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17時。
仕事が終わり、エプロンを外してロッカーに入れる。
それからショルダーバッグを取り出して一応ケータイを見て中を確認した。
「ん…?」
画面には『着信一件』の文字が。
基本的に自分のケータイにかかってくるのはお母さんがほとんどだ。
だから着信の文字すら普通あまりお目にかかる事もない。
私は少し不安を感じながらも着信の相手を確認した。
「…誰だろう」
そこに表示されたのは私のケータイに登録していない番号だったので、数字が11桁並んでいるだけだった。
090から始まっているから携帯電話からなんだろうけど、知らない番号に自分からかけるのはちょっと気が引ける。
「…ま、いっか」
ケータイを閉じると、私は職場から出た。
さて、お買い物行って夕飯の支度しなきゃね。
…♪♪♪ ♪♪♪…
それからアパートに帰りいつも通り1人で家事をこなしていると、テーブルの上に置いておいたケータイが鳴った。
開いて見てみると、さっきと同じ番号が表示されている。
「お母さん、ケータイの番号変えたのかなぁ。
だったら出ないと困るよね」
ちょっと不安もあったけど、私は相手が誰だかわからない電話に出てみた。
「も もしもし…?」
『もしもし。
…相川 優さん、かな?』
聞き覚えのある男性の声だった。
「はい…。
えっと…もしかして、高梨さん?」
『そうだよ。
あぁよかった、今度はつながった。
忙しかったかな?ごめんね』
「あ、いえ…」
そういえば会う約束はしたけど、ケータイの番号なんて交換していない。
なのに、まさか私のケータイに電話がかかってくるなんて。
「あの…私の番号は…」
『あぁ、ごめんごめん。
相川さんと連絡取りたくて電話をかけたらお母さんが出られてね。お母さんから携帯の番号を教えてもらったんだよ。
相川さんって、今1人暮らしなんだね』
「あー…はい…」
お見合いした仲なんだ。仲人さんから聞いたのだろうから、高梨さんは初め私の実家にかけたのね。
それでお母さんが出ちゃって、勝手に番号教えて1人暮らしって事も言ったんだわ。
普通相手の電話番号を預かって、私からかけ直させない?
いくらお見合い相手だからって、プライバシーも何もないじゃない。
『…ごめんね。
気分悪くさせちゃったかな』
「あ いえっ
…大丈夫です…」
まぁ高梨さんは悪い人じゃないからよかったけど。
お母さんにはもう少し気を付けてもらうように言わなくちゃ!
スーパーで買ってきた材料を冷蔵庫に入れ、洗濯物を取り込んで畳んでいる最中だった。
その手を止めて、私は高梨さんからの電話に集中した。
『昨日言った買い物に付き合ってもらう件なんだけど、相川さんの予定を訊いておきたくてね』
「あ、そうですね。
えっと、私は…次は水曜日なら予定空いてます。
だけど、高梨さんは土日の方が都合いいですか?」
お見合いも本当は土曜日がよかったっぽい感じだったなぁ。
私の都合で金曜日にしてもらったんだよね。
社長さんだもん、やっぱり休みは土日なのかな。
『僕はいつでも相川さんの予定に合わせるよ。
水曜日だね、じゃあ水曜日に迎えに行くよ。
今住んでる所はお母さんの所から遠いのかな?』
えっ
ここまで迎えに来る!?
ダメダメ!
そんな事して勇さんに見つかったら大変な事だよっ
「あっ、あのっ
私の方が行きますから!」
『何言ってるの。
昨日も言ったけど、そういうのは男の役目なんだよ』
「いえ、でも…っ」
お母さんは電話で、私は1人暮らしって言ったみたいだった。
確かに私はお母さんに勇さんと付き合ってる事は話したけど、同棲してる事までは言ってない。
だから高梨さんも、きっと私は本当に1人暮らしだと思ってるんだわ。
私に恋人がいる事は知ってるんだから高梨さんに同棲してる事を知られるのはいいんだけど、私の心配は勇さんだけ。
いくらただのお買い物の付き合いでも、相手は一応お見合い相手。
「わ、私その日また実家に行く用事があるんで、じゃあ、お迎えはうちの実家でいいですか?」
余計な心配させたくないもの。
何が何でも勇さんにはバレないようにしなきゃだよ!
