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序の章 裏切られた明智光秀 ──本能寺の変──
04 中国にて
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はっくしょん。
派手なくしゃみの音が響いた。
その音の主は、羽柴藤吉郎秀吉、その人である。
「……誰ぞ、うわさしとるか」
秀吉は、備中高松城を望む、自陣から出て、その城を囲む水の溜まりへと向かった。
そう、備中高松城は今、秀吉による水攻めにより、陥落寸前であった。
*
天正四年、秀吉は主・織田信長より、中国攻めを命じられた。
以来、足かけ四年、途中で摂津の荒木村重の叛乱などに遭いながらも、着実に西へ西へと兵を進め、ついにこの備中高松までやって来た。
中国攻めの主たる、そして最終的な敵手である、毛利家。
備中高松は、毛利家の側についた名将、清水宗治のこもる城である。
城は難攻不落ではあったが、秀吉が、城の周りに川から水を引き込み、その水で囲むという驚天動地の手段に出たため、宗治は進退窮まった。
単に籠城するならともかく、こうして物理的に周りが水という状況では、援兵だの糧秣だのは期待できない。
ただいたずらに、消耗するのみ。
一方の秀吉は、中国攻略の新たな拠点、姫路城より兵糧を続々と運ばせて、城の攻囲に万全のかまえを見せた。
こうして備中高松城は、落城寸前となった。
「となれば、仕上げは、この秀吉ではなく、信長さまか……」
秀吉は周到であった。
このまま、水攻めという、ど派手な攻城をおこなって、人々の耳目を集めて、そのまま勝ってしまうのは、うまくない。
古来、功臣というものに、主、あるいは王たる者は厳しい。
ましてや、相手は織田信長。
ここは、締めをお願いして、花を持たせ、なおかつ、「ここまでやったんだ」と主張しておきたい。
さらには、毛利家の当主・毛利輝元が、「毛利の両川」の吉川元春と小早川隆景、つまり、故・毛利元就の次男と三男と轡を揃えて攻めかかって来たことも大きい。
その数、号して五万。
「こりゃ、ますます仕上げをお願いするしか、なかろうかい」
この時、秀吉の軍は三万だったが、秀吉に負けるつもりはなかった。
何しろ、肝心の備中高松城は水攻めにより、かなりの消耗を強いられ、落城も間近だ。
そのあたりを交渉材料にすれば、いかに五万の大軍とはいえ、身動きは取れまい。
「しかし毛利家は当主・輝元を出してきた。こりゃあ、織田も、相応のお方を出さねば、のう……」
秀吉は信長に使いを出した。
毛利家当主との戦い、あるいは交渉となると、織田家もそれに比肩する人物の出馬が望ましい。
それに、毛利家の最大兵力とおぼしき、五万の大軍。
これを、さらなる兵力で撃破すれば、毛利家は死命を制せられる。
ぜひ、ご出馬を……と。
「秀吉の言や良し」
信長は、こういう、己の器量を試すような真似が、嫌いではない。
そして、秀吉の「裏の意図」も読みつつ、その言葉を首肯した。
「あいもかわらず面白い奴……が、さて、この援兵、いかなるかたちで催したものか」
信長は少し考え、それから帰蝶と話し合った。
帰蝶もそれでいいでしょうと同意を示したため、信長はまず、明智光秀に中国行きを命じることにした。
ついで、織田信忠を京に呼び寄せ、信長が中国に出馬する旨、説明し……。
そして……。
*
「……ま、惟任が来るなら来るで良いわさ」
秀吉は、何と、備中高松城を囲む水堀に、立ち小便しながら、そううそぶいた。
傍らにひかえる黒田官兵衛は、おごそかに沈黙を保っていた。保っていたため、かえって、尿の飛び、落下する音が響いた。
だが、秀吉も官兵衛もどこ吹く風である。
やがて満足した表情の秀吉が衣服を直すと、そこで官兵衛は初めて口を開いた。
「明智。ではなく、惟任、ですか」
「そうよ」
くわんぴょうえは察しがいいのう、と秀吉は相好を崩した。
明智光秀は惟任という姓を朝廷より賜り、かつ、日向守の官位を賜っている。この時、織田家の他の重臣である、丹羽長秀も惟住の姓を賜っている。
惟任と惟住も、九州の名族の姓である。
光秀の官位もまた、日向守であり、九州の土地を冠している。
