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目標は全種類制覇!
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「大人2枚」
ふたり分の入園料を払うと、俺たちはゲートをくぐった。
バカでかい遊園地って程じゃあないが、それなりの規模だから乗り物だって多い。
俺はゲートでもらったパンフレットを広げて見た。
「大地くん、私あれに乗りたい!
それからあそこの……」
翼は目の前にあるアトラクションをあれこれ指差しては俺の腕を引っ張った。
おとぎ話の世界のような外観に、ファンタジックな装飾の多い遊園地だ。
見ればワクワクして早く乗りたいって気持ちはわかるんだけど、ここでがむしゃらに歩き回ってはいけない。
「待てよ、翼。
いきなりあっちに行ったら、この辺の乗り物に行くのに無駄な時間がかかりそうだから、まずはこっちから順番にまわろう。
そうすりゃ上手い具合に全部乗れるかもしれないぞ」
「えっ
大地くん、全部乗るの?」
「もちろんだよ」
本番じゃ、どの乗り物に乗るかわからないからな。
とりあえず全部乗っとけば、何かあっても翼も後で助かるだろ。
まずはゲート前にあるお土産ショップを通り過ぎ、一番最初に設置された遊具に向かう。
「よし、まずはあれか。
しっかし……人多いなぁ」
さすが日曜日の遊園地。
開園間もない癖に、既に人がわらわらといる。
家族連れだったり友達同士だったり、あるいは……カップルだったり。
「はぐれたりしたら、遠慮なく迷子届けの放送流すからな」
なんて冗談まじりに言ってみた。
翼の事だ。「もう、大地くんったらーっ」なんて言いながら、きっと怒り出すんだろうなと思っていた。
のだが。
「大丈夫だよー。だって大地くんと、しっかり手をつないでるもんね。
ていうか、今日はもうずっと手をつないでいようねっ。
これならはぐれたりしないよ」
翼はつないでいた手に、更にもう片方の手を重ねて両手でギュッと握った。
「――――っ
あ、あぁ……そう、だなっ」
そんな盛大に手を握られるとは思わなかったから、ドキッとしてしまったじゃないか!
「あはっ
でも大地くんと手をつなぐなんて、すごーく久しぶりだよね。
子供の時は、よくつないでたよね」
「……そうだっけ?
俺はあんま覚えてないけどな」
「えー?
私は覚えてるよ」
ギュッと手を握ったまま、俺と翼はまっすぐ先にある空中ブランコに向かって歩く。
「そう言えば小さい頃ってさ、何か大地くんの後ばっかりついて行ってた気がするね」
幼稚園に入るまでは、俺も気が付けば遊び相手は翼しかいなかったし、幼稚園に入った後も翼と遊んでる事が多かった気がする。
それが普通だったし、それが当たり前だって思ってたからな。
「でも何かさ……。
今こうやって手とかつないで歩いてたらさ、まるで……彼氏と彼女みたいだね」
「あはは」って笑いながら、翼は言った。
みたいって……まぁ、実際は、違う……もんな。
「いいんじゃね?
今は彼氏と彼女なんだから」
なんて俺が言うと、翼はちょっと驚いて俺の顔を見た。
……何ビビってんだよ。
俺は別に間違った事なんて言ってないぞ?
「……練習のな」
「あ……そっか。
そうだよねっ」
ようやく理解した翼は、笑顔に戻った。
なんて言ってると、空中ブランコも目の前までたどり着いた。
これが、本日最初の乗り物だ。
高い位置の空中で回るブランコで、どこの遊園地でもあるような一般的なアトラクション。
それは多分、お化け屋敷だとかコーヒーカップ並みだろうな。
5メートルくらいの行列が出来ている空中ブランコに、俺と翼も最後尾に並んだ。
あー……いきなりヤバい。
実はこういうの、俺はあんまり好きじゃないんだよな。
「私、空中ブランコって大好き!!」
「……は?
翼、こんなのが好きなのか?」
「うんっ
風を切ったりして、スゴい気持ちいいよねっ」
そう言って、ワクワク乗り気な翼。
オイオイ、本気か?
