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本当に本気で、心配しちゃいました! 1
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私と盆子原さんはすぐに軽食屋さんから出ると、タクシーを拾って救急病院へと向かった。
「大丈夫なんですか!?」
「救急車で運ばれて、今は病院にいるようです。
詳しい事は向こうに行ってからでないと、わからないのですが…っ」
さっきの電話は、その救急病院かららしく。
救命士からの話によると、どうやら道路に飛び出した幼児を庇った慎吾くんが、代わりに車にはねられてしまったとの事なのだ。
さしあたり命に別状はないようだけど、頭を強く打ってしまったようなので、今検査をしているらしい。
事故現場では慎吾くんの荷物から保険証が見つかり、身元はすぐにわかったようだ。
だけど持っていたケータイは事故の関係で壊れてしまったらしく、盆子原さんへの連絡も少し遅れてしまったのだという。
「慎吾…っ」
タクシーの中で、盆子原さんが拳を握りながらフロントガラスの向こうを睨んだ。
そんな私も慎吾くんの容態が気になって、胸の奥がざわついている。
命に別状はないって言ってたんだもん。きっと大丈夫だよねっ
────慎吾くん!!
病院に着くと、すぐに看護師さんたちの案内で慎吾くんのいる集中治療室の方へと走った。
「慎吾は、無事なんですか?」
「これといった大きな外傷はありませんでした。
詳しくはドクターも今ICUにいますので、そちらから話を聞いて下さい」
大きな外傷はないと聞いて、私はホッと胸を撫で下ろした。
車にはねられたって聞いた時はどうしようかと思ったけれど、きっと奇跡的に軽傷で済んだんだよね。
あんなお父さん想いのステキな息子である慎吾くんだもん、神さまが助けてくれたんだよ!!
「慎吾っ」
案内された集中治療室のドアを開けると、中には白衣をまとった先生や看護師さんたち数名と、真っ白なシーツに包まれたベッドが見えた。
私はまっすぐにベッドの方へ向かう盆子原さんの後に付いて行き、そこに横たわっている彼の顔を見た。
「慎吾!」
(慎吾くん──っ)
「あー…オヤジ?」
意外にも頭に少し包帯を巻いている程度で、意識もはっきりしている慎吾くんは、ベッドの上で返事をした。
よかった!
本当に大丈夫だったんだ!
慎吾くんの顔を見てひとまず安心した盆子原さんは安堵のため息をつくと、改めて病院の先生に一礼して話を聞いた。
検査をした結果、擦り傷程度の軽傷で骨にも異常はなく、とりあえずは大事には至らなかったようだ。
ただ頭を打った痕があるので、しばらくは入院をして経過を見ていくらしい。
このまま何の症状もなければ、3日程度で退院もできると先生は仰ってくれた。
「オヤジは大げさだなぁ!
俺全然平気だよ」
「大袈裟って…慎吾っ!」
あまり刺激を与えず安静にしていれば問題ないとの事で、そのまま先生と看護師さんたちは静かに退室をした。
そこに残った私たちが3人だけになると、盆子原さんは慎吾くんと話し始めた。
「…だけど結果、無事だったようでよかった。
慎吾まで失ったらと思ったら、本当に…」
「オーバーだなぁ、オヤジは」
「……!」
そんな盆子原さんの言葉を聞いて、私はハッと思い出した。
そういえば盆子原さんの奥さんは、車にはねられて亡くなったんだっけ…。
「大丈夫なんですか!?」
「救急車で運ばれて、今は病院にいるようです。
詳しい事は向こうに行ってからでないと、わからないのですが…っ」
さっきの電話は、その救急病院かららしく。
救命士からの話によると、どうやら道路に飛び出した幼児を庇った慎吾くんが、代わりに車にはねられてしまったとの事なのだ。
さしあたり命に別状はないようだけど、頭を強く打ってしまったようなので、今検査をしているらしい。
事故現場では慎吾くんの荷物から保険証が見つかり、身元はすぐにわかったようだ。
だけど持っていたケータイは事故の関係で壊れてしまったらしく、盆子原さんへの連絡も少し遅れてしまったのだという。
「慎吾…っ」
タクシーの中で、盆子原さんが拳を握りながらフロントガラスの向こうを睨んだ。
そんな私も慎吾くんの容態が気になって、胸の奥がざわついている。
命に別状はないって言ってたんだもん。きっと大丈夫だよねっ
────慎吾くん!!
病院に着くと、すぐに看護師さんたちの案内で慎吾くんのいる集中治療室の方へと走った。
「慎吾は、無事なんですか?」
「これといった大きな外傷はありませんでした。
詳しくはドクターも今ICUにいますので、そちらから話を聞いて下さい」
大きな外傷はないと聞いて、私はホッと胸を撫で下ろした。
車にはねられたって聞いた時はどうしようかと思ったけれど、きっと奇跡的に軽傷で済んだんだよね。
あんなお父さん想いのステキな息子である慎吾くんだもん、神さまが助けてくれたんだよ!!
「慎吾っ」
案内された集中治療室のドアを開けると、中には白衣をまとった先生や看護師さんたち数名と、真っ白なシーツに包まれたベッドが見えた。
私はまっすぐにベッドの方へ向かう盆子原さんの後に付いて行き、そこに横たわっている彼の顔を見た。
「慎吾!」
(慎吾くん──っ)
「あー…オヤジ?」
意外にも頭に少し包帯を巻いている程度で、意識もはっきりしている慎吾くんは、ベッドの上で返事をした。
よかった!
本当に大丈夫だったんだ!
慎吾くんの顔を見てひとまず安心した盆子原さんは安堵のため息をつくと、改めて病院の先生に一礼して話を聞いた。
検査をした結果、擦り傷程度の軽傷で骨にも異常はなく、とりあえずは大事には至らなかったようだ。
ただ頭を打った痕があるので、しばらくは入院をして経過を見ていくらしい。
このまま何の症状もなければ、3日程度で退院もできると先生は仰ってくれた。
「オヤジは大げさだなぁ!
俺全然平気だよ」
「大袈裟って…慎吾っ!」
あまり刺激を与えず安静にしていれば問題ないとの事で、そのまま先生と看護師さんたちは静かに退室をした。
そこに残った私たちが3人だけになると、盆子原さんは慎吾くんと話し始めた。
「…だけど結果、無事だったようでよかった。
慎吾まで失ったらと思ったら、本当に…」
「オーバーだなぁ、オヤジは」
「……!」
そんな盆子原さんの言葉を聞いて、私はハッと思い出した。
そういえば盆子原さんの奥さんは、車にはねられて亡くなったんだっけ…。
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