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二日目①
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『どうして、当銀行を選ばれたのですか?』
『はい、お金が好きだからです!』
…ん?
何か変……
『いや、違っ
経済的な仕事が好きだからですって言おうと思って…っ』
なんて後から言ってもダメ。
全てぶち壊し。
私の面接はそこで終わった。
面接だけじゃない、全てが終わったのよ…。
落ち込んで重い足取りの中見つけた隣の本屋さんに張り出された求人。
『どうして、当書店を選ばれたのですか?』
『あ、はい。
本が好きだからです!』
この本屋さんの店長さんはにっこり微笑んでくれた。
銀行の時とおんなじ応え方をしたのに、本屋さんじゃOKなんだ…。
不思議。
じゃあ私は…本屋さんの方が性に合ってるって事なのかなぁ…。
ま、いっかぁ。
本が好きなのは、嘘じゃないし…。
陽の光の筋が私の目の位置に当たり、眩しくて目が覚めた。
「…ん……」
木で造られた窓もない小屋だけど、古いからか壁には隙間が多く外の光があちこち射し込まれている。
強い光が照りつけられてる…
朝が来たんだ!
私は身を起こしてまわりをキョロキョロと見回した。
すると私の身体には、薄クリーム色の毛布がかけられていた。
頭もとにあったのは覚えているけど、自分でかけた覚えはない。
…強盗さんがかけてくれたのかな。
その強盗さんはどうしてるかと小屋の中を見ると、私の向かいに座り壁にもたれたまま首を傾げて眠っていた。
「…強盗さん…?」
そっと声をかけてみたけど反応はなく、よく眠ってるみたい。
昨日は銀行強盗をして、顔を見られたからって私を誘拐までして、荒運転の車に乗って、山道をずっと歩いて、ニュースをチェックして…。
強盗さんも疲れたんだよね。
目の前ですやすやと眠ってる強盗さんの前まで行こうと思い立ち上がろうとすると、何かに足を引っ張られ態勢を崩した。
「わっ」
毛布の上に転んだから大きな音はたてずにすんだし、たいして痛くもなかった。
私、一体何に足を引っ掛けたの…?
「…あ、そっか」
昨日強盗さんに足首をロープで巻かれた事、すっかり忘れていた。
手が使えないのも不便だけど、足がきかないのもやっぱり不便。
いや、手よりはずっとマシ…かな?。
私は膝と手で四つん這いになりながら強盗さんの所までズリズリと這った。
うつむく顔を下から覗き込んで見る。
「………………」
あんな大きな犯罪を犯したのだ、私以上に緊張や疲れはあったと思う。
顔は汗や砂で汚れ、無精ひげも生えていた。
だけど…眠ってる顔、全然凶悪さのかけらもない、むし…優しい感じだ。
昨日も思ったけど、この強盗さんは悪そうには見えない。
でもそれはあくまでも人相なだけであって、間違いなく銀行強盗犯ではあるんだよね…。
すやすやと眠っている強盗さんの顔を見ながら、ふと気付いた。
あれ?
もしかして今…逃げるチャンス?
急に胸がざわめいてきた。
私を見張る人は強盗さんこの人だけ。
その強盗さんが眠ってるって事は、私を見張る人がいないって事だ。
…今しかない。
目が覚めてからはずっと見張られるだろうし、次に眠ってくれるのは多分もう夜だ。
それに、もしかしたら南って強盗犯が戻ってきて鉢合わせになっちゃうかもしれないものね。
まだ朝になったばかりだから、陽が暮れるまで当分時間がある。
一か八かで山を降りて助けを呼ぼう。
いつまでここに監禁されるかわからない。
もしかしたら最後は殺されるかもしれないもの。
チャンスは…今しかない!!
『はい、お金が好きだからです!』
…ん?
何か変……
『いや、違っ
経済的な仕事が好きだからですって言おうと思って…っ』
なんて後から言ってもダメ。
全てぶち壊し。
私の面接はそこで終わった。
面接だけじゃない、全てが終わったのよ…。
落ち込んで重い足取りの中見つけた隣の本屋さんに張り出された求人。
『どうして、当書店を選ばれたのですか?』
『あ、はい。
本が好きだからです!』
この本屋さんの店長さんはにっこり微笑んでくれた。
銀行の時とおんなじ応え方をしたのに、本屋さんじゃOKなんだ…。
不思議。
じゃあ私は…本屋さんの方が性に合ってるって事なのかなぁ…。
ま、いっかぁ。
本が好きなのは、嘘じゃないし…。
陽の光の筋が私の目の位置に当たり、眩しくて目が覚めた。
「…ん……」
木で造られた窓もない小屋だけど、古いからか壁には隙間が多く外の光があちこち射し込まれている。
強い光が照りつけられてる…
朝が来たんだ!
私は身を起こしてまわりをキョロキョロと見回した。
すると私の身体には、薄クリーム色の毛布がかけられていた。
頭もとにあったのは覚えているけど、自分でかけた覚えはない。
…強盗さんがかけてくれたのかな。
その強盗さんはどうしてるかと小屋の中を見ると、私の向かいに座り壁にもたれたまま首を傾げて眠っていた。
「…強盗さん…?」
そっと声をかけてみたけど反応はなく、よく眠ってるみたい。
昨日は銀行強盗をして、顔を見られたからって私を誘拐までして、荒運転の車に乗って、山道をずっと歩いて、ニュースをチェックして…。
強盗さんも疲れたんだよね。
目の前ですやすやと眠ってる強盗さんの前まで行こうと思い立ち上がろうとすると、何かに足を引っ張られ態勢を崩した。
「わっ」
毛布の上に転んだから大きな音はたてずにすんだし、たいして痛くもなかった。
私、一体何に足を引っ掛けたの…?
「…あ、そっか」
昨日強盗さんに足首をロープで巻かれた事、すっかり忘れていた。
手が使えないのも不便だけど、足がきかないのもやっぱり不便。
いや、手よりはずっとマシ…かな?。
私は膝と手で四つん這いになりながら強盗さんの所までズリズリと這った。
うつむく顔を下から覗き込んで見る。
「………………」
あんな大きな犯罪を犯したのだ、私以上に緊張や疲れはあったと思う。
顔は汗や砂で汚れ、無精ひげも生えていた。
だけど…眠ってる顔、全然凶悪さのかけらもない、むし…優しい感じだ。
昨日も思ったけど、この強盗さんは悪そうには見えない。
でもそれはあくまでも人相なだけであって、間違いなく銀行強盗犯ではあるんだよね…。
すやすやと眠っている強盗さんの顔を見ながら、ふと気付いた。
あれ?
もしかして今…逃げるチャンス?
急に胸がざわめいてきた。
私を見張る人は強盗さんこの人だけ。
その強盗さんが眠ってるって事は、私を見張る人がいないって事だ。
…今しかない。
目が覚めてからはずっと見張られるだろうし、次に眠ってくれるのは多分もう夜だ。
それに、もしかしたら南って強盗犯が戻ってきて鉢合わせになっちゃうかもしれないものね。
まだ朝になったばかりだから、陽が暮れるまで当分時間がある。
一か八かで山を降りて助けを呼ぼう。
いつまでここに監禁されるかわからない。
もしかしたら最後は殺されるかもしれないもの。
チャンスは…今しかない!!
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