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001 プロローグ1
しおりを挟む「残念ながら、あなたは死んでしまいました」
少女は僕に告げた。
僕の名前は山田ヒロト。
これといった取り柄は無く、どこにでも居る普通の高
校生だった。
うん、過去形なんだ……
ついさっきまではそうだったんだ……
今日は12/24、クリスマス
リア充にとっては最高の日だろうが、
非リアな僕にとっては虚しいだけの1日だ。
一日の授業を終え、僕はいつもどうり毎日一緒に帰る男友達2人に声をかけたのだが、帰ってきた返事は
「ごめん、今日は俺達、彼女とデート行くから☆」
な、なんだってー!
アイツらに彼女が出来たって!
デ、デートだって!
非リアな僕は1人で帰ってろと!
リア充共に占拠されたあの街を!
圧倒的な敗北感に襲われ、僕は教室を飛び出した。
「ねえ彼女ちゃん、雪が降ってきたよ」
「ほんとだね彼氏くん、ホワイトクリスマスなんてロマンチックだね」
1人で帰る途中、そんな戯言が耳に入った。
僕の心にも雪は積もっているが、ロマンティックかな?
…………………………………………………
そんなくだらないことを心の中でつぶやき、勝手に傷つく。
何を考えているんだ俺は。
なんだか、色々なことがどうでも良くなってしまった。仕方ないじゃん、
思春期だよ思春期。先生も心が不安定になる時期だって言ってたし。
もういっそ、ここじゃないどこかに行きたいな。
ラノベで読んだような異世界に行って、チート級の強さの魔法使いにでもなりたいな。
そんな事を考えながら歩いていると、見たことの無い自販機を見つけた。
「なんだあれ、見たこと無い色だ」
真っ黒な色をしている。
気になって近づいてみると、その自販機は飲み物を売ってない事が分かった。
普段ならペットボトルや缶ジュースのモデルが展示されている場所にはチケットのようなものが入っていた。
んーなになに?
【人生に疲れたあなたにこれ1枚!
この切符で異世界に行って君だけのハーレムを作っちゃおう!】
あほくさ
どう見ても怪しすぎるし、タイミングが良すぎる。
こんな怪しいもの買うわけないだろ。
買うつもりはなかったが、一応値段は見ておく。
500円と書いてあった。
500円ッ!?
ワンコインで異世界転生!?
いやー、交通の進化って素晴らしいですね。500円で別世界に移動出来るようになっていたとは。
衝動的に、500円玉を怪しい自販機に入れてしまった。
マネー装填完了☆
まあいいか、よーしこれで俺も異世界転生するぞ!
ヒロト、いきまーす!
ボタンを押すと受け取り口から手が出てきた。
ん?手?
僕はその手に足首を捕まれ、自販機の中に引きずり込まれてしまった。
僕は必死に抵抗したものの、引きずり込もうとする力に負けてしまった。
なんでボタン押しちゃったんだろうな。
今更後悔しても遅いけど。そして僕の目の前は暗くなっていった。
目が覚めると、目の前に女の子が立っていた。その子は背中に白い翼をはやしている。髪型は茶髪ロング。それに整った顔立ち、高校生の歳の容姿をしている。
「ヒロトさん、落ちついて聞いてください。」
少女は落ち着いた口調で話した。
「残念ながらあなたは死んでしまいました。そしてここは冥界、死者の魂の行く末を決める場所です。私はただの役人です。」
彼女は問いかけた。
「あなたは自分がどうやって死んだのか覚えていますか?」
「自販機に殺されたんだ。」
はっきりと覚えている。あの手に引きずり込まれたんだ。
それにしても自販機に殺されたって中々のパワーワードだな。
少女は悲しげな顔をして言った。
「やはりですか……最近、その手口で悪魔に殺される人間が多いのです。」
少女は続けた。
「そこでなんですが━━━━━━
あー、ハイハイおっけーこのパターンね。
異世界に転生しませんかと勧誘されると。
予想どうりのことを彼女は言った
「あなたがいた世界とは違う、別の世界で生きてみませんか?」
俺は二つ返事で答えた。
「はい、ぜひ!」
僕は今までの人生に満足していなかった。もし生きていられたら、僕はこれからの人生をもっと良い方向に持ってゆける自信があった。
そう、絶対にリア充になるという強い思いがあった。
少女は速攻で返事をした僕に少し驚いたような顔をして、紙の束を取り出した。
「それはなに?」
と聞くと、彼女は答えた。
「これは現在、転生可能な世界線を記したリストです。えーっとですね、今転生可能なのはー」
すると突然、彼女は顔の真っ青になった。
「ど、どうしたの?」
「そのですね、現在転生可能な世界線がひとつしかなくて、冥界法律で詳しくは話せませんが、かなり過酷な世界なんです。それでも行きますか?」
一瞬の怯むが、一度決めたことだ。思いは変わらない。
「行きます!」
彼女は小さく頷いて、床に書いてある魔法陣の中央に移動するよう指示した。そこに立つと彼女は言った。
「ヒロトさん、あなたには少しだけ身体能力向上の魔法を掛けておきました。向こうはとても過酷な世界です。気をつけて下さい。それと、もっと普通の世界への転生が可能になり次第、連絡しますのでどうかお元気で!」
魔法陣が光り輝き僕の体がどんどん透明になっていく。待ってろよ異世界、どんな過酷な場所だろうが僕は幸せを築いてや━━━━━━
「ゔわぁ!」
ん?なんだ今の声は。
突然声がしたかと思えば、なんと彼女が僕に突っ込んできた。
僕はとっさにつき飛ばそうとしたが、それよりも速く僕達は異世界に飛ばされてしまった。
………………………………………………………………………………
目を開けるとそこには荒廃した街が広がっていた。
ファンタジーな世界を想像していたのだが、元の世界と同じ現代的な建物ばかり。
違うのはそれらの建物がみんなボロボロになっている事だ。
横を見るとさっきの彼女が呆然とした目で立っている。
ま、まあ一応異世界転生は完了したのかな?
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