間に割って入るのは御法度だし、的外れな婚約破棄にもペナルティがついて回る。

 僕は正直言ってラッキーだ。フローリア嬢のおかげで知り合いになれてルシアンも協力してくれた。サツマイモを我が領地で育てていたというのも大きな幸運に繋がった。オフィーリアと気持ちが通じたのだから僕は何が何でもオフィーリアを幸せにすると決めた。

 校舎に向かっているとオフィーリアが登校してきたようで声をかけられた。

 
「ジルベルト様! おはよう。良い天気だね」
「おはよう。オフィーリア一人?」
「うん」
「教室まで送るよ」

 オフィーリアのカバンを奪い自分のものと二つ持つ。

「今日は教科書が多くて重いよ、自分で持つからいいよ!」
「これくらい大した事ない。僕は意外と力持ちなんだよ」

 何気ない会話をしてオフィーリアを教室まで送った。また昼に迎えにくる。と伝えて。この時にかなり人に見られていたんだが、オフィーリアには気にしないでおこう。と言った。

 あまりにも堂々としていたものだから、オフィーリア見守り隊ファイブ(勝手に命名)から果たし状まで送られてくることになった。


 もちろん受け取った。負ける気がしないからね……もちろんオフィーリアには内緒。


 

 
 
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