「大地くんは遊園地の乗り物って、どんなのが好き?」
目の前で回っていた空中ブランコが止まり、次の順番の人たちが乗り始めた。
そして順番は俺たちの前で止まり、この後が俺たちの番だ。
「あー……つーか、遊園地とかずっと来てないもんなぁ。
ま、本番に備えて全部乗るんなら、別に何でもいいんじゃね?」
そういえば、さっき全部乗るって言っちまったんだよな。
西園寺先輩がどの乗り物に乗りたいのか、或いは翼のペースで乗るのか。そんな事は今から予想も出来ないから、全部乗っとけばいいだろうって思ってたんだ。
だけど、あんまり高い所はちょっと苦手な俺としてみれば、全部乗るとなると……どうしても免れなくなっちまうものがあるよな。
この空中ブランコもそうなんだが、ジェットコースターとか、フリーフォールとか……。
もう言っちまった手前、何とか乗り切るしかないな。
……文字通り。
「あ、次私たちの順番来たよ」
しばらく回り続けた空中ブランコが止まり、乗り終わった客がゾロゾロ出口へと向かって行った。
つ、次はいよいよ俺たちの番か……っ
頑張れ、俺!
小さな柵のゲートが開くと、フリーパスを係員に見せて中に入った。
適当にふたり乗りサイズであるイスに乗ると、安全ベルトであるバーを膝の上まで下ろして固定する。
一度下ろすと、終わるまでか係員が解除しない限り上には戻せない。
……いよいよこの時が来たかって感じだ。
「えへへっ
何かドキドキしてきたねっ」
俺の気持ちなど知る由もない翼は、身体を寄せては俺に笑顔を見せる。
「ど、どこのガキだよ、翼は」
なんて言いながら、違うドキドキは俺もしていたわけなんだが。
空いてる席にみんな座ると、係員が安全を確認し操作室に入った。
そして
ピリリリリリ…
甲高い機械音がすると、空中ブランコはゆっくりと動き出した。
「ひゃぁーっ
風、気持ちいいーっ」
空中ブランコはゆっくりと回りながら、その高さを増していく。
そして回転速度も上がり、遠心力も手伝ってブランコは斜めに吊された感じになった。
「スゴいスゴい!
私、風になってるーっ」
隣に座る翼は回転するブランコの風に当てられ、すっかりハイテンションだ。
それに対して俺は……
「――――――――」
すっかり、頭の中は真っ白になっていた……
「はぁぁっ
楽しかったね、大地くん!」
ようやく終わった空中ブランコ。
安全バーが上がり、出口を出た所で翼がケラケラ笑いながら言った。
長かった……。
ものの3分くらいだったろうが、俺からすれば永遠すら感じていた。
何でこんなものが楽しいんだ?
ビクビクと震える身体をなるべく平然とさせ翼の後をついて歩くと、翼はとんでもない事を言い放った。
「ねっ、もう1回乗らない?」
「はっ!?」
冗談じゃないぞ!
やっと終わったってのに、また乗らされちゃ次は平然とできないかも……
「き、今日は全部に乗るって決めたんだから、同じのはナシだろっ。
ほら、次はこっちの奴だって」
「あっ、待ってよ大地くんーっ」
俺は翼の手を取ると、ほぼ無理やり引っ張って空中ブランコから離れた。
でも全部って事は……ジェットコースターは免れないって事か……?
うぅむ、ホントに大丈夫か俺……。
そんなわけで、俺と翼はパンフレットのマップに従ってひとつひとつ乗り物に乗っていった。
中には多少ゾクゾクっとさせるものがあったり、ガキじゃないんだから今更そんな……なんて思うものもあったけど、一応全種類制覇が目的である今日なので乗り切ったわけだ。
だけどこれじゃあデートってより、単に遊園地で遊んでるだけだな。
というか、攻略してるみたいだ。
ま、俺と翼じゃ仕方ないか。
デートってガラじゃないもんな。
だけど翼はどんな乗り物に乗っても、いちいち楽しそうだ。
メリーゴーランドに至っては、俺なんか何の羞恥プレイなのかって気分だったけど、それでも翼はずっと笑っていたんだ。
「大地くん、次はあれだよ。
早く乗ろ!」
「はぁ……はぁ……っ
ちょっと待てよ、翼。
お前、疲れるとか知らねぇのかよ」
次から次と乗り物に乗り込んでいたら、さすがに身体や足の方がガクガクしてくる。
なのに翼はまるでガキのように先に走っては、振り返って俺を手招きした。
「えー、大地くん疲れちゃった?
じゃあ……あ、あそこにちょっと座ろうか」
次のアトラクションへと続く道を少しそれた所に、ベンチと小さな店があった。
店の側には大きなソフトクリームのオブジェがあるから、多分そんなものを扱ってるんだろう。
「ちょっとお腹も空いてきたね。
何か食べようよ、大地くん」
ウキウキしながら翼は店の方へと駆けて行った。
……ど、どこにあんな元気があるんだよ。
ふたり分の入園料を払うと、俺たちはゲートをくぐった。
バカでかい遊園地って程じゃあないが、それなりの規模だから乗り物だって多い。
俺はゲートでもらったパンフレットを広げて見た。
「大地くん、私あれに乗りたい!