「かくいう秀吉も筑前守よ。筑前も鎮西(九州のこと)。それはつまり……信長さまの目ぇは、すでに鎮西に向いておられる。凄いお方だ」
秀吉は歎息した。
すでに戦端を開いた戦いの、さらなる「次」の戦いを見据えている。
その信長の「目」が凄いと。
「では、信長さまは、毛利については、滅ぼすか、降伏か、どちらか……と」
この、片足を引きずってついてくる軍師官兵衛の「目」も鋭い。
九州を視野に入れている、つまり、このまま中国攻めの勢いに乗って、九州に攻め込む可能性がある以上、中国の毛利家は邪魔以外の何者でもない。
ゆえに、排除して滅ぼすか、降伏させて従え、来たるべき九州攻めの尖兵とすべきか。
そう信長は考えていると言いたいのだ。
「先走るな、官兵衛」
秀吉は笑った。
謀臣である竹中半兵衛を喪って久しい。
その代わりに、この油断ならぬ官兵衛が頭をもたげた。
半兵衛は半兵衛で秋霜烈日たる男だったが、官兵衛は官兵衛で、真夏のぎらつく太陽のような男だった。
このような悍馬を、いかに乗りこなせるか。
難しいところであるが、それはそれで面白いと思う秀吉であった。
「……ま、そうなることも踏まえて、兵糧なり、軍馬なり、整えておけい」
「承知」
「あ、そうそう。そうすると、人や牛馬の尿やら糞便やら、たいへんなことになるぞ。その辺も、小一郎(羽柴秀長。秀吉の弟)と、よう話して、の」
「安んじてお任せあれ」
官兵衛がちょうど通りかかった秀長に、さきほどの秀吉の言葉を伝えると、秀長は黙ってうなずいて、走って行った。
秀吉の部下である官兵衛よりも、秀長の方が上の立場なのに、秀長は頓着なく官兵衛の言葉に従い、走って行く。
「美点ではあるが、空恐ろしくもあるな」
そんな官兵衛のひとりごとを、知ってか知らずか、秀吉はひょいひょいと先へ進んで行く。
実は、羽柴の陣のにぎやかさに誘われて、遊女やら何やら来ているので、秀吉は彼女らを陣屋に招いていた。
そこに飛び込んでいくつもりなのだ。
「……ねねどのの肌が恋しい、と抜かしていたが、これだ」
官兵衛はあきれ顔だが、一方で、そういうしようもなさこそが、秀吉の長所だと思う。
しようもないからこそ、さきほどの発言のような、尿や糞便やらの心配ができる。生半可な将帥であれば、そのような心配はすまい。
でも、秀吉は、そういうところに気が回る。回るからこそ、大軍を編成し、統率し、運用することができる。
……官兵衛がそんなことを考えていると、早速に秀吉がしけ込んだ陣屋から飛び出してきた。
何事か、と官兵衛が杖を捨てて走り寄ると、秀吉はこう洩らした。
「ねねが」
「奥方が、どうされたか」
「今日の便りを、送ってきていない」
何だ、そんなことか。
官兵衛はそう言わなかった。
秀吉の正室・ねねは、ただの正室ではない。ただの留守居役ではない。
いわば近江長浜、否、京畿における秀吉の代理人だ。
この備中高松における秀吉の副将は、先ほどの弟・秀長だが、京畿における副将といえるのが、ねねだった。
そしてねねは、定期的に、それこそ毎日といっていい頻度で、秀吉に文を送っていた。
「それが」
「今日は、無かったのでござるか」
秀吉は、馬鹿になったかのように、かくかくとうなずいた。
「どうしよう、くわんぴょうえ」
「落ち着かれませ」
その発言は、半ば官兵衛自身に向けられていた。
いつもの便りが無い。
便りの無いのは良い便りというが、この場合は、逆だ。
何か、あったのだ。
それが、悪い便り。
「たしか……」
官兵衛は昨日のねねの便りの内容を思い出す。
信長の正室・帰蝶に招かれて、前田利家の正室・まつと共に京へ、と記されていた。
「京で、何かあったのか」
官兵衛はうろたえる秀吉の肩をつかんで、立ち上がらせた。
「落ち着かれませ。では、京に何があったのか、探らせましょう」
「……頼む。それと、長谷川の宗仁どのに連絡を取ってくれ」
助平親爺のような表情を変えずに、目だけ鋭くする秀吉に、官兵衛は恐怖を感じた。
長谷川宗仁。
信長の側近であり、茶人である。
秀吉はこれに近づき、信長の情報をたびたび入手していた。
その伝手を使ってまで、今のねねの便りが無い理由を探れ、と。
秀吉の鋭い目は、それを語っているのだ。
「……これは、由々しきことやもしれんな」
