3 / 65
ドレスの選定!
しおりを挟む「ごめんなさい! お待たせしてしまったかしら?」
今日はお待たせしてばかりね! 申し訳ないわ……
「いいえ。時間通りでございます。様々な種類のドレスをご用意致しました。気に入ってくださるものがあると良いのですけど……お嬢様の金糸の様に艶やかな髪には、若々しいパステルカラーがお似合いですわ!」
トルソーに着せてあるドレスを見る。
ブルー・イエロー・ピンク・グリーン
たしかに若い令嬢が好んできそうな色合い。フリルにたっぷり使われたレースにスパンコールまで付いたものもある。
「目がチカチカするわ……」
苦笑いしながらそういうと、
「若い時にしか着られないドレスですわ! ご令嬢達の特権です」
確かにそうね。パステルカラーのドレスを着た令嬢は花に例えられることがあるもの。色とりどりの花達がーってね。
その中で選ばれる一輪の花って言うのに憧れていたのよ。
「……他の色は無いのかしら? パステルカラーももちろん素敵だと思うけれど、大人っぽい色合いのものはない? 私も16歳になったから大人のドレスに憧れているの」
「お嬢様もお年頃ですものね! それでしたら……」
付き人の様な人に目配せすると奥の方からトルソーに着せてあるものとは異なる色合いのものを出してきてくれた。
紫・紺・黒・ワインレッド……
おぉー! すごい大人っぽいわ! 紫色とかってなんだか悪そうなイメージ! 目線を横に流しておホホホホ……って扇子で口を隠して! ってこれよ! これ!
マデリーンに借りた【悪役令嬢】が出てくる本で主人公に嫌がらせをする悪女っぽい!
【悪役】って言われるけれど芯が強くてかっこいいのよね!
婚約破棄されたりするけれどその後は自立して暮らしたり、スローライフを満喫したり! まぁ時には死んでしまう事もあったりするんだっけ? でも壮絶ないじめさえしなければ、大丈夫よね?
悪役令嬢に私がなって、他の婚約者候補の方に殿下の婚約者になって貰えば良いじゃない! 私って天才かも!!
まぁ選ばれるとも思わないのだけど、念には念を……
「お嬢様、こちらのドレスはやはりお気に召さなかったようですね、片付けて、
「気に入ったわ! 素敵じゃない? この紫のドレスの肩のラインも流れる様なデザインで素敵よ!」
「まぁ! ありがとうございます。こちらのドレスには大きめのペンダントがお似合いですわ! 鎖骨がより美しく見えますわ」
「そうね。宝石商に注文するわね! あとこの紺色のドレスも良いわね」
星を散りばめた様にパールが縫ってある! これは明らかに高価なものだ! 金のかかる女だと思わせるには十分なドレスよ!
「ありがとうございます。お嬢様でしたら何を着てもお似合いになると思います! こちらのワインレッドのドレスはいかがですか?」
赤ワインの様な深い赤色と黒いドレスはフレデリック殿下を思い出す色味だからやめておきましょう!
「素敵だけど着こなす自信がないわ……。あら、このベージュイエローに金色の刺繍が施してあるドレスは? 刺繍が浮き出る様で素敵ね! これは蘭ですか?」
「さすがお嬢様です。お目が高いですわ! 職人が丹精込めて一針一針縫い上げています! 蘭の花言葉は美しい淑女という意味を持ちます。まるでお嬢様の様です!」
……褒め上手ね! 上品だけど華美。このドレスも購入決定ね!
こういうドレスも入れておかないと後からお父様に何かと言われそうだもの。
フレデリック殿下の前で着るか着ないかは置いといて、水色のシンプルなAラインのドレスが気に入ってそれも購入した。やっぱりシンプルなドレスの方が動きやすいし、色合い的にも軽やかな感じがするわ!
水色は好きな色だし、私の瞳の色も青系だし勧められる色でもある。
「この素材も素敵ね。光の加減によって色合いが違って見えるわ」
シルク素材のドレス。シンプルに見えて高いわね~。ドレスを買って経済を回すとお父様が言ったのだから気に入ったものは購入よね!
普段着用のちょっと良いワンピースも新調した。今まで好んでいた可愛い系の色合いではなく落ち着いた色合いのものを選んだ。
ボートネックの藍色ベロアワンピースや白襟のついた紺色のワンピース。
今までのイメージを払拭する様なデザイン!
「たくさんご購入いただきましてありがとうございました。お嬢様の体型に合う様に直してからお届けしますわ!」
さぁ、次は宝石商ね!
「お嬢様、本日はこちらの品をお持ちいたしました」
この夫婦相変わらず買わせる気満々ね! でも今日は買うわよ! 机の上にこれでもか! と言う感じで並べられた目がくらむ宝石類
「あ! これ可愛い」
星のチャームが付いたシンプルなネックレス。
「シンプルですが、ブルーダイヤモンドを使用しています。今後価値が上がりますよ」
これは買いね!
