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お母さんとの電話を切ると、私はそのまますぐに着信履歴を出した。
毎日同じ番号からの着信。
登録はしてないけど、この番号は間違いなく高梨さんからの電話なのだ。
その番号に合わせると、私は発信ボタンを押した。
「…………………っ」
数秒後のコールが2回鳴った辺りで、発信の相手が電話に出た。
『やぁ、優。
そろそろ優の方からかけてくれると思ったよ』
「高梨さん!」
そろそろかかってくると思っただなんて、それって私がかけてくる心当たりがあったって事?
お母さんの所に行って勝手に式の話にまで持って行ったのは高梨さんだったのね!
「確かに電話に出れなかった私も悪かったですけど、でも勝手に結婚の話を進めちゃうなんてヒドいじゃないですかぁ!」
さっきお母さんに言った事を、今度は高梨さんにも言った。
『心外だなぁ。
別に僕1人が勝手に決めたわけじゃないよ。
優のお母さんとお話したら、優も僕と上手くいってるって話したんだろ?
だから、両性の同意のもとで話を進めたつもりだよ』
私が高梨さんと上手くいってる?
そんな事を私がお母さんに言うわけ――――…あっ!
日曜日の夜に電話した時の事だ。
――『…そうよ。
私、ユウさんとは上手くいってるの!』
――『まぁ、悠さんだなんて。
もう名前で呼び合ってる仲なのね』
――『ん…まぁね』
…思い出した。
言った。
確かに私はそう言ったわ。
まさか、お母さんがそんなセリフまで覚えていたなんて…!
『嬉しいよ。
優が僕との関係をそんな風に思ってくれていたなんて』
「あ あれは違うんです!
あれは高梨さんの事じゃなくて、私の…」
『いい加減に悪あがきはやめたらどうだい?
もう君は、僕のものになるんだよ』
……………………っ!
今は遠くにいる高梨さんなのに、まるで身も心も捕らえられたみたいでゾクッとした。
僕のものになる…?
私が、高梨さんのものに…
勇さんじゃなくて、高梨さんのものに…!
「ま 待って下さい!
お願いですから、話を勝手に進めないで!
私、まだ…っ」
『だから、話を進めたのは僕じゃないよ。
母さんも喜んでくれてるけど、一番本気になってるのは優のお母さんなんだよ』
お母さん…!
…そうだ。
私はいつも逃げてばかりだったわ。
私が逃げている間に、高梨さんと高梨さんのお母さんと私のお母さんは話し合っていたんだ。
自分で種を蒔いておいて、芽は出ているのに見向きもしないで…
「私、今からお母さんの所に行って話します!
前も言いましたが、私には恋人がいるんです。
高梨さんには改めて謝りたいとは思ってます。
だから…本当にごめんなさい!!」
それだけ言うと、私は高梨さんの返事を待たずして電話を切った。
そしてすぐに実家に帰る為に、ショルダーバッグを持って外に出た。
胸の奥がゾワゾワする。
だんだんと大変な事になってきたのはわかってる。
だけど、全部私が優柔不断なのが悪かっただけ。
みんなは誰も悪くないの。
だから…今日はちゃんと謝らなきゃ!
お母さんにも
高梨さんのお母さんにも
高梨さんにも
…勇さんにも!
2時間かけてようやく到着した駅から、実家まで猛ダッシュする。
実家の前まで来ると一度息を整え、私は玄関のドアを勢い良くガラガラと開けた。
「ただいまぁ!
お母さん!!」
靴を脱いでドカドカと中にあがっていく娘に、お母さんは半ば呆れ顔で私を出迎えた。
「まぁまぁ、慌ただしいんだから優は。
今お茶入れてあげるから、適当に座ってなさい」
「お茶なんていいから!