それからあそこの……」
翼は目の前にあるアトラクションをあれこれ指差しては俺の腕を引っ張った。
おとぎ話の世界のような外観に、ファンタジックな装飾の多い遊園地だ。
見ればワクワクして早く乗りたいって気持ちはわかるんだけど、ここでがむしゃらに歩き回ってはいけない。
「待てよ、翼。
いきなりあっちに行ったら、この辺の乗り物に行くのに無駄な時間がかかりそうだから、まずはこっちから順番にまわろう。
そうすりゃ上手い具合に全部乗れるかもしれないぞ」
「えっ
大地くん、全部乗るの?」
「もちろんだよ」
本番じゃ、どの乗り物に乗るかわからないからな。
とりあえず全部乗っとけば、何かあっても翼も後で助かるだろ。
まずはゲート前にあるお土産ショップを通り過ぎ、一番最初に設置された遊具に向かう。
「よし、まずはあれか。
しっかし……人多いなぁ」
さすが日曜日の遊園地。
開園間もない癖に、既に人がわらわらといる。
家族連れだったり友達同士だったり、あるいは……カップルだったり。
「はぐれたりしたら、遠慮なく迷子届けの放送流すからな」
なんて冗談まじりに言ってみた。
翼の事だ。「もう、大地くんったらーっ」なんて言いながら、きっと怒り出すんだろうなと思っていた。
のだが。
「大丈夫だよー。だって大地くんと、しっかり手をつないでるもんね。
ていうか、今日はもうずっと手をつないでいようねっ。
これならはぐれたりしないよ」
翼はつないでいた手に、更にもう片方の手を重ねて両手でギュッと握った。
「――――っ
あ、あぁ……そう、だなっ」
そんな盛大に手を握られるとは思わなかったから、ドキッとしてしまったじゃないか!
「あはっ
でも大地くんと手をつなぐなんて、すごーく久しぶりだよね。
子供の時は、よくつないでたよね」
「……そうだっけ?
俺はあんま覚えてないけどな」
「えー?
私は覚えてるよ」
ギュッと手を握ったまま、俺と翼はまっすぐ先にある空中ブランコに向かって歩く。
「そう言えば小さい頃ってさ、何か大地くんの後ばっかりついて行ってた気がするね」
幼稚園に入るまでは、俺も気が付けば遊び相手は翼しかいなかったし、幼稚園に入った後も翼と遊んでる事が多かった気がする。
それが普通だったし、それが当たり前だって思ってたからな。
「でも何かさ……。
今こうやって手とかつないで歩いてたらさ、まるで……彼氏と彼女みたいだね」
「あはは」って笑いながら、翼は言った。
みたいって……まぁ、実際は、違う……もんな。
「いいんじゃね?
今は彼氏と彼女なんだから」
なんて俺が言うと、翼はちょっと驚いて俺の顔を見た。
……何ビビってんだよ。
俺は別に間違った事なんて言ってないぞ?
「……練習のな」
「あ……そっか。
そうだよねっ」
ようやく理解した翼は、笑顔に戻った。
なんて言ってると、空中ブランコも目の前までたどり着いた。
これが、本日最初の乗り物だ。
高い位置の空中で回るブランコで、どこの遊園地でもあるような一般的なアトラクション。
それは多分、お化け屋敷だとかコーヒーカップ並みだろうな。
5メートルくらいの行列が出来ている空中ブランコに、俺と翼も最後尾に並んだ。
あー……いきなりヤバい。
実はこういうの、俺はあんまり好きじゃないんだよな。
「私、空中ブランコって大好き!!」
「……は?
翼、こんなのが好きなのか?」
「うんっ
風を切ったりして、スゴい気持ちいいよねっ」
そう言って、ワクワク乗り気な翼。
オイオイ、本気か?
