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──好き。

私はやっぱり慎吾くんの事が、好き!


本当は私だってずっと慎吾くんと一緒にいられたらなって、思ってたんだもん。


ただそれがイケナイ事をしてるような気がして、だから無理やり気持ちを押し殺してたのよ…!




「…慎吾くんっ」



ケジメをつけるつもりでいたハズなのに、慎吾くんの本音が嬉しくて。

慎吾くんがそう言ってくれるなら、いいんじゃないかって思えてきた。



「ひなぁ♡」



──『そういうのは、本当に好きな人とするものだと思うの』


自分で言っておいて、自分で納得しちゃった。


私、慎吾くんとずっと一緒にいたい!


だから………っ




──ガシャン



「!!」



ソファの上で重ねた身体をよじらせていると、押し倒された時に手放していたケータイがソファから床に落ちたようだ。


その音に慎吾くんもビクッと驚いて一瞬手を止めたけど、その原因がわかったらまた手を動かした。



ケータイ…


…そうだ。
私、ケータイを取り戻したら、盆子原さんに連絡入れなきゃだったんだ!



「ん…っ、ダメっ」


「ひな、ダメじゃないよ。
てゆーか、もう今更止まんない」



着ていたTシャツは首もとまでまくり上げられて、晒された素肌に慎吾くんがたくさんのキスをしている。


それがとても心地よくて、つい現実を忘れてしまっていた!



「ダメっ
本当に、ダメなの!」



なるべく感じないように、心地よく重ねてる身体も離れるようによじらせた。

だって今ここで止めなかったら、もう戻れなくなっちゃうから!!



「ひなぁ!
もぉ、ワガママ言い過ぎだよ?
どうしてダメな…」

「私っ、結婚するの!」



「──────っ」



さすがに結婚という言葉には、慎吾くんもピタリと手を止めた。


顔を上げ、私の方を不思議そうに見る。



結婚するってのは、ちょっとまだ早いかもしれないけれど。

でも慎吾くんが盆子原さんの息子さんなら、それくらいは言っても決して過言じゃあないもんね…!



「…ひな……?」



さすがに今度は大丈夫だなんて言えないようで、慎吾くんも表情を曇らせた。


ある時は、私の事なんて遊びだろうななんて思ってたけど…本当は慎吾くんも慎吾くんなりに、私の事を好きでいたのかもしれない。


もし私に盆子原さんとの事がなかったら…私だって、慎吾くんとの恋愛を続けたいって思うもの。


それくらい、私も慎吾くんの事は好きなんだよ…!




「…ごめん。
ごめんなさい…っ
私…」


上になっている慎吾くんは、もう私を強く抱き留めはしなかった。


ただ、上になっているだけ。



だから私はそんな慎吾くんから、抵抗なく容易に身体をすり抜ける事ができた。


ソファから降りると、乱れた服を戻し落としたケータイを拾った。



「…あの…っ」


「…………………」



なんて声をかけたらいいのかわからない。

黙って出て行くわけにもいかないよね。


でももう謝る以外には、今は何も思い浮かばないの…っ




「…本当に、ごめんなさいっ
でも……嫌わないで…っ」



関係を終わらせる事は、しようと思えば強引にできないわけじゃない。


でも次に慎吾くんと会う時、私たちの関係は……っ




「…ひな……」


「…っ」



これ以上は耐えられないと思った私は、ケータイを握りしめると逃げるように玄関の方へと駆けだした。




…たとえ盆子原さんと無事に結ばれたとしても、でも次に私は慎吾くんを息子として見なくちゃならないんだ。


そんなの…絶対耐えられないよぉ!!

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