王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの

文字の大きさ
上 下
30 / 36

あれ?思っていたのと違う…

しおりを挟む
レナードと婚約者であるミレイユの名前を呼ばれて入場する事となった。
周りからは暖かい視線が送られる…

キョトンとした顔をしてしまったのだろう
「どうした?ミレイユ」
レナードに声を掛けられ
「ううん、なんでも、ない?かな」
「そう?」
周りに聞こえないようにくすくすとミレイユを見て笑うレナードだった


ヒソヒソと会場内での話が聞こえた

「ミレイユ様の顔を久しぶりに拝見いたしましたが、美しさに磨きがかかっておられますわね?」
「あの素敵なドレスはどこで作られたのかしら?見たことのない生地ですわねぇ」
「お肌がとても綺麗で、シミひとつございませんわよね?」
「体罰だなんて…許すまじ行為ですわ!」
「あら、優雅な仕草でレナード殿下と微笑みあって、仲がよろしいのね」
「微笑ましい光景ですわね」
「隣国へ嫁がれるとのことですが、あのお幸せそうな顔…」
「淑女の鏡と言われていますもの。ミレイユ様が居られるだけで場に花が咲いたようですわね」


………

「ねぇレナード様、誰のことを言っているのかしら…」
「俺たちの事だろうな」
ニヤリと笑うレナード

「だって…わたくし嫌われてますのよ?」
「嫌われていたらこんなに注目を浴びるか?見てみろあの、子息達の悔しそうな顔、ざまみろだな」
ミレイユの腰を抱き、まるで見せつけるかのような行為だ
レナードの顔をじっと見るミレイユ
「なんだ?」
「レナード様が居てくれて良かった」

そうこうしているうちに王族の入場となる
両陛下・王太子殿下と婚約者・クロヴィスとエミリアが続く

「ミレイユ、彼女が東の国の王女でクロヴィスの婚約者だ」
レナードに説明をされた。
クロヴィスにエスコートをされていた。
クロヴィスに会うのが怖かったが、何も思わない…

「ミレイユ?」
ハッとしてレナードの方を見る
「美しい方ですね、華やかで、ふふっ」
小さく笑うミレイユ

「レナード様、わたくし考えすぎでした!」
「なにが?」
「クロヴィス殿下を見ても、何も思いませんのね…なんだか遠くにいる人の様で…薄情ですけど」
眉を顰めた

「それは過去と決別出来たって事じゃないのか?」
「うん、そうかもしれない」
レナードに甘えるように近寄り肩に頭を寄せると、頭の天辺にキスを落とされた


陛下の誕生を祝うパーティーの開始だ
両陛下のダンスや王太子・クロヴィスのダンスの後、隣国の王子で来賓であるレナードとミレイユのダンスを貴族達が今か今かと待ちわび、ダンスフロアへと行く

「やっとミレイユとダンスが出来る」
「緊張します…」
微笑み合う二人をクロヴィスが恨めしそうに見ている
ダンスが終わり、ドリンクを飲んでいるとクロヴィスがこちらに向かってきた


「ミレイユ!勝手にレナードなんかと婚約して、どういうつもりだ?」
両腕を組み非難してくるクロヴィス

「やぁ!クロヴィス元気そうだな?エミリア王女はどうした?パートナーを放っておくものではない」
レナードが微笑みながら嫌味を言う

「ミレイユ、この嫌味な男に無理矢理婚約させられたんだな…可哀想に」
そっとレナードの背中に隠れるミレイユ

「あぁ、ミレイユ可哀想に…怖がっているじゃないか!」
「なんだと…!?」
睨み合う二人の王子に居ても立っても居られない…

「ミレイユ、私とダンスに付き合ってくれ!このイヤミな男が居たら話も出来ん」
クロヴィスがミレイユに手を差し伸べる

「まさか、俺がミレイユをお前とのダンスに送り出す訳ないだろう?」
二人の会話を周りはヒヤヒヤしながらも見ている


「クロヴィス様?わたくしを置いて行くなんていい度胸ですわねぇ…」
「え、エミリア…」
ギョッとした顔をするクロヴィス

「あら?レナード殿下お久しぶりです」
エミリアが淑女の礼をする
「やぁ!エミリア王女久しぶりだね、ミレイユこちらは東の国の第二王女でエミリア王女だよ、クロヴィスの婚約者」
何もなかったようにミレイユにエミリアを紹介する

「エミリア王女殿下、はじめまして、フランク侯爵が娘ミレイユと申します」
挨拶をする

「貴女がミレイユ様ね、本当に美しい事…レナード殿下、この度はご婚約おめでとうございます」

「ありがとう、エミリア王女もクロヴィスとの婚約おめでとう」
「まぁ、ありがとうございます。ミレイユ様のお陰で婚約することができましたもの、感謝致しますわ」
にこりと微笑まれキョトンとした顔をしてしまった

「結婚式には招待するから是非参列してもらいたい」
レナードがミレイユの肩を抱く

「えぇ、そうさせて貰います、本当に仲がよろしいのね」
レナードの顔を見ると優しい瞳で微笑まれ、ミレイユは嬉しくなり微笑み返す

「み、ミレイユ…そんな顔をしてレナードを見ないでくれよ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。

ふまさ
恋愛
 伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。 「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」  正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。 「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」 「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」  オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。  けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。  ──そう。  何もわかっていないのは、パットだけだった。

婚約者に選んでしまってごめんなさい。おかげさまで百年の恋も冷めましたので、お別れしましょう。

ふまさ
恋愛
「いや、それはいいのです。貴族の結婚に、愛など必要ないですから。問題は、僕が、エリカに対してなんの魅力も感じられないことなんです」  はじめて語られる婚約者の本音に、エリカの中にあるなにかが、音をたてて崩れていく。 「……僕は、エリカとの将来のために、正直に、自分の気持ちを晒しただけです……僕だって、エリカのことを愛したい。その気持ちはあるんです。でも、エリカは僕に甘えてばかりで……女性としての魅力が、なにもなくて」  ──ああ。そんな風に思われていたのか。  エリカは胸中で、そっと呟いた。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

王命を忘れた恋

須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』  そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。  強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?  そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。

ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。 ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も…… ※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。 また、一応転生者も出ます。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

真実の愛は、誰のもの?

ふまさ
恋愛
「……悪いと思っているのなら、く、口付け、してください」  妹のコーリーばかり優先する婚約者のエディに、ミアは震える声で、思い切って願いを口に出してみた。顔を赤くし、目をぎゅっと閉じる。  だが、温かいそれがそっと触れたのは、ミアの額だった。  ミアがまぶたを開け、自分の額に触れた。しゅんと肩を落とし「……また、額」と、ぼやいた。エディはそんなミアの頭を撫でながら、柔やかに笑った。 「はじめての口付けは、もっと、ロマンチックなところでしたいんだ」 「……ロマンチック、ですか……?」 「そう。二人ともに、想い出に残るような」  それは、二人が婚約してから、六年が経とうとしていたときのことだった。

【完結】婚約者様、王女様を優先するならお好きにどうぞ

曽根原ツタ
恋愛
オーガスタの婚約者が王女のことを優先するようになったのは――彼女の近衛騎士になってからだった。 婚約者はオーガスタとの約束を、王女の護衛を口実に何度も破った。 美しい王女に付きっきりな彼への不信感が募っていく中、とある夜会で逢瀬を交わすふたりを目撃したことで、遂に婚約解消を決意する。 そして、その夜会でたまたま王子に会った瞬間、前世の記憶を思い出し……? ――病弱な王女を優先したいなら、好きにすればいいですよ。私も好きにしますので。

処理中です...