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「ぁ……っ」


突き上げるようにお尻を持ち上げられ、そこから私を愛し始めた勇さん。
優しくも激しい行為に、私の身体も中から熱くなってくる。


「ぁっ、勇 さ…んっ//」


勇さんに抱かれるのはとっても幸せで、とっても大好き。

だけど今…気持ちだけは半分、勇さんとは別の方を向いていたの。
こんなにも内から刺激しちゃって、赤ちゃんは大丈夫なのかなぁって。


もしかしたら面倒くさい存在と思われてるかもしれない、お腹の赤ちゃん。

このまま、誰からも愛されない存在になっていくの?
誰が守ってくれるの?


「ぁっ んっ、ゃ ぁ…っ」

「優、もっと鳴けよ。
もっとエロい声、俺に聞かせろっ」


尚も止まない勇さんの愛。
私の中を、勇さんがかき回していく!



__誰が守るって…?
そんなの、私しかいないじゃない!!



「ま、待って、勇 さ…ぁんっ」

「なんだよ、また急にそんな事言って。
まだ終わらせねぇぞ」


今度は私の身体をベッドに倒すと、私の上になった。
足を大きく広げられ、まだ熱く大きく反り返ってる勇さんが力強く入ってきたの。


「ずっと我慢してたからな。今日はちょっと優しくできないけど、その分優にも目一杯感じさせてやるよ」


「ひゃあっ」


腰を抱えられ、そう言って下から激しく突き上げてきた。

ダメっ
そんなに激しくしちゃあ、赤ちゃんが痛いよぉっ!


「だめっ、だめ…っ」


「そんな顔して、俺を煽ろうなんて__」

「いやっ!
もう、やめてぇっ!!」

「___________っ」


思わず口から出た叫び声に、勇さんの動きがピタリと止まった。

ぁ、私、今なんて…っ



「あ…あの違っ、ごめ…」

「……悪かったな、調子に乗って」


「ぁ…っ」


勇さんは、私の身体からゆっくりと離れた。

何だか身体だけじゃない、それはまるで心まで一緒に離れたみたいな感覚__…。



「違うのっ、待って………」

「悪ぃ、俺もう少し寝るわ」


パジャマの乱れた私に背を向けた勇さんは、そのままベッドの毛布を頭から被った。


…え………?

やだ、違うよ!
エッチするのが嫌だったんじゃないの!

ただ、お腹の赤ちゃんに負担がかかったらって思っただけで…。

そんなつもりは、全然ないんだよぉ…っ!!











変なすれ違いを生じたまま、時間が過ぎた。

また寝てしまった勇さんを置いて、仕方なく私は仕事に行く。


どうしよう…
もしかして、嫌われちゃったのかな。

情交中にあんな断られ方されたら、勇さんだって傷付くよね…。


私ったらバカ。
もっと違う言い方だってあったハズなのにぃっ





そんなどんよりとした気持ちのまま職場に着くと、いつも通り開店の準備から始める。

レジを開けて外の掃除をし、今日発売の雑誌を陳列して照明に空調。

それから…



「…あ」


店内のチェックをしていると、また妊婦さん用の本が目に付く。



「………………」


まだ開店まで少し時間があるのを確認すると、妊娠中の過ごし方が書かれているその本を手に取って見た。


あんなヒドい断り方をしたものの、やっぱりお腹の赤ちゃんの心配はしていたわけで。

目次のページをめくると、私はある項目を探して指でなぞる。



「…あった。
妊娠中の性行為」


今日は日曜日だから仕事が終わってアパートに帰れば、勇さんがいる。
その時に、まだ怒ってたりしなければいいんだけどな…


そんな心配もあるんだけど、でも気になるのは今日の激しい刺激、大丈夫かなぁって。


ペラペラとページをめくって、妊娠中の性行為の現実を知っていく。


「…………ふむふむ…」


まだ小さく、か弱い存在だろう赤ちゃん。
すぐ近くに位置する所なんだから、あんな事…

そう思っていたのだけど、意外にも本に書かれていた事は真逆だった。



あんまり激しい行為はやっぱり良くないみたい。
特に初期と後期はね。

だからって全くダメなわけじゃなく、無理なく心地よいペースならばむしろ精神的にも勧められてたりするようだった。

気持ちが不安定になりやすい妊娠期間。
それで安心や癒やしを感じる事が出来るなら、シてもいいんだって。


「………へぇ…」


本に書いてあるような、お腹の痛みや出血があったわけでもない。

だけどとりあえず注意しなきゃならないのは、お腹と胸は繋がってるから、胸にあまり刺激を与えないようにしなきゃならないみたい。

というわけで、とりあえず今朝の場合は大丈夫だったみたいだ。



「良かったぁ…」


とりあえずお腹の無事がわかったのは安心した。

だけど次は勇さんへの誤解と妊娠してる事の話、それから明日の高梨さんへの返事にお母さんからの電話。


うーん、まだまだ頭を悩ませる事はいっぱいだぁ…。
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