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気になる給料明細と、その後
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__夜
いつものバイトも終わり、アパートに帰ってポストに届いていた明細書をすぐに開けて見ていたのだが、
「あー…やっぱこんなもんかぁ」
オレが3日間バイトした“club-shion”から明細が届いたのは、あれからほんの2日後。
その内訳は初めに聞いた通りの基本給に、売り上げの一部、それから指名手当。
だけど…
「…この金額、ウーロン茶だけにしては多いなぁ。
定価そのまますらも超えてる気がするんだけど………あっ」
ジッと穴が開きそうなくらい明細書を睨みつけながら考えていると、ふと思い出した。
そうだ、あの微炭酸ジュースだ。
てっきり店長の売り上げだと思ってたけど、オレの売り上げにしてくれたんだ。
てゆーか、いくらジュースでもホストクラブで出たものだから値段は高いだろう。
これが半値だとしたら…
「姉貴、余裕ないとか言いながら結構出してくれたんじゃんよ」
と言っても、最初の予定よりかは安いけどな。
…♪♪ ♪♪♪~
丁度その時、ポケットに入れていたケータイから着信音と振動が響いたのだ。
「こんな時間に誰だ?
…て、なんだ姉貴か」
あの後姉貴とは、店長に見送られながら普通に一緒に実家に帰ったわけなのだが、特に何の問題もなかった。
これから出張にって事で早くあがらせてもらったのに。
出張については特に手当はなかったけど………結局出張って何だったんだ?
「はいはい、もしもし?」
『あ、陸!
今大丈夫?』
「大丈夫だから電話出たんだよ。
てゆーか、この間はお疲れー」
予定とは違ったけど、まぁ全然悪くなかった3日間だし。
ムリに突き合わせた姉貴だったけど、結果楽しかったかもな。
『えぇ疲れたわよ。
…て言うか…ちょっと陸に訊きたい事あってね…』
「訊きたい事?」
さり気なくイヤミまで言っておきながら、でも急に声のトーンを下げて言った姉貴にちょっと緊張した。
あれ、オレ何かしくじった?
まさか姉貴のとこに、変な高額請求とか……
『陸…なんであそこのホストクラブでバイトしようと思ったの?』
「は?
たまたま求人見つけて、給料良かったから…だけど?」
何を言ってくるのかと思ったら。
給料良くなかったら、わざわざ実家に泊まり込んでまで行かないっての。
『それだけ?』
「それだけだよ。
え、何かあるの?」
やけに変な所で突っ込んで来るな。
そういえば最初にサクラのお願いした時も、ちょっと様子がおかしかった気もしたけど…
『り、陸が何もないなら、私だって何もないわよ!』
なんだそりゃ。
あ、もしかしてやっぱり、あのイケメン店長に惚れちゃったかな?
なんてな。
「そうだ。
実は今、“club-shion”からの明細見てんだけど。
姉貴、結構出費させたみたいでさ。ありがとな」
育児中の専業主婦ってのは、特に金遣いに厳しいよな。
まぁオレだってあんな所に行ったら、逆にウーロン茶にお金なんて払いたくもないからな。
『出費?
でもウーロン茶しか頼まなかったもんね。
後はテーブル料だけど、思ったほど痛くなかったわよ』
「え?
いやいや、むしろあのジュース代が高かっただろ?
酒じゃなくても、酒並みな値段だもんな」
こんなんでこの値段なんだから、あのタワー女に至っては一体いくら払って帰ったんだって思う。
だって80万のボトルを10本って!
それだけで800…
『ジュースって…あのカクテルの事?
あれは…高菜さんが自分の奢りって言ってくれたから、私は支払ってないの』
ん、タカナシ?誰だそれ。
そんな人、他に誰かいたっけ?
ま、いっか。
オレ関係ないし。
『…あ、蓮起きちゃった。
じゃあね陸、それだけだから』
受話の向こうから甥っ子の泣き声が聞こえてきた。
日曜日の夜はオレが姉貴を連れて行ったから、そんな甥っ子の面倒をあの義兄貴がみてたかと思うとちょっとウケるな。
「ん、あぁ。
またな」
…ま、何にしても。
これで、由香にイイ指輪を買ってやれるぞ。
どうやら早々と振り込みもされてるみたいだし、明日になったら早速ATMでおろして買いにいくかな。
__しかし、そうして無事に指輪はプレゼントできたものの。
由香が最初に言ったセリフは
「どこからそんなお金が出てきたの!?」
…だった。
「えーっと…それは…」
由香にはジリジリと問い詰められ、結局オレは隠し通そうと思っていた“RIKU☆”での3日間の出来事を自ら話すハメになったという…。
「“RIKU☆”!?
やだぁ、何ソレ~」
「わ、笑う事ないだろっ?
華があっていいじゃないかぁ!」
「陸に華?
