21 / 65
お披露目会です!
しおりを挟む「美しいわよリリー!」
ピンクベージュのシルクオーガンジーを何枚にも重ねたロマンチックなドレスはお母様一推しのデザイン。スカートには花びらモチーフの同じくシルクオーガンジーを使った物が縫い付けてある。
後ろ姿もスカート部分はふりふり! 座れないわ……
お母様と兄様は褒めてくれたし、珍しくお父様も褒めてくれた! なんだか最近はバカ娘としか言われてなかったから嬉しいわ!
「今日はシェフが腕によりをかけて作った渾身の料理が並ぶんだが、お前は口にするな! お披露目が終わった後で好きなだけ食わせてやる」
「えぇ……残念だわ。作りたての温かいものに勝るものは無いのに」
でもお披露目会でばくばくと食べる主役なんて側から見たら嫌よね。ここは素直にハイと答えた! ドレスにソースがこぼれてしまうことを考えたら……その後は地獄が待っている! 余計なことを言ってしまった……また怒っているわねお父様!
血圧が高いと最近言っていたわ。仕事のストレスでも溜まっているのかしら?
「わたくしと旦那様は先に会場で挨拶をしています。シルヴァンとリリーは皆さんが集まってから登場よ! 主役はリリーですからね! 無様な姿を見せたら後でキツいお仕置きです!」
お母様……無様な姿って? 転んだり、食べすぎたり、騒いだりってことかしら?
ヒールは低いものにしたし、食べ物を口にするなと言われたし、大丈夫よ! 緊張しすぎてすでに足が震えているのは問題だけど、兄様と腕を組んでいれば問題ないはず!
デビューでドジをしたら、この先ずぅーーっと語り継がれることになる。
会場に人が集まってきているようで、ザワザワとしていた。
それから間も無く登場の時間だ。あまり待たせるものではないらしいわ!
扉が開かれて兄様のエスコートで会場入りした。
マデリーンの姿や、最近文通友達と化したゲラン子爵令嬢・セリーヌ伯爵令嬢も!
お父様とお母様と兄様と私、4人で並んでからお父様が私を紹介してくれた! 念願のお披露目は無事に終わり、パーティーを楽しむことになる。
もちろんダンスの披露もあり、兄様とファーストダンスを踊った。
会場の皆さんから拍手をもらい、ダンスホールから少し外れた所でドリンクを口にした。アルコール以外の飲み物はオッケーとお母様に言われたもの!
「リリー! 本日はおめでとうございます」
「あ! マデリーン。忙しいのに来てくれてありがとう」
今日のマデリーンは大人っぽいドレスを着てきた。シルバーグレーのオフショルダー! とっても美しいわ。
兄様は挨拶をすると少しばかり離れたところにいる人に声をかけていた。マデリーンとお話をしたいから気を遣ってくれたのね! さすが兄様!
「リリーに紹介したい人がいるから紹介するわね、私の婚約者」
紹介された彼は長身の銀髪イケメン! 切長のグレーの瞳で、パッと目は冷たそうなイメージだけれど、愛おしそうにマデリーンを見ている。
それにマデリーンと並ぶととてもお似合いだった。幸せそうだわマデリーン!
「ご婚約おめでとうございます」
「ありがとうございます。マデリーンとは今後も仲良くしてやってください」
「勿論です! 親友ですもの」
と言うとにこりと笑った。優しい顔で笑う人なのね。きっとマデリーンを幸せにしてくれる人だって思った。
「彼を紹介できてよかったわ」
親友が幸せそうだと私も嬉しいわ!
その後はお父様とお母様に連れられて、挨拶回りだ!
招待客の中にはなんとモントール公爵様もいて、キリアン様といたわ。
「いつも息子が世話になっているようで感謝する」
え! お世話になっているのは私です! 挨拶をしなきゃ!!
「公爵閣下、初めてお目にかかります。わたくしはサレット侯爵が娘リリアンと申します」
淑女の礼をする。頭を上げて良いと許可を得てから顔を上げた。
「公子様とは学園が同じでお世話になっております。先日も足を怪我した際に助けていただきとても感謝しています」
「怪我した女性を助けるのは紳士として当然のことをしたまで。侯爵家からお礼の品まで頂戴してしまった。リリアン嬢、デビューおめでとう。どうだ? 息子とダンスを一曲踊ってやってくれないか? キリアンぼさっとしてないで誘わんか!」
キリアン様は今日もとっても素敵ね! 周りにいる令嬢がチラチラとキリアン様を見ているもの。
「今日のリリアン嬢を見て美しくて言葉にならなかった。こんな不甲斐ない私だけど一曲付き合ってくれませんか?」
そっと出された手に正直躊躇してしまう。まだフレデリック殿下の婚約者候補の一人だもの。友達とは言え、良いのだろうか……
「リリーお誘い頂いたのだから、お答えしなさいな」
お母様に言われたのでそっと手を取ると、キリアン様はほっとした顔をした。
「……良かった。断られるかと思ったよ」
少し顔を赤く染めてはにかむように笑うなんて、反則だわ! ドキッとしてしまった。友達相手にこの感情はだめだわ! 失礼だわ!
