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褒められると伸びるタイプ

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あくる日のティータイムに叔父と叔母、セドリックが揃った
「叔母さま、出来上がりました」
ハンカチとクッションカバーに刺繍をして見せるアイリーン
「あら!本当に上手じゃないの!驚いたわ」
イネスに褒められ喜ぶアイリーン
「こんな短時間でこんなに早く刺繍をするなんて…オルガアイリーンの母も上手でしたけど、それ以上ね…」
「そんなに褒められると照れますけど、このハンカチは叔母さまと叔父様に」
色違いのお揃いのハンカチに刺繍をした

「ありがとう、嬉しいわ」 
「アイリーンありがとう、嬉しいよ」
叔父と叔母に軽く頬にキスをされる

「このクッションカバーはお兄様に…この前破れたとお聞きしたので…少し可愛いすぎるかしら?」
照れながらも渡す
「凄いな…嬉しいよ勿体なくて使えない」
セドリックにまじまじと刺繍を見られ恥ずかしくなる
「そんなに見ないで!失敗したところもあるの!」

ニヤニヤするセドリック
「お礼に明日の祭りでは好きなものをプレゼントするからね」
「それは良いな、アイリーンなんでも買ってもらいなさい、人が多いから絶対にセドリックから離れたらダメだよ!」
叔父にきつく言われる

「はい、何を買ってもらおうかしら、楽しみねお兄様」
「ふふ、祭りに高価なものはないからね、好きなだけ買ってあげよう」
ドヤ顔のセドリックとみんなで笑い合う


明日の収穫祭に着て行く服はシンプルなワンピースだ。
村人に紛れて楽しむために用意されたものだった。

次の日の朝は朝食を食べ、庭師のアンドレにハンカチを渡した。
「すぐに汚れる勿体ないから、こんな高価なものは貰えない」
と言われたが、またハーブについて教えてもらいたいからお礼を兼ねている、貰ってくれないのなら捨てるしかない!と押し付ける形で受け取ってもらった

お昼前には邸を出るとの事で準備をする事になった。
シンプルなワンピースに、伸びて来ていた前髪を眉毛にかかるか、かからないくらいの長さに切りそろえられ視界が明るくなる。
薄化粧をされ、出かける準備ができた頃にセドリックが部屋をノックした
「用意出来た?」

シンプルなシャツとベストと細身のパンツという装いだったが、イケメンは何を着ても似合う
「お待たせしました、おかしくない?」
おずおずと出てくるアイリーン
「前髪切ったの?可愛いよ」
頬をピンクに染めて
「気がついた?短すぎるようで…」
「なんで?可愛いよ、さぁ行こう」
収穫祭が行われる村の近くまで馬車で行くことになっている

「人が多いから村まで馬車で行くと迷惑になるから歩くけど良い?」
「うん、もちろん」
長閑な道を馬車で進むと外からはガヤガヤと楽しそうな声が聞こえてくるので、窓を見ると沢山の人が収穫祭の会場に向けて歩いていた。
「そろそろ人が増えてきた事だし降りようか」
馬車は村の外れに停め歩く事となった
まずは収穫祭が始まる会場へと向かう
「父上が収穫祭の開始の合図をすることになっているんだ」
領主の仕事なんだろうなーとアイリーンは考える。

「収穫祭が迎えられるのは実りがあってこその事だから今日は無礼講で葡萄酒が振る舞われる、酔っ払いも多いんだ気をつけて」
「はい、はぐれないように気をつけなきゃ」
会場に着くとわいわいと賑わっていた。
会場の裏側に周り来賓用の目立たない席に座る事となった。
しばらくし会場の雰囲気を味わっていると、叔父と叔母が収穫祭の開始となる挨拶を始め、祭りが開始となり、皆が葡萄酒の振る舞い酒を楽しむ事となった。
セドリックとアイリーンは会場を抜けて祭りの屋台を見て回る事にした
「わぁ!初めて見る…丸焼き!」
驚くアイリーン
「美味しいんだけど、見た目が女の子にはねぇ…」
香ばしい香りが食欲を誘う、誘惑には勝てないようで、セドリックの袖をちょいちょいと揺らし

「食べてみたい」と言ってみる
「郷に入っては郷に従えだ、美味しいから挑戦するのも良いね」
微笑み二人で食べることになった。
肉は串に刺されて食べやすそうだが
「どこで食べるの?」
セドリックがくすくす笑いながら
「食べ歩きだよ!今日は祭りだ」
「えっ!怒られない?」
「誰が怒るの?ほらみんな歩きながら食べている。祭りとはそう言うものだよ」
セドリックがガブリと肉に食らいつく様子を見てアイリーンも真似して食べることにする
「美味しいっ」
モグモグと食べ
「次は何を食べる?」
楽しそうにセドリックに言われて、アイリーンも楽しくなる
「あれはなぁに?」
蜂蜜の香りに誘われる
「あれは菓子だよ、あったかくて甘いんだ、買う?」
「うん」
一口サイズの卵と蜂蜜を使ったケーキのような素朴なお菓子だった
「美味しい」
初めて食べる菓子にアイリーンは夢中になる
「喉が乾くね、ジュースを買ってこようか?」
セドリックと共に歩き出すが、他の屋台に目を取られ立ち止まるアイリーン
「はぁ、きれい…」
初めてみる飴細工の職人技に目を取られて1人になってしまった
「お兄様……どうしよう!!」
歩いていた道を見るとセドリックの頭が見える急げば間に合う!どんっと肩がぶつかり
「なんだ!えらい別嬪な嬢ちゃんが一人か?」
男達二人に囲まれる…酒を飲んでいるようで目つきが怪しい

怖くなり声が出なくなった





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