仕事が終わり、エプロンを外してロッカーに入れる。
それからショルダーバッグを取り出して一応ケータイを見て中を確認した。
「ん…?」
画面には『着信一件』の文字が。
基本的に自分のケータイにかかってくるのはお母さんがほとんどだ。
だから着信の文字すら普通あまりお目にかかる事もない。
私は少し不安を感じながらも着信の相手を確認した。
「…誰だろう」
そこに表示されたのは私のケータイに登録していない番号だったので、数字が11桁並んでいるだけだった。
090から始まっているから携帯電話からなんだろうけど、知らない番号に自分からかけるのはちょっと気が引ける。
「…ま、いっか」
ケータイを閉じると、私は職場から出た。
さて、お買い物行って夕飯の支度しなきゃね。
…♪♪♪ ♪♪♪…
それからアパートに帰りいつも通り1人で家事をこなしていると、テーブルの上に置いておいたケータイが鳴った。
開いて見てみると、さっきと同じ番号が表示されている。
「お母さん、ケータイの番号変えたのかなぁ。
だったら出ないと困るよね」
ちょっと不安もあったけど、私は相手が誰だかわからない電話に出てみた。
「も もしもし…?」
『もしもし。
…相川 優さん、かな?』
聞き覚えのある男性の声だった。
「はい…。
えっと…もしかして、高梨さん?」
『そうだよ。
あぁよかった、今度はつながった。
忙しかったかな?ごめんね』
「あ、いえ…」
そういえば会う約束はしたけど、ケータイの番号なんて交換していない。
なのに、まさか私のケータイに電話がかかってくるなんて。
「あの…私の番号は…」
『あぁ、ごめんごめん。
相川さんと連絡取りたくて電話をかけたらお母さんが出られてね。お母さんから携帯の番号を教えてもらったんだよ。
相川さんって、今1人暮らしなんだね』
「あー…はい…」
お見合いした仲なんだ。仲人さんから聞いたのだろうから、高梨さんは初め私の実家にかけたのね。
それでお母さんが出ちゃって、勝手に番号教えて1人暮らしって事も言ったんだわ。
普通相手の電話番号を預かって、私からかけ直させない?
いくらお見合い相手だからって、プライバシーも何もないじゃない。
『…ごめんね。
気分悪くさせちゃったかな』
「あ いえっ
…大丈夫です…」
まぁ高梨さんは悪い人じゃないからよかったけど。
お母さんにはもう少し気を付けてもらうように言わなくちゃ!
スーパーで買ってきた材料を冷蔵庫に入れ、洗濯物を取り込んで畳んでいる最中だった。
その手を止めて、私は高梨さんからの電話に集中した。
『昨日言った買い物に付き合ってもらう件なんだけど、相川さんの予定を訊いておきたくてね』
「あ、そうですね。
えっと、私は…次は水曜日なら予定空いてます。
だけど、高梨さんは土日の方が都合いいですか?」
お見合いも本当は土曜日がよかったっぽい感じだったなぁ。
私の都合で金曜日にしてもらったんだよね。
社長さんだもん、やっぱり休みは土日なのかな。
『僕はいつでも相川さんの予定に合わせるよ。
水曜日だね、じゃあ水曜日に迎えに行くよ。
今住んでる所はお母さんの所から遠いのかな?』
えっ
ここまで迎えに来る!?
ダメダメ!
そんな事して勇さんに見つかったら大変な事だよっ
「あっ、あのっ
私の方が行きますから!」
『何言ってるの。
昨日も言ったけど、そういうのは男の役目なんだよ』
「いえ、でも…っ」
お母さんは電話で、私は1人暮らしって言ったみたいだった。
確かに私はお母さんに勇さんと付き合ってる事は話したけど、同棲してる事までは言ってない。
だから高梨さんも、きっと私は本当に1人暮らしだと思ってるんだわ。
私に恋人がいる事は知ってるんだから高梨さんに同棲してる事を知られるのはいいんだけど、私の心配は勇さんだけ。
いくらただのお買い物の付き合いでも、相手は一応お見合い相手。
「わ、私その日また実家に行く用事があるんで、じゃあ、お迎えはうちの実家でいいですか?」
余計な心配させたくないもの。
何が何でも勇さんにはバレないようにしなきゃだよ!
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