高梨さんとどこまで話を進めたのか、早く教えて!」
キッチンに向かうお母さんの袖を引っ張り、私はリビングのテーブルに向かい合うように座らせた。
毎日同じ番号からの着信。
登録はしてないけど、この番号は間違いなく高梨さんからの電話なのだ。
その番号に合わせると、私は発信ボタンを押した。
「…………………っ」
数秒後のコールが2回鳴った辺りで、発信の相手が電話に出た。
『やぁ、優。
そろそろ優の方からかけてくれると思ったよ』
「高梨さん!」
そろそろかかってくると思っただなんて、それって私がかけてくる心当たりがあったって事?
お母さんの所に行って勝手に式の話にまで持って行ったのは高梨さんだったのね!
「確かに電話に出れなかった私も悪かったですけど、でも勝手に結婚の話を進めちゃうなんてヒドいじゃないですかぁ!」
さっきお母さんに言った事を、今度は高梨さんにも言った。
『心外だなぁ。
別に僕1人が勝手に決めたわけじゃないよ。
優のお母さんとお話したら、優も僕と上手くいってるって話したんだろ?
だから、両性の同意のもとで話を進めたつもりだよ』
私が高梨さんと上手くいってる?
そんな事を私がお母さんに言うわけ――――…あっ!
日曜日の夜に電話した時の事だ。
――『…そうよ。
私、ユウさんとは上手くいってるの!』
――『まぁ、悠さんだなんて。
もう名前で呼び合ってる仲なのね』
――『ん…まぁね』
…思い出した。
言った。
確かに私はそう言ったわ。
まさか、お母さんがそんなセリフまで覚えていたなんて…!
『嬉しいよ。
優が僕との関係をそんな風に思ってくれていたなんて』
「あ あれは違うんです!
あれは高梨さんの事じゃなくて、私の…」
『いい加減に悪あがきはやめたらどうだい?
もう君は、僕のものになるんだよ』
……………………っ!
今は遠くにいる高梨さんなのに、まるで身も心も捕らえられたみたいでゾクッとした。
僕のものになる…?
私が、高梨さんのものに…
勇さんじゃなくて、高梨さんのものに…!
「ま 待って下さい!
お願いですから、話を勝手に進めないで!
私、まだ…っ」
『だから、話を進めたのは僕じゃないよ。
母さんも喜んでくれてるけど、一番本気になってるのは優のお母さんなんだよ』
お母さん…!
…そうだ。
私はいつも逃げてばかりだったわ。
私が逃げている間に、高梨さんと高梨さんのお母さんと私のお母さんは話し合っていたんだ。
自分で種を蒔いておいて、芽は出ているのに見向きもしないで…
「私、今からお母さんの所に行って話します!
前も言いましたが、私には恋人がいるんです。
高梨さんには改めて謝りたいとは思ってます。
だから…本当にごめんなさい!!」
それだけ言うと、私は高梨さんの返事を待たずして電話を切った。
そしてすぐに実家に帰る為に、ショルダーバッグを持って外に出た。
胸の奥がゾワゾワする。
だんだんと大変な事になってきたのはわかってる。
だけど、全部私が優柔不断なのが悪かっただけ。
みんなは誰も悪くないの。
だから…今日はちゃんと謝らなきゃ!
お母さんにも
高梨さんのお母さんにも
高梨さんにも
…勇さんにも!
2時間かけてようやく到着した駅から、実家まで猛ダッシュする。
実家の前まで来ると一度息を整え、私は玄関のドアを勢い良くガラガラと開けた。
「ただいまぁ!
お母さん!!」
靴を脱いでドカドカと中にあがっていく娘に、お母さんは半ば呆れ顔で私を出迎えた。
「まぁまぁ、慌ただしいんだから優は。
今お茶入れてあげるから、適当に座ってなさい」
「お茶なんていいから!
高梨さんとどこまで話を進めたのか、早く教えて!」
キッチンに向かうお母さんの袖を引っ張り、私はリビングのテーブルに向かい合うように座らせた。
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