デ キ ちゃ っ た !?

むらさ樹

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将来の事とか、まだ早いっしょ①

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学校も春休みを迎える3学期の終わりとなってきた、3月。


鉛色の冬独特な空を仰ぎながら、駐輪場から学校の教室までをダチの秀明ひであきと歩きながら話した。



「寒ぃー
早く春休みになりゃいいのにな」

「秀明は春休み何するんだ?」

「んー?
まぁ、どうせ俺は家の手伝いかな。
陸はバイト三昧だろ」

「まぁね」

秀明の両親は農家をやってるから、休みの日はだいたい家を手伝っている話ばかり聞く。

この辺りが遊ぶ所も少ない田舎だから、一緒にカラオケとかオレもそんな事はない。


「陸、たまには実家に帰ったらどうだ?
正月以来、まだ帰ってないんだろ?」

「そうだけどさ。
でも帰ったってする事ないだろ?
だったら、まだこっちでバイトしてる方がマシだよ」


秀明はもちろん、クラスメイトの殆どは実家から通っているが、県外からアパート借りて通ってるのはオレぐらいしかいないんだ。



上履きに履き替えると、オレと秀明は教室に入った。


「もうすぐ1年終わるな。2年目になると、実習増えるぞ。
それから就活だよな」

「うへーっ
面倒くせー」


オレたちが通うのは福祉科の福祉コース。

父さんには「男がそんな学校に」みたいな風に言われ、最初は反対されてたんだけど。
時代の需要に合った選択をしとけば間違いないかなと思ったんだよな。


てゆーか

「秀明は就活も何も、家継ぐから関係ないんじゃねぇの?」

「あ?
今は両親がやってるから、それはいいんだ。
とりあえずは俺もどっか就職するよ」

「ふぅん」


就職とか、面倒くさいな。

このままバイトしてるだけでも、オレ1人ぐらい十分生きていけそうだもんなぁ。



席に着くと、隣の席に座る由香と目があった。


「おはよ、由香」

「…あ、おはよう陸…」

「?」


何だかちょっと元気がない様子の由香。

いつもなら「おはよっ!」って笑顔見せながら返してくれるのにな。


「どうしたんだ?
元気ないな」

「えっ…あ…元気、だよ?」


そう言って、ニッコリ笑顔を見せてくれた由香だけど。
でもまだちょっとおかしいよな。


「まさか、朝から変なもん食って腹壊したとか」

「もぉ!
変なものなんて食べてないわよぉっ!」

「冗談冗談っ」


困ったような顔して怒る由香に、オレはケラケラ笑ってなだめた。

こんな時の由香の顔、かわいいんだよな。


そうやっているうちに教室に予鈴が鳴り、さっきまでの由香の浮かない表情の事はすっかり頭から消えていた。

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