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小学校編
結婚六カ年計画 29-3
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2017年10月14日 土曜日。 9時17分。
「梨杏とあの子、どっちが勝ったんですか?」
ゴールを超えて屈んで息を整えていると、一位の旗を持った先生が私を元へ訪れた。
やった、勝てたんだと一安心する。
トラックを出て左右さん達の所へ向かおうとすると金髪碧眼のあの女の子が私の元へやってきた。
「こんな負け方生まれて初めてです! 覚えていてください!」
お人形さんの様に可愛い外国人の女の子はとても怒っている。
怖い一方でどこかその姿すらも可愛らしい。
折角なら仲良くなりたいのだけど……。
「そんな、良い勝負だったわよ? 本当にギリギリの差だったもの」
宥めようと発言したら彼女の顔が真っ赤に染まる。
「お、おっぱいの差で負けたんですよ! こんな屈辱、初めてです!
私は3組のリナ、これからあなたに勉強も運動も絶対に負けませんからね!」
そう言うと金髪の少女……リナちゃんは頭から煙を出しそうになりながら隣のテントに戻る。
テントでは、彼女が大人になった容姿の様なとてつもない美人が待っていて泣きつくリナちゃんを慰めていた。
「お疲れ様、梨杏ちゃん」
私も3組のテントに戻ると左右さんが労ってくれて、院長先生や春佳さんも同様に褒めてくれた。
「ありがとう、パパ。私頑張ったわ。
それに院長先生や春佳さんまで応援に来てくれるなんて嬉しいです」
「ふたりには梨杏ちゃんを驚かそうとして内緒で教えてんだ。ごめんね」
左右さんが考えてくれたサプライズらしく、とても嬉しい。
私が喜んでいる様子を見て院長先生達も満足そうに笑みを浮かべていた。
「それにしてもLianちゃん、速かったわねー。あの金髪の子も速かったけど」
春佳さんが言う通り本当にギリギリで、信じられないけどあの子が言う様に、確かに胸の差で勝負が決まったのかもしれない。
気にする人からすれば確かに屈辱なのかも知れないが。
「私、初めて同性との競争で負けそうになりました。何故か気合も凄かったですし……」
恐怖すら感じる程だ。
でも、どこか憎めない女の子だった。できれば、友達になりたい。
******
その後、運動会のプログラムが進み、私はリレーにも出場して2組の優勝に少しだけ貢献した。
疲れたので閉会式が終わり解散の後、私は左右さんと一緒に家へ帰り応援に来てくれた院長先生や春佳さんと別れる。
ふたりは意気投合した様でこの後食事に行く様だ。
帰り道。
「お疲れ様、梨杏ちゃん。今日は大活躍だったね」
「ありがとう、パパ。皆が応援に来てくれたお陰よ」
私達は他の友達と同様に家族で校庭を出ていく。
少し歩いて、さりげなく彼の手を握った。
大きく、男らしい硬いてのひらはいつ握っても安心する。
「僕は徒競走が苦手だったからなぁ。足も遅かったし。梨杏ちゃんは凄いよ」
意外である。
空手と柔道の黒帯で、運動神経が万能そうな左右さんが走るのが苦手だったなんて。
彼のコトをひとつ知れて得した気分だ。
「足が遅くても梨杏、パパが大好きだよ?」
「ふふっ、嬉しいな」
敬語を使わなくなってから、より左右さんに好意を伝えられる様になった。
無論、本来の意味ではきっと伝わらない。でもそれでいい。
何れそれだけでは不満になる日が訪れるまでは。
でも、あの青いおめめで金髪の、強烈な個性の女の子。
どことなく気になるのは何故だろうか。
☆新規計画達成項目
・2017年10月14日 運動会の徒競走で一位になった。
「梨杏とあの子、どっちが勝ったんですか?」
ゴールを超えて屈んで息を整えていると、一位の旗を持った先生が私を元へ訪れた。
やった、勝てたんだと一安心する。
トラックを出て左右さん達の所へ向かおうとすると金髪碧眼のあの女の子が私の元へやってきた。
「こんな負け方生まれて初めてです! 覚えていてください!」
お人形さんの様に可愛い外国人の女の子はとても怒っている。
怖い一方でどこかその姿すらも可愛らしい。
折角なら仲良くなりたいのだけど……。
「そんな、良い勝負だったわよ? 本当にギリギリの差だったもの」
宥めようと発言したら彼女の顔が真っ赤に染まる。
「お、おっぱいの差で負けたんですよ! こんな屈辱、初めてです!
私は3組のリナ、これからあなたに勉強も運動も絶対に負けませんからね!」
そう言うと金髪の少女……リナちゃんは頭から煙を出しそうになりながら隣のテントに戻る。
テントでは、彼女が大人になった容姿の様なとてつもない美人が待っていて泣きつくリナちゃんを慰めていた。
「お疲れ様、梨杏ちゃん」
私も3組のテントに戻ると左右さんが労ってくれて、院長先生や春佳さんも同様に褒めてくれた。
「ありがとう、パパ。私頑張ったわ。
それに院長先生や春佳さんまで応援に来てくれるなんて嬉しいです」
「ふたりには梨杏ちゃんを驚かそうとして内緒で教えてんだ。ごめんね」
左右さんが考えてくれたサプライズらしく、とても嬉しい。
私が喜んでいる様子を見て院長先生達も満足そうに笑みを浮かべていた。
「それにしてもLianちゃん、速かったわねー。あの金髪の子も速かったけど」
春佳さんが言う通り本当にギリギリで、信じられないけどあの子が言う様に、確かに胸の差で勝負が決まったのかもしれない。
気にする人からすれば確かに屈辱なのかも知れないが。
「私、初めて同性との競争で負けそうになりました。何故か気合も凄かったですし……」
恐怖すら感じる程だ。
でも、どこか憎めない女の子だった。できれば、友達になりたい。
******
その後、運動会のプログラムが進み、私はリレーにも出場して2組の優勝に少しだけ貢献した。
疲れたので閉会式が終わり解散の後、私は左右さんと一緒に家へ帰り応援に来てくれた院長先生や春佳さんと別れる。
ふたりは意気投合した様でこの後食事に行く様だ。
帰り道。
「お疲れ様、梨杏ちゃん。今日は大活躍だったね」
「ありがとう、パパ。皆が応援に来てくれたお陰よ」
私達は他の友達と同様に家族で校庭を出ていく。
少し歩いて、さりげなく彼の手を握った。
大きく、男らしい硬いてのひらはいつ握っても安心する。
「僕は徒競走が苦手だったからなぁ。足も遅かったし。梨杏ちゃんは凄いよ」
意外である。
空手と柔道の黒帯で、運動神経が万能そうな左右さんが走るのが苦手だったなんて。
彼のコトをひとつ知れて得した気分だ。
「足が遅くても梨杏、パパが大好きだよ?」
「ふふっ、嬉しいな」
敬語を使わなくなってから、より左右さんに好意を伝えられる様になった。
無論、本来の意味ではきっと伝わらない。でもそれでいい。
何れそれだけでは不満になる日が訪れるまでは。
でも、あの青いおめめで金髪の、強烈な個性の女の子。
どことなく気になるのは何故だろうか。
☆新規計画達成項目
・2017年10月14日 運動会の徒競走で一位になった。
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