すでに遊女たちの中へ向かっていた秀吉の背を眺めつつ、官兵衛は十字を切った。
何となく、そうした方が良い気がしたからである。
派手なくしゃみの音が響いた。
その音の主は、羽柴藤吉郎秀吉、その人である。
「……誰ぞ、うわさしとるか」
秀吉は、備中高松城を望む、自陣から出て、その城を囲む水の溜まりへと向かった。
そう、備中高松城は今、秀吉による水攻めにより、陥落寸前であった。
*
天正四年、秀吉は主・織田信長より、中国攻めを命じられた。
以来、足かけ四年、途中で摂津の荒木村重の叛乱などに遭いながらも、着実に西へ西へと兵を進め、ついにこの備中高松までやって来た。
中国攻めの主たる、そして最終的な敵手である、毛利家。
備中高松は、毛利家の側についた名将、清水宗治のこもる城である。
城は難攻不落ではあったが、秀吉が、城の周りに川から水を引き込み、その水で囲むという驚天動地の手段に出たため、宗治は進退窮まった。
単に籠城するならともかく、こうして物理的に周りが水という状況では、援兵だの糧秣だのは期待できない。
ただいたずらに、消耗するのみ。
一方の秀吉は、中国攻略の新たな拠点、姫路城より兵糧を続々と運ばせて、城の攻囲に万全のかまえを見せた。
こうして備中高松城は、落城寸前となった。
「となれば、仕上げは、この秀吉ではなく、信長さまか……」
秀吉は周到であった。
このまま、水攻めという、ど派手な攻城をおこなって、人々の耳目を集めて、そのまま勝ってしまうのは、うまくない。
古来、功臣というものに、主、あるいは王たる者は厳しい。
ましてや、相手は織田信長。
ここは、締めをお願いして、花を持たせ、なおかつ、「ここまでやったんだ」と主張しておきたい。
さらには、毛利家の当主・毛利輝元が、「毛利の両川」の吉川元春と小早川隆景、つまり、故・毛利元就の次男と三男と轡を揃えて攻めかかって来たことも大きい。
その数、号して五万。
「こりゃ、ますます仕上げをお願いするしか、なかろうかい」
この時、秀吉の軍は三万だったが、秀吉に負けるつもりはなかった。
何しろ、肝心の備中高松城は水攻めにより、かなりの消耗を強いられ、落城も間近だ。
そのあたりを交渉材料にすれば、いかに五万の大軍とはいえ、身動きは取れまい。
「しかし毛利家は当主・輝元を出してきた。こりゃあ、織田も、相応のお方を出さねば、のう……」
秀吉は信長に使いを出した。
毛利家当主との戦い、あるいは交渉となると、織田家もそれに比肩する人物の出馬が望ましい。
それに、毛利家の最大兵力とおぼしき、五万の大軍。
これを、さらなる兵力で撃破すれば、毛利家は死命を制せられる。
ぜひ、ご出馬を……と。
「秀吉の言や良し」
信長は、こういう、己の器量を試すような真似が、嫌いではない。
そして、秀吉の「裏の意図」も読みつつ、その言葉を首肯した。
「あいもかわらず面白い奴……が、さて、この援兵、いかなるかたちで催したものか」
信長は少し考え、それから帰蝶と話し合った。
帰蝶もそれでいいでしょうと同意を示したため、信長はまず、明智光秀に中国行きを命じることにした。
ついで、織田信忠を京に呼び寄せ、信長が中国に出馬する旨、説明し……。
そして……。
*
「……ま、惟任が来るなら来るで良いわさ」
秀吉は、何と、備中高松城を囲む水堀に、立ち小便しながら、そううそぶいた。
傍らにひかえる黒田官兵衛は、おごそかに沈黙を保っていた。保っていたため、かえって、尿の飛び、落下する音が響いた。
だが、秀吉も官兵衛もどこ吹く風である。
やがて満足した表情の秀吉が衣服を直すと、そこで官兵衛は初めて口を開いた。
「明智。ではなく、惟任、ですか」
「そうよ」
くわんぴょうえは察しがいいのう、と秀吉は相好を崩した。
明智光秀は惟任という姓を朝廷より賜り、かつ、日向守の官位を賜っている。この時、織田家の他の重臣である、丹羽長秀も惟住の姓を賜っている。
惟任と惟住も、九州の名族の姓である。
光秀の官位もまた、日向守であり、九州の土地を冠している。
「かくいう秀吉も筑前守よ。筑前も鎮西(九州のこと)。それはつまり……信長さまの目ぇは、すでに鎮西に向いておられる。凄いお方だ」
秀吉は歎息した。
すでに戦端を開いた戦いの、さらなる「次」の戦いを見据えている。
その信長の「目」が凄いと。
