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イネスの授業

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「なんでこんなに下手なの?」

ズバッと叔母に言われ落ち込むアイリーン
本番ではであるフランクと踊ったことしかなく、しかも数回だ。
兄であるラウルが練習に付き合ってくれるというのも、どうせ練習してもダメなものはダメだもの…と不貞腐れ真面目に練習をしてこなかった

「アイリーン、そんなに言うほど下手じゃないよ?ちゃんと伴奏を聴きながらもう一度踊ろう」
手を差し伸べてくるセドリック
「私なんて練習をしても、」
「ほら、可愛げのない事を言わないの、ちゃんと真面目にやるんでしょ?変わるんでしょ?」
優しく微笑むセドリック
「…うん、お兄様付き合わせてごめんなさい」
深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとするアイリーン
「良いから、気にしないの、シュゼットの相手をしてた時は何回足を踏まれたか…わざと踏んだ時もあったんだよ!」
くすくすと笑うアイリーン
「お姉様が?信じられない…」
「本当だよ。母上に厳しくされた腹いせだ!僕に当たってきたんだよ」
笑うことによって緊張が解けてくる

「続けるわよー」
叔母に言われダンスの授業が再開となった
数時間ダンスをしてくたくたになったアイリーン
「意外と覚えが早いのね、見られるようになったわよ」
「ありがとうございます」
叔母にお礼を言う
「セドリックは明日視察があるからいないけど、お茶会をしましょう」
笑いながらイネスに誘われる
「…はい」


翌日パラソルが立てられ日陰になった場所にテーブルと椅子が用意されていた
「わぁ!素敵ですね…涼しくてハーブがたくさんっ」
いろんな種類のハーブが植えてあった
「ふふ自慢の庭よ、今日のお茶もハーブを使って作っているのよ、さぁどうぞ」
イネスがガラスの茶器に出してくれたお茶を飲む
「爽やかで少し甘い…」
喉越しが爽やかで甘味も感じるさっぱりとしたお茶だ
「甘味は蜂蜜を少し入れてあるのよ」
「手作りハーブティーなの?」
「そうよ、ハーブを凝縮して炭酸で割るものもあるわよー、興味ある?」
「うん、この味とても好き」
「そう?シュゼットはあまり得意ではなかったのよ?良かったら一緒にお茶を作りましょうか?」
「えっ!いいの?作りたい」
パァッーと顔が明るくなるアイリーン
「もちろん、いま植えてあるものでも作れるから一緒に作りましょうね」

楽しみが増えた!お祭りにハーブティー作り
王都の邸では決して出来ないことだ、素直に感謝の気持ちを伝える
「叔母さま、ありがとうここにきて良かった!」
「ふふ、アイリーンがそう感じたなら成長したわねぇ…今のお茶会も授業なのよ?貴女はお茶の飲み方や仕草はとてもきれいね、ちゃんと話の受け答えも出来るわね」
お菓子を勧められクッキーを選び

「そんな事を言われると、やり難いわね…」
クッキーを口にする
「美味しい、お花が付いているの?」
驚くアイリーン

「この花は食べられるのよ、見た目にも美しいでしょう?私が作ったのよ」
「凄いわ!叔母さまはなんでも出来るのね!尊敬しちゃう」
キラキラした目で叔母を見つめるアイリーン
「興味ある?」
「うんっ!」
「王都ではレディーが調理場に立つなんて許されないわよね…でもここは辺境、興味があるならお菓子も作る?」
「うんっ!」
また楽しみが増えた
その後はハーブについて習ったり、刺繍をして過ごした
「アイリーン、貴女は刺繍が上手なのね!」

アイリーンは家に閉じこもることが多く、読書と暇潰しの刺繍をすることが多かった。
一人で出来る趣味のようなものだ
「はい、部屋に閉じこもっていたので…する事が限られていて…」
恥ずかしそうに答える
「素晴らしいわよ!えっと確かここに…あったわ」
はい、と渡される一冊の本
「この本を参考に、そうね庭のハーブでも刺繍してもらおうかしら?ハンカチでもカバーでも任せるわね」
イネスに言われ
「うん、参考にしてみます」
本を受け取る

次の日は庭のハーブのデッサンに行き、庭師と会った
「嬢ちゃんが王都からのお客さんか?」
「はい、アイリーンと申します、お世話になっています」
「そうか、わしはアンドレと言ってこの邸の庭を担当している、それにしても嬢ちゃん絵が上手なんだな…」
「刺繍をするのでまずデッサンから始めたくて…」
ぽっと顔を赤くするアイリーン
日焼けするぞと言ってパラソルを持ってきてくれた
「ありがとうございます」
お礼を言いしばらくデッサンに夢中になる
一時間ほどで部屋に戻り、お茶を飲みながらのんびり刺繍の本を眺めた

次の日も庭に行くとアンドレがいて、ハーブの育て方を教えてくれて、少し手伝いをした
叔母の育てるハーブは珍しいものもあるそうで、とても勉強になった



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