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婚約パーティー前日です
しおりを挟むそれから2ヶ月後……
「リリー美しいよ」
そう言うのは兄様。兄様もとっても素敵! なんだけど兄様は疲れている。私が殿下と婚約することになったから、お見合いの話がいっぱい寄せられているんですって! 兄様は素敵なので婚約者がいても良さそうなのに、どうして居なかったのかしら? お母様に聞くと、侯爵家の後継だしリリーの相手が決まってから相手を決めると言って居たわよー。ですって。
『旦那様がシルヴァンにそういうと、それまでは自由に過ごせるからと納得していたのよ。派閥もあるし、お見合いをしてお互いに納得すれば婚約って言う形になるわねぇ』
兄様の婚約者が決まるまで、兄様を独占できるみたい。それまでいっぱい甘えようと決めた。兄様も喜んでくれるはず!
それで今日は兄様が王宮までエスコートしてくださるんですって! パーティーは明日だけど王太子に任命される日でもあるから、他国からのお客様のお相手をしなくてはいけない。
殿下は私が合流するまでは仕事の話で大忙しなんですって! 今日はこのまま王宮で用意されている部屋にお泊り。
「ありがとうございます。兄様にこうしてエスコートしていただけるなんて嬉しいです」
そっと腕を組んで歩き出す。兄様に婚約者ができたらこんな風に出かける事はなくなるものね。もしかしたらこれが最後だったりして……
兄様は殿下と私の婚約に関しては諦めてしまったようで、仲良くするんだよ。でもどうしても嫌なら一生うちに居てもいいよ。と言ってくれた。やっぱり兄様は私の味方!
でも小姑がいるとお嫁さんに嫌がられるわよね……将来兄様に子供ができたら、邪魔者扱いよ。
貴族の娘なんて一人で暮らせるわけもないし、誰かの庇護下に置かれるしかないんだもの……
「リリーどうした? 緊張しているのかい?」
色んなことを考えてしまったわ。だめね。前向きに殿下の婚約者となることを決めたのに!
「そうかもしれません。でも頑張ります!」
「ははっ。家のこととかそう言った事は考えなくて良いからね。リリーが幸せになる事が私達の願いだよ」
ポンと頭に手を乗せられた。殿下と言い兄様と言い、頭に手を乗せるのが好きよね……兄様の手も優しい手だ。
兄様と王宮に向かうまでの間、おしゃべりしていたら随分と気持ちが楽になった。小言は最近言わなくなり、優しい兄様そのものよね!
王宮に着くと、殿下の元に案内された。他国の重鎮と話をしていた。
堂々と歓談している姿を見ると、いつもの殿下とは違うなぁ……なんて思った。私に気がつき声をかけられた。
「リリ、紹介するからこっちにきて」
と言われれば行くしかない。
「留学をしていた先でお世話になっていたんだ。大臣こちらが私の婚約者でリリアン嬢です」
外務大臣だと言われた。留学先でも仕事をしていたと言うのは事実らしい。外務大臣はとても殿下と親しくしているようだ。
「こちらの令嬢が殿下がずっと思っていらした方ですか?」
「えぇ! やっと婚約をしてくれることになりました」
殿下が爽やかな笑顔を見せると大臣も喜んでくれた。
「それはおめでとうございます。結婚式にもぜひ参加させてください。楽しみですなぁ」
「ご招待します。またそちらの国へ行く際にはよろしくお願いします」
とまぁ、こんな風に他国の方との談笑に付き合うことになった。
「フレデリック様!」
ほぇ。めっちゃくちゃ妖艶で美しいお姉様が向かってきた……おぉーナイスバディだ!
「クラウディア王女……遠い所ようこそいらっしゃいました」
親しげな感じがする。王女ってもしかして? あの? 例の?
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