「では、信長さまは、毛利については、滅ぼすか、降伏か、どちらか……と」
この、片足を引きずってついてくる軍師官兵衛の「目」も鋭い。
九州を視野に入れている、つまり、このまま中国攻めの勢いに乗って、九州に攻め込む可能性がある以上、中国の毛利家は邪魔以外の何者でもない。
ゆえに、排除して滅ぼすか、降伏させて従え、来たるべき九州攻めの尖兵とすべきか。
そう信長は考えていると言いたいのだ。
「先走るな、官兵衛」
秀吉は笑った。
謀臣である竹中半兵衛を喪って久しい。
その代わりに、この油断ならぬ官兵衛が頭をもたげた。
半兵衛は半兵衛で秋霜烈日たる男だったが、官兵衛は官兵衛で、真夏のぎらつく太陽のような男だった。
このような悍馬を、いかに乗りこなせるか。
難しいところであるが、それはそれで面白いと思う秀吉であった。
「……ま、そうなることも踏まえて、兵糧なり、軍馬なり、整えておけい」
「承知」
「あ、そうそう。そうすると、人や牛馬の尿やら糞便やら、たいへんなことになるぞ。その辺も、小一郎(羽柴秀長。秀吉の弟)と、よう話して、の」
「安んじてお任せあれ」
官兵衛がちょうど通りかかった秀長に、さきほどの秀吉の言葉を伝えると、秀長は黙ってうなずいて、走って行った。
秀吉の部下である官兵衛よりも、秀長の方が上の立場なのに、秀長は頓着なく官兵衛の言葉に従い、走って行く。
「美点ではあるが、空恐ろしくもあるな」
そんな官兵衛のひとりごとを、知ってか知らずか、秀吉はひょいひょいと先へ進んで行く。
実は、羽柴の陣のにぎやかさに誘われて、遊女やら何やら来ているので、秀吉は彼女らを陣屋に招いていた。
そこに飛び込んでいくつもりなのだ。
「……ねねどのの肌が恋しい、と抜かしていたが、これだ」
官兵衛はあきれ顔だが、一方で、そういうしようもなさこそが、秀吉の長所だと思う。
しようもないからこそ、さきほどの発言のような、尿や糞便やらの心配ができる。生半可な将帥であれば、そのような心配はすまい。
でも、秀吉は、そういうところに気が回る。回るからこそ、大軍を編成し、統率し、運用することができる。
……官兵衛がそんなことを考えていると、早速に秀吉がしけ込んだ陣屋から飛び出してきた。
何事か、と官兵衛が杖を捨てて走り寄ると、秀吉はこう洩らした。
「ねねが」
「奥方が、どうされたか」
「今日の便りを、送ってきていない」
何だ、そんなことか。
官兵衛はそう言わなかった。
秀吉の正室・ねねは、ただの正室ではない。ただの留守居役ではない。
いわば近江長浜、否、京畿における秀吉の代理人だ。
この備中高松における秀吉の副将は、先ほどの弟・秀長だが、京畿における副将といえるのが、ねねだった。
そしてねねは、定期的に、それこそ毎日といっていい頻度で、秀吉に文を送っていた。
「それが」
「今日は、無かったのでござるか」
秀吉は、馬鹿になったかのように、かくかくとうなずいた。
「どうしよう、くわんぴょうえ」
「落ち着かれませ」
その発言は、半ば官兵衛自身に向けられていた。
いつもの便りが無い。
便りの無いのは良い便りというが、この場合は、逆だ。
何か、あったのだ。
それが、悪い便り。
「たしか……」
官兵衛は昨日のねねの便りの内容を思い出す。
信長の正室・帰蝶に招かれて、前田利家の正室・まつと共に京へ、と記されていた。
「京で、何かあったのか」
官兵衛はうろたえる秀吉の肩をつかんで、立ち上がらせた。
「落ち着かれませ。では、京に何があったのか、探らせましょう」
「……頼む。それと、長谷川の宗仁どのに連絡を取ってくれ」
助平親爺のような表情を変えずに、目だけ鋭くする秀吉に、官兵衛は恐怖を感じた。
長谷川宗仁。
信長の側近であり、茶人である。
秀吉はこれに近づき、信長の情報をたびたび入手していた。
その伝手を使ってまで、今のねねの便りが無い理由を探れ、と。
秀吉の鋭い目は、それを語っているのだ。
「……これは、由々しきことやもしれんな」
すでに遊女たちの中へ向かっていた秀吉の背を眺めつつ、官兵衛は十字を切った。
何となく、そうした方が良い気がしたからである。
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