あははは…っ」
“3億円のキケンなバイト(笑)”
華麗に終劇
いつものバイトも終わり、アパートに帰ってポストに届いていた明細書をすぐに開けて見ていたのだが、
「あー…やっぱこんなもんかぁ」
オレが3日間バイトした“club-shion”から明細が届いたのは、あれからほんの2日後。
その内訳は初めに聞いた通りの基本給に、売り上げの一部、それから指名手当。
だけど…
「…この金額、ウーロン茶だけにしては多いなぁ。
定価そのまますらも超えてる気がするんだけど………あっ」
ジッと穴が開きそうなくらい明細書を睨みつけながら考えていると、ふと思い出した。
そうだ、あの微炭酸ジュースだ。
てっきり店長の売り上げだと思ってたけど、オレの売り上げにしてくれたんだ。
てゆーか、いくらジュースでもホストクラブで出たものだから値段は高いだろう。
これが半値だとしたら…
「姉貴、余裕ないとか言いながら結構出してくれたんじゃんよ」
と言っても、最初の予定よりかは安いけどな。
…♪♪ ♪♪♪~
丁度その時、ポケットに入れていたケータイから着信音と振動が響いたのだ。
「こんな時間に誰だ?
…て、なんだ姉貴か」
あの後姉貴とは、店長に見送られながら普通に一緒に実家に帰ったわけなのだが、特に何の問題もなかった。
これから出張にって事で早くあがらせてもらったのに。
出張については特に手当はなかったけど………結局出張って何だったんだ?
「はいはい、もしもし?」
『あ、陸!
今大丈夫?』
「大丈夫だから電話出たんだよ。
てゆーか、この間はお疲れー」
予定とは違ったけど、まぁ全然悪くなかった3日間だし。
ムリに突き合わせた姉貴だったけど、結果楽しかったかもな。
『えぇ疲れたわよ。
…て言うか…ちょっと陸に訊きたい事あってね…』
「訊きたい事?」
さり気なくイヤミまで言っておきながら、でも急に声のトーンを下げて言った姉貴にちょっと緊張した。
あれ、オレ何かしくじった?
まさか姉貴のとこに、変な高額請求とか……
『陸…なんであそこのホストクラブでバイトしようと思ったの?』
「は?
たまたま求人見つけて、給料良かったから…だけど?」
何を言ってくるのかと思ったら。
給料良くなかったら、わざわざ実家に泊まり込んでまで行かないっての。
『それだけ?』
「それだけだよ。
え、何かあるの?」
やけに変な所で突っ込んで来るな。
そういえば最初にサクラのお願いした時も、ちょっと様子がおかしかった気もしたけど…
『り、陸が何もないなら、私だって何もないわよ!』
なんだそりゃ。
あ、もしかしてやっぱり、あのイケメン店長に惚れちゃったかな?
なんてな。
「そうだ。
実は今、“club-shion”からの明細見てんだけど。
姉貴、結構出費させたみたいでさ。ありがとな」
育児中の専業主婦ってのは、特に金遣いに厳しいよな。
まぁオレだってあんな所に行ったら、逆にウーロン茶にお金なんて払いたくもないからな。
『出費?
でもウーロン茶しか頼まなかったもんね。
後はテーブル料だけど、思ったほど痛くなかったわよ』
「え?
いやいや、むしろあのジュース代が高かっただろ?
酒じゃなくても、酒並みな値段だもんな」
こんなんでこの値段なんだから、あのタワー女に至っては一体いくら払って帰ったんだって思う。
だって80万のボトルを10本って!
それだけで800…
『ジュースって…あのカクテルの事?
あれは…高菜さんが自分の奢りって言ってくれたから、私は支払ってないの』
ん、タカナシ?誰だそれ。
そんな人、他に誰かいたっけ?
ま、いっか。
オレ関係ないし。
『…あ、蓮起きちゃった。
じゃあね陸、それだけだから』
受話の向こうから甥っ子の泣き声が聞こえてきた。
日曜日の夜はオレが姉貴を連れて行ったから、そんな甥っ子の面倒をあの義兄貴がみてたかと思うとちょっとウケるな。
「ん、あぁ。
またな」
…ま、何にしても。
これで、由香にイイ指輪を買ってやれるぞ。
どうやら早々と振り込みもされてるみたいだし、明日になったら早速ATMでおろして買いにいくかな。
__しかし、そうして無事に指輪はプレゼントできたものの。
由香が最初に言ったセリフは
「どこからそんなお金が出てきたの!?」
…だった。
「えーっと…それは…」
由香にはジリジリと問い詰められ、結局オレは隠し通そうと思っていた“RIKU☆”での3日間の出来事を自ら話すハメになったという…。
「“RIKU☆”!?
やだぁ、何ソレ~」
「わ、笑う事ないだろっ?
華があっていいじゃないかぁ!」
「陸に華?
あははは…っ」
“3億円のキケンなバイト(笑)”
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