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第10賞 俺たちの関係
まどろみ
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家に帰る気がしなくて、俺たちは一週間ほどビジネスホテルで寝泊まりした。
だいたい男は二十を過ぎたら精力は減退すると言われているのに、元気すぎる透馬がおかしい。俺はすぐにばててしまってどうしようもなかった。
「鍛え方が足りないんじゃない?」
とか言うけど、それだけじゃないと思う。
「だいたいずっとご無沙汰だったら普通減退するだろ」
「つぐみちゃんとかとやってたじゃん」
「そういう昔の話を持ち出すな」
俺はその会話の前から透馬がおかしいと気付いていた。いや、むしろいたって正常ともいえる。そもそも透馬の記憶がなくなるということにずっと違和感があったのだ。もしかして、透馬はわざと……。そう思ったことに蓋をする。今は考えたくなかった。
ただ何も考えず抱き合っていたかった。俺たちがおかしいのはわかっていても、もう誰にも止められない。
ただずっとまどろんでいたかった。世界で二人だけしかいないみたいに。後のことは何も考えたくない。
長いのか短いのかわからない一週間。俺たちの中にお互いのこと以外は何もなかった。
だいたい男は二十を過ぎたら精力は減退すると言われているのに、元気すぎる透馬がおかしい。俺はすぐにばててしまってどうしようもなかった。
「鍛え方が足りないんじゃない?」
とか言うけど、それだけじゃないと思う。
「だいたいずっとご無沙汰だったら普通減退するだろ」
「つぐみちゃんとかとやってたじゃん」
「そういう昔の話を持ち出すな」
俺はその会話の前から透馬がおかしいと気付いていた。いや、むしろいたって正常ともいえる。そもそも透馬の記憶がなくなるということにずっと違和感があったのだ。もしかして、透馬はわざと……。そう思ったことに蓋をする。今は考えたくなかった。
ただ何も考えず抱き合っていたかった。俺たちがおかしいのはわかっていても、もう誰にも止められない。
ただずっとまどろんでいたかった。世界で二人だけしかいないみたいに。後のことは何も考えたくない。
長いのか短いのかわからない一週間。俺たちの中にお互いのこと以外は何もなかった。
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