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空茶屋
ソラマメと拓海
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「ねえ、空ちゃん。私ね、結婚するの。だからさ、もう会うのやめよっか」
彼女の言葉を理解するのに数秒かかった。結婚?誰と?この2年間、隣にずっと、ずっといたのは俺じゃないのか?確かに俺達は付き合おうと約束もしていないし、お互いの気持ちも確認はしていない。だけど、だけどずっと一番近くに居たのは俺じゃないのか?
「あのね。お腹に、赤ちゃんがいるの。大丈夫。空ちゃんの子供じゃないよ。私ね、やっぱり彼が忘れられなくてさーーー」
もう、殆ど何を言っていたかは覚えていない。ただ、ひとつ理解できたのは、俺との関係が始まった後も、結局は彼と終わりきれず続いていて、結局は、俺じゃなくて彼が全てだった、という事だ。
こんな仕打ちがあるだろうか。何も知らずに、俺は彼女が全てだったし、彼女にとっても俺が全てだと信じていた。確認はしていなくても、通じ合っていると思っていた。ずっと、隣にいるのは俺だと思っていた。
信じたくないけれど、悪気もなく笑顔で話す彼女を見ていると、俺に残された選択は、受け入れる、それしか残されていなかった。
そんな人生最悪の日を迎えた次の日、ソラマメと出会ったんだ。
彼女の言葉を理解するのに数秒かかった。結婚?誰と?この2年間、隣にずっと、ずっといたのは俺じゃないのか?確かに俺達は付き合おうと約束もしていないし、お互いの気持ちも確認はしていない。だけど、だけどずっと一番近くに居たのは俺じゃないのか?
「あのね。お腹に、赤ちゃんがいるの。大丈夫。空ちゃんの子供じゃないよ。私ね、やっぱり彼が忘れられなくてさーーー」
もう、殆ど何を言っていたかは覚えていない。ただ、ひとつ理解できたのは、俺との関係が始まった後も、結局は彼と終わりきれず続いていて、結局は、俺じゃなくて彼が全てだった、という事だ。
こんな仕打ちがあるだろうか。何も知らずに、俺は彼女が全てだったし、彼女にとっても俺が全てだと信じていた。確認はしていなくても、通じ合っていると思っていた。ずっと、隣にいるのは俺だと思っていた。
信じたくないけれど、悪気もなく笑顔で話す彼女を見ていると、俺に残された選択は、受け入れる、それしか残されていなかった。
そんな人生最悪の日を迎えた次の日、ソラマメと出会ったんだ。
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