1
お気に入りに追加
1,688
あなたにおすすめの小説
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
完・前世で聖女だった私、今は魔力0の無能令嬢と判定されたので自由(腐)を謳歌します 〜壁になり殿方たちの愛を見守るため、偽装婚約を頑張ります
禅
恋愛
聖女として国にこきつかわれ、お飾り妻として王子の婚約者になったところで毒殺された。
心残りは拾って育てていた幼い弟子。
そして、すぐに生まれ変わったシルフィアは聖女になるのを避けるため魔力0の無能令嬢を演じていた。
実家では義理の母と妹に使用人同然の扱いを受けているが、前世より自由がある生活。新しい趣味を見つけ、その道に邁進する日々。
しかし、義妹によって無理やり社交界に出席させられたことで、その日々は崩れる。
「王城の壁になれば他の殿方や騎士の方々が愛を育む様子を見守ることが……そうとなれば、王城の壁になる魔法を開発しなければ!」
目の当たりにした王城での腐の世界(注:勘違い)から、王城の壁となるため大魔導師となった前世の弟子との偽装婚約(勘違い)を頑張るのだが……
小説家になろう・Noraノベルにも投稿中
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
幼馴染の公爵令嬢が、私の婚約者を狙っていたので、流れに身を任せてみる事にした。
完菜
恋愛
公爵令嬢のアンジェラは、自分の婚約者が大嫌いだった。アンジェラの婚約者は、エール王国の第二王子、アレックス・モーリア・エール。彼は、誰からも愛される美貌の持ち主。何度、アンジェラは、婚約を羨ましがられたかわからない。でもアンジェラ自身は、5歳の時に婚約してから一度も嬉しいなんて思った事はない。アンジェラの唯一の幼馴染、公爵令嬢エリーもアンジェラの婚約者を羨ましがったうちの一人。アンジェラが、何度この婚約が良いものではないと説明しても信じて貰えなかった。アンジェラ、エリー、アレックス、この三人が貴族学園に通い始めると同時に、物語は動き出す。
辺境伯令嬢の私に、君のためなら死ねると言った魔法騎士様は婚約破棄をしたいそうです
茜カナコ
恋愛
辺境伯令嬢の私に、君のためなら死ねると言った魔法騎士様は婚約破棄をしたいそうです
シェリーは新しい恋をみつけたが……
【完結】バッドエンドの落ちこぼれ令嬢、巻き戻りの人生は好きにさせて貰います!
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢エレノアは、容姿端麗で優秀な兄姉とは違い、容姿は平凡、
ピアノや刺繍も苦手で、得意な事といえば庭仕事だけ。
家族や周囲からは「出来損ない」と言われてきた。
十九歳を迎えたエレノアは、侯爵家の跡取り子息ネイサンと婚約した。
次期侯爵夫人という事で、厳しい教育を受ける事になったが、
両親の為、ネイサンの為にと、エレノアは自分を殺し耐えてきた。
だが、結婚式の日、ネイサンの浮気を目撃してしまう。
愚行を侯爵に知られたくないネイサンにより、エレノアは階段から突き落とされた___
『死んだ』と思ったエレノアだったが、目を覚ますと、十九歳の誕生日に戻っていた。
与えられたチャンス、次こそは自分らしく生きる!と誓うエレノアに、曾祖母の遺言が届く。
遺言に従い、オースグリーン館を相続したエレノアを、隣人は神・精霊と思っているらしく…??
異世界恋愛☆ ※元さやではありません。《完結しました》
悪役令嬢は王子の溺愛を終わらせない~ヒロイン遭遇で婚約破棄されたくないので、彼と国外に脱出します~
可児 うさこ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。第二王子の婚約者として溺愛されて暮らしていたが、ヒロインが登場。第二王子はヒロインと幼なじみで、シナリオでは真っ先に攻略されてしまう。婚約破棄されて幸せを手放したくない私は、彼に言った。「ハネムーン(国外脱出)したいです」。私の願いなら何でも叶えてくれる彼は、すぐに手際を整えてくれた。幸せなハネムーンを楽しんでいると、ヒロインの影が追ってきて……※ハッピーエンドです※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる