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小学校編
結婚六カ年計画 29
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2017年10月14日 土曜日。 7時30分。
運動会当日。
体操着に着替え、左右さんと一緒に学校へ向かった。
昨日準備していた日よけ用のテントが所狭しと並べられている。
6学年で30クラスもある為に、競技に関連する学年の保護者と競技者のみがトラック前の観客席用のテントに移動し、次の競技の前に戻る流れだ。
5年5組のテントに向かう。相田先生だけ既に待っていた。
「おはようございます、左右さん。
おはよう、梨杏ちゃん」
「先生、おはようございます」
「おはようございます、相田先生」
左右さんが挨拶を返すと先生は、私やクラスメイトに見せるものとは違う笑顔を浮かべる。
やっぱり左右さんが好きなのだ。
「運動会って良いですよね。子供の頃を思い出します」
先生が左右さんに話す。
大丈夫、左右さんは先生とは恋愛対象になれないと言っていた。
「そうですね。僕なんて小学校の運動会に来たコトが26年振りですし、こんなに大きな小学校ではありませんでしたから驚きです」
「私が小学生だったのだって12年前ですからね。実はこの白小卒業生だったりします」
先生が卒業生だったと言うコトが知らなかったと思いながら、二人の会話を聞いている。
やはり大人同士の会話と言う感じで私も早く、左右さんからそう言う対象になりたいと思いながら彼を見た。
すると、左右さんが私の視線に気付いたのか私を訪ねる。
「梨杏ちゃん、今日は徒競走とリレー頑張ってね。でも怪我はしちゃダメだよ」
「うん、頑張るわ」
すると先生が少し驚いた表情を見せる。
多分、私が左右さんに敬語を使ってないからだ。
「パパ、私が一等賞になったら沢山褒めてね」
「勿論だよ、梨杏ちゃん。例え一番最後でも褒めるからね」
「ふふっ、ありがとうパパ」
左右さんは体操帽の上から頭を撫でてくれ、私は照れた。
先生が羨ましそうにこちらの様子を眺めていた。
「梨杏ちゃんは本当にお父さんと仲がいいのね」
「はいっ、勿論です」
「そうなのね。先生もお父さんと仲良くなっても良い?」
思わず、返事に詰まりそうになる。
ダメだなんて言えないじゃないか。
「は、はい。パパとも仲良くして頂けると嬉しいです」
「ん、ありがとう梨杏ちゃん。そろそろ準備してくるね」
先生は満足そうに笑みを浮かべ校舎へ向かっていった。
少し、不安になる。
左右さんは先生と恋仲になったりはしないようなコトは話していたけどそれでもだ。
やはり年齢の壁は大きい。
そう考えていると左右さんは再び体操帽の上から優しく撫でてくれた。感情が伝わっていたらしい。
「相田先生は、元気で魅力的な女性だね」
思わず私は驚く。先生とは教師と生徒の親以上の仲にはならないって言ったのに。
思った瞬間、左右さんの言葉は続く。
「でも、梨杏ちゃんがもっと魅力的な女の子ってコトも僕は知ってるよ」
もしかすると嫉妬心を見通されているのかも知れない。
でも私は存外に単純な性格の様で、胸の内から元気が湧いてくるコトに気付いた。
頬が熱くなる。
これもきっと見透かされているのだろう。
「ありがとう、パパ。私、パパのためにもっと魅力的になるわ」
それは嬉しいなと左右さんは返してくれて、これからも頑張ろうと私は思った。
本当に私は単純だ。
運動会当日。
体操着に着替え、左右さんと一緒に学校へ向かった。
昨日準備していた日よけ用のテントが所狭しと並べられている。
6学年で30クラスもある為に、競技に関連する学年の保護者と競技者のみがトラック前の観客席用のテントに移動し、次の競技の前に戻る流れだ。
5年5組のテントに向かう。相田先生だけ既に待っていた。
「おはようございます、左右さん。
おはよう、梨杏ちゃん」
「先生、おはようございます」
「おはようございます、相田先生」
左右さんが挨拶を返すと先生は、私やクラスメイトに見せるものとは違う笑顔を浮かべる。
やっぱり左右さんが好きなのだ。
「運動会って良いですよね。子供の頃を思い出します」
先生が左右さんに話す。
大丈夫、左右さんは先生とは恋愛対象になれないと言っていた。
「そうですね。僕なんて小学校の運動会に来たコトが26年振りですし、こんなに大きな小学校ではありませんでしたから驚きです」
「私が小学生だったのだって12年前ですからね。実はこの白小卒業生だったりします」
先生が卒業生だったと言うコトが知らなかったと思いながら、二人の会話を聞いている。
やはり大人同士の会話と言う感じで私も早く、左右さんからそう言う対象になりたいと思いながら彼を見た。
すると、左右さんが私の視線に気付いたのか私を訪ねる。
「梨杏ちゃん、今日は徒競走とリレー頑張ってね。でも怪我はしちゃダメだよ」
「うん、頑張るわ」
すると先生が少し驚いた表情を見せる。
多分、私が左右さんに敬語を使ってないからだ。
「パパ、私が一等賞になったら沢山褒めてね」
「勿論だよ、梨杏ちゃん。例え一番最後でも褒めるからね」
「ふふっ、ありがとうパパ」
左右さんは体操帽の上から頭を撫でてくれ、私は照れた。
先生が羨ましそうにこちらの様子を眺めていた。
「梨杏ちゃんは本当にお父さんと仲がいいのね」
「はいっ、勿論です」
「そうなのね。先生もお父さんと仲良くなっても良い?」
思わず、返事に詰まりそうになる。
ダメだなんて言えないじゃないか。
「は、はい。パパとも仲良くして頂けると嬉しいです」
「ん、ありがとう梨杏ちゃん。そろそろ準備してくるね」
先生は満足そうに笑みを浮かべ校舎へ向かっていった。
少し、不安になる。
左右さんは先生と恋仲になったりはしないようなコトは話していたけどそれでもだ。
やはり年齢の壁は大きい。
そう考えていると左右さんは再び体操帽の上から優しく撫でてくれた。感情が伝わっていたらしい。
「相田先生は、元気で魅力的な女性だね」
思わず私は驚く。先生とは教師と生徒の親以上の仲にはならないって言ったのに。
思った瞬間、左右さんの言葉は続く。
「でも、梨杏ちゃんがもっと魅力的な女の子ってコトも僕は知ってるよ」
もしかすると嫉妬心を見通されているのかも知れない。
でも私は存外に単純な性格の様で、胸の内から元気が湧いてくるコトに気付いた。
頬が熱くなる。
これもきっと見透かされているのだろう。
「ありがとう、パパ。私、パパのためにもっと魅力的になるわ」
それは嬉しいなと左右さんは返してくれて、これからも頑張ろうと私は思った。
本当に私は単純だ。
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