「そうだわ! パールはあるかしら?」
紺色のドレスに合わせたい。
「もちろん最高級をご用意しております」
パールのアクセサリーを並べ始める、宝石商の夫婦
「あら、可愛いわ!」
最高級のパールを使っていると言う。レースの様に編んであるデザインだ。
「こちらは首元をより美しくお見せするための工夫がーー」
とパール蘊蓄を聞かされたところで、ネックレスとブレスレットとイヤリングをセットで買った。
宝石商の持ってきた宝石類は16歳の私向けのものかと思いきや大人顔向けの物も多いようだ。
お父様は好きに買って良いと言っていたわね!
アクセサリーは可愛いものでも良いでしょう。リボン型に加工されているパールやサファイア、アクアマリン、ピンクサファイア、ダイヤモンド……
ドレスに合いそうなものを購入した。
「こんなに! ありがとうございました。第一王子の婚約者候補に選ばれたとお聞きしました。お妃様になられても我が宝石商をご贔屓に!」
ほくほく顔で夫妻は帰って行った。
これでヨシ! 今日の仕事は終わりね。
マリーにお茶を頼んで自室に戻ると
「お嬢様、お手紙です」
トレーに乗せて執事が持ってきた一通の手紙。マデリーンからの返事だった。
1
お気に入りに追加
1,688
あなたにおすすめの小説
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
私と一緒にいることが苦痛だったと言われ、その日から夫は家に帰らなくなりました。
田太 優
恋愛
結婚して1年も経っていないというのに朝帰りを繰り返す夫。
結婚すれば変わってくれると信じていた私が間違っていた。
だからもう離婚を考えてもいいと思う。
夫に離婚の意思を告げたところ、返ってきたのは私を深く傷つける言葉だった。
死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!
完・前世で聖女だった私、今は魔力0の無能令嬢と判定されたので自由(腐)を謳歌します 〜壁になり殿方たちの愛を見守るため、偽装婚約を頑張ります
禅
恋愛
聖女として国にこきつかわれ、お飾り妻として王子の婚約者になったところで毒殺された。
心残りは拾って育てていた幼い弟子。
そして、すぐに生まれ変わったシルフィアは聖女になるのを避けるため魔力0の無能令嬢を演じていた。
実家では義理の母と妹に使用人同然の扱いを受けているが、前世より自由がある生活。新しい趣味を見つけ、その道に邁進する日々。
しかし、義妹によって無理やり社交界に出席させられたことで、その日々は崩れる。
「王城の壁になれば他の殿方や騎士の方々が愛を育む様子を見守ることが……そうとなれば、王城の壁になる魔法を開発しなければ!」
目の当たりにした王城での腐の世界(注:勘違い)から、王城の壁となるため大魔導師となった前世の弟子との偽装婚約(勘違い)を頑張るのだが……
小説家になろう・Noraノベルにも投稿中
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
愛することはないと言われて始まったのですから、どうか最後まで愛さないままでいてください。
田太 優
恋愛
「最初に言っておく。俺はお前を愛するつもりはない。だが婚約を解消する意思もない。せいぜい問題を起こすなよ」
それが婚約者から伝えられたことだった。
最初から冷めた関係で始まり、結婚してもそれは同じだった。
子供ができても無関心。
だから私は子供のために生きると決意した。
今になって心を入れ替えられても困るので、愛さないままでいてほしい。
辺境伯令嬢の私に、君のためなら死ねると言った魔法騎士様は婚約破棄をしたいそうです
茜カナコ
恋愛
辺境伯令嬢の私に、君のためなら死ねると言った魔法騎士様は婚約破棄をしたいそうです
シェリーは新しい恋をみつけたが……
【完結】バッドエンドの落ちこぼれ令嬢、巻き戻りの人生は好きにさせて貰います!
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢エレノアは、容姿端麗で優秀な兄姉とは違い、容姿は平凡、
ピアノや刺繍も苦手で、得意な事といえば庭仕事だけ。
家族や周囲からは「出来損ない」と言われてきた。
十九歳を迎えたエレノアは、侯爵家の跡取り子息ネイサンと婚約した。
次期侯爵夫人という事で、厳しい教育を受ける事になったが、
両親の為、ネイサンの為にと、エレノアは自分を殺し耐えてきた。
だが、結婚式の日、ネイサンの浮気を目撃してしまう。
愚行を侯爵に知られたくないネイサンにより、エレノアは階段から突き落とされた___
『死んだ』と思ったエレノアだったが、目を覚ますと、十九歳の誕生日に戻っていた。
与えられたチャンス、次こそは自分らしく生きる!と誓うエレノアに、曾祖母の遺言が届く。
遺言に従い、オースグリーン館を相続したエレノアを、隣人は神・精霊と思っているらしく…??
異世界恋愛☆ ※元さやではありません。《完結しました》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる