王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの

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「伯爵、夫人は領地に篭っていると聞いたが、この手紙はなんだ?」
クロヴィスが夫である伯爵に手紙を渡す
手紙を手に取りプルプルと手を震わせ

「私の妻の筆跡に間違いはございません…」
頭を下げる伯爵にクロヴィスは

「夫人のことを伯爵に一任したのが間違いだったのか?お前の妻が何をしたのか覚えているか?ミレイユへの侮辱は私への侮辱だと言っているのだが、それも忘れたようだな」
顔面蒼白になりクロヴィスに土下座する伯爵


その後伯爵は夫人と離縁した
離縁された夫人は実家には戻れず、国境近くのとても厳しい修道院に人知れず入ることとなった。
伯爵は娘を溺愛していたが、付き合いのある他国の貴族へ嫁がせる事にした。
そして二度と国に足を踏み入れないようきつく言い聞かせた。


手紙をやり取りしていた男爵家の令嬢や面白おかしく噂を流した令嬢達は、クロヴィスや王妃に目をつけられ、家に罰則が言い渡されるのを恐れた父親達が、問題のある令嬢の性格を叩き直すための修道院へと入れられた。
数年は出てこられないだろう…


ようやくミレイユの悪い噂が無くなった頃、
フランク侯爵家にはミレイユへの求婚が後を経たなかった

「またか…」
はぁっとため息を吐く侯爵
「クロヴィス殿下はご存知なのですか?」
ルイが聞くと

「私からは言っていないが、ご存知だろうね。殿下はミレイユの事をフィアンセとしているが婚約が解消されたのは、周知の事実だからねぇ。隣国の第三王子、レナード殿下からも求婚が来てしまった…」
頭を抱える侯爵

「わぁ……」
苦虫を潰したような顔をするルイ

「ミレイユの事はしばらく放っておいて欲しいのだが…これは…クロヴィス殿下に言わないとな…」
「父上、レナード殿下はなぜミレイユに求婚を?知り合いですか?」
ルイが不思議そうな顔で父に聞く


「クロヴィス殿下とミレイユの婚約が決まる少し前に、婚約の打診があったんだ。お茶会でミレイユと話をして気に入ったらしくてね、その事を聞きつけたクロヴィス殿下が陛下に頼んで是非ミレイユと婚約をしたいと正式に話があってお断りしたんだよ。でもなぁ…おかしいな?レナード殿下にはフィアンセがいるはずなんだが…」

「一難去ってまた一難って感じだね、クロヴィス殿下」
「まぁ良いんじゃないか?ミレイユを本気で好きなら解決するだろう?本気で全て解決したら許してやろうか、ルイ?」

「……あの人に解決出来る?うち侯爵家なんて体罰の侯爵家と呼ばれたんだよ?あり得ない…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……なんだって」
ガクッと肩を落とすクロヴィス
見るからに気落ちした様子だ

フランク侯爵がクロヴィスにレナードからの求婚の手紙の内容を伝える

「この度クロヴィス第二王子との婚約が解消されたと聞いた。ミレイユ嬢と婚約をしたい、近々挨拶に向かう。との事ですよ」

「えぇぇー。困るよ!一回目は上手くいったのに二回目もあるのか…解消なんてするんじゃ無かったよ…まだミレイユを諦めてなかったのかよ…しつこいやつだ!」

クッションをギュッと抱きしめるクロヴィス
「あれ?あいつフィアンセいなかった?」
抱きしめるクッションから顔を上げ侯爵に言う

「それがですね、こんな事もあろうかと仮のお相手だったようで…」

「なんだよ…こんな事もあろうかとって!私じゃミレイユの事を任せられないと言うことか?!」
「そう言う事でしょうね」
さらっと答える侯爵

「そうだな、申し訳ない…」
意気消沈するクロヴィスを無視して

「隣国の王子の話を聞かないわけには参りませんから」
「断ってくれないのか?」
「娘を他国にやりたくはありませんが、娘を誰よりも幸せにしてくれるのなら、断る理由がございません」

悲しそうな顔をするクロヴィス
「…ミレイユは知っているのか?」

「いいえ、娘は療養中ですから王都での話はしていません。私が娘に暴力をふるっていたなどと話を聞いたら娘は更に心を痛めることでしょう…ただでさえ傷心の娘にそんな事を聞かせられるとでも?」

侯爵はクロヴィスに笑顔を見せながら話をしているが、笑顔の奥の瞳は冷ややかだ

「そうだな、全て私の責任だ」







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