「大地くんは遊園地の乗り物って、どんなのが好き?」
目の前で回っていた空中ブランコが止まり、次の順番の人たちが乗り始めた。
そして順番は俺たちの前で止まり、この後が俺たちの番だ。
「あー……つーか、遊園地とかずっと来てないもんなぁ。
ま、本番に備えて全部乗るんなら、別に何でもいいんじゃね?」
そういえば、さっき全部乗るって言っちまったんだよな。
西園寺先輩がどの乗り物に乗りたいのか、或いは翼のペースで乗るのか。そんな事は今から予想も出来ないから、全部乗っとけばいいだろうって思ってたんだ。
だけど、あんまり高い所はちょっと苦手な俺としてみれば、全部乗るとなると……どうしても免れなくなっちまうものがあるよな。
この空中ブランコもそうなんだが、ジェットコースターとか、フリーフォールとか……。
もう言っちまった手前、何とか乗り切るしかないな。
……文字通り。
「あ、次私たちの順番来たよ」
しばらく回り続けた空中ブランコが止まり、乗り終わった客がゾロゾロ出口へと向かって行った。
つ、次はいよいよ俺たちの番か……っ
頑張れ、俺!
小さな柵のゲートが開くと、フリーパスを係員に見せて中に入った。
適当にふたり乗りサイズであるイスに乗ると、安全ベルトであるバーを膝の上まで下ろして固定する。
一度下ろすと、終わるまでか係員が解除しない限り上には戻せない。
……いよいよこの時が来たかって感じだ。
「えへへっ
何かドキドキしてきたねっ」
俺の気持ちなど知る由もない翼は、身体を寄せては俺に笑顔を見せる。
「ど、どこのガキだよ、翼は」
なんて言いながら、違うドキドキは俺もしていたわけなんだが。
空いてる席にみんな座ると、係員が安全を確認し操作室に入った。
そして
ピリリリリリ…
甲高い機械音がすると、空中ブランコはゆっくりと動き出した。
「ひゃぁーっ
風、気持ちいいーっ」
空中ブランコはゆっくりと回りながら、その高さを増していく。
そして回転速度も上がり、遠心力も手伝ってブランコは斜めに吊された感じになった。
「スゴいスゴい!
私、風になってるーっ」
隣に座る翼は回転するブランコの風に当てられ、すっかりハイテンションだ。
それに対して俺は……
「――――――――」
すっかり、頭の中は真っ白になっていた……
「はぁぁっ
楽しかったね、大地くん!」
ようやく終わった空中ブランコ。
安全バーが上がり、出口を出た所で翼がケラケラ笑いながら言った。
長かった……。
ものの3分くらいだったろうが、俺からすれば永遠すら感じていた。
何でこんなものが楽しいんだ?
ビクビクと震える身体をなるべく平然とさせ翼の後をついて歩くと、翼はとんでもない事を言い放った。
「ねっ、もう1回乗らない?」
「はっ!?」
冗談じゃないぞ!
やっと終わったってのに、また乗らされちゃ次は平然とできないかも……
「き、今日は全部に乗るって決めたんだから、同じのはナシだろっ。
ほら、次はこっちの奴だって」
「あっ、待ってよ大地くんーっ」
俺は翼の手を取ると、ほぼ無理やり引っ張って空中ブランコから離れた。
でも全部って事は……ジェットコースターは免れないって事か……?
うぅむ、ホントに大丈夫か俺……。
そんなわけで、俺と翼はパンフレットのマップに従ってひとつひとつ乗り物に乗っていった。
中には多少ゾクゾクっとさせるものがあったり、ガキじゃないんだから今更そんな……なんて思うものもあったけど、一応全種類制覇が目的である今日なので乗り切ったわけだ。
だけどこれじゃあデートってより、単に遊園地で遊んでるだけだな。
というか、攻略してるみたいだ。
ま、俺と翼じゃ仕方ないか。
デートってガラじゃないもんな。
だけど翼はどんな乗り物に乗っても、いちいち楽しそうだ。
メリーゴーランドに至っては、俺なんか何の羞恥プレイなのかって気分だったけど、それでも翼はずっと笑っていたんだ。
「大地くん、次はあれだよ。
早く乗ろ!」
「はぁ……はぁ……っ
ちょっと待てよ、翼。
お前、疲れるとか知らねぇのかよ」
次から次と乗り物に乗り込んでいたら、さすがに身体や足の方がガクガクしてくる。
なのに翼はまるでガキのように先に走っては、振り返って俺を手招きした。
「えー、大地くん疲れちゃった?
じゃあ……あ、あそこにちょっと座ろうか」
次のアトラクションへと続く道を少しそれた所に、ベンチと小さな店があった。
店の側には大きなソフトクリームのオブジェがあるから、多分そんなものを扱ってるんだろう。
「ちょっとお腹も空いてきたね。
何か食べようよ、大地くん」
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……ど、どこにあんな元気があるんだよ。
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