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夜会に出席との事です

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「姉上、あのさ、国王陛下の誕生祭に招待されているんだけど、行ける?っていうか行かなきゃいけないんだけど…」

貴族は出席しなければ行けないし、上位貴族となれば必須である

「俺にも招待状が届いていた。ミレイユは俺の婚約者として出席すれば良いだろう?」
レナードがルイとミレイユに言う

「…行かなきゃダメ?」

「「……ダメだな」」

「……うん」
ミレイユの顔が強張る

「不安だろうけど、俺がいるし、ルイもいるだろう?」
「そうだよ、面倒な事はレナード様に任せとけば良いんだよ!僕もいるから」

「…わたくしといると、レナード様まで悪く言われないかしら」

「言われないね!姉上は王都にいないから知らないだけだ。安心して良い」

「ルイの言う通りだ、ミレイユはいつも通りで良いんだ、考えすぎだよ」
ギュッとミレイユの手を繋ぐ
「…うん、頑張る」
「頑張らなくて良い、いつも通りで良いんだ」
「…うん」

「父上に手紙を書いてくるから僕は行くよ」
「あぁ、頼んだ」
レナードがルイに返事をする


「ミレイユ、いつも通りでいいんだ。おどおどしていると相手に隙を見せてしまう、俺たちは婚約して幸せなんだから、笑って見せつけてやろう、周りを見たくないなら俺だけ見ていれば良い」
「そうよね…いつまでも療養中ではないもの。レナード様が一緒にいてくれるなら…勇気を出さなきゃ…」
「そう言う事、ミレイユをエスコート出来るなんて今から楽しみでしょうがない、ドレスは贈らせてくれ」
「えっ?悪いから、こっちで用意を」
「ドレスは俺が用意する」
おでこをコツンと寄せてくるレナード
「俺の楽しみを奪わないでくれよ」
イケメンのドアップに思わず目を逸らしてしまう…
「ダメか?」
「ううん、いいの?嬉しい」
はにかみ顔のミレイユ

「はぁ…可愛い、不安はあるだろうけど俺が側にいるから」
「うん」
見つめ合う二人は引き寄せられるように口づけをする
「大丈夫だから」
「うん」


レナードと婚約をした事は、すでにクロヴィスの耳に入っているだろう
お互い新たに婚約者に恵まれた。
別々の人生を歩むのだ。

侯爵邸で別れを告げてから一度も会っていない。次に会う時は幼馴染だけれど他人である。最後に会ったクロヴィスの顔を思い出すと、悲しそうな顔をしていた。

いつも明るく声をかけていてくれた記憶が蘇る。あぁ…クロヴィスはクロヴィスなりに自分たちの関係を修復しようとしていてくれていたんだ…自分だけ我慢していれば良いと思っていた。クロヴィスもきっと我慢をしていたところがあるのだろう。
今頃になりようやく気がつく

レナードの胸の中でクロヴィスの事を考えてしまう自分に嫌悪感を抱く…
クロヴィスに今度の夜会で会うときに、どんな顔を見せれば良いのか…

伯爵夫人に体罰を受けたときも、すぐに助けを求めればこんなことにならなかった。
令嬢達に囲まれるクロヴィスに文句の一つでも言えれば…

逃げたのは…自分に嫌気が差したから…
たまたま都合よく逃げた先がレナードだったのでは…?
レナードのことはもちろん好きだし、一緒にいたいのに…








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