紫に抱かれたくて

むらさ樹

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「…呆れたよね?
永久指名だけど、紫苑さんにお願いして特別に変えてもらえるようにするよ。
それとも、もう店には……」

「…………ふっ」


必死になってあたしの機嫌をうかがう煌に、思わず吹いてしまった。

「…ふふっ
あははははっ」

「愛さん……?」

まるで泣きそうな顔して不安になる煌、おかしくて笑いが出てしまった。

確かにオラオラ系じゃないだろうなとは思ってたけど、まさか未経験だったとはね。


「そうなんだ。
じゃあ煌、あたしが初めての相手って事?」

「う、うん…」

この年になっても、まだ彼女の1人も出来なかったのかな。

半月の新人とは言え、ホストやってる癖に童貞なんて予想すらできなかったわ。


「ね、煌はいいの?
初めての相手があたしで」

「それは別に、おれは構わないけど…」

「ふふっ
じゃあ今夜は、特別にあたしが煌に女を教えてあげる」

「え…っ」

いつもあたしが相手にするお客は、我欲に溢れた汚い中年男だけ。

こんな、女を知らない年下男の初めてを戴くなんて何か新鮮かも。


「料金分、もちろん楽しませてくれるのよね…?」

今度はあたしの方から、煌と唇を重ねた。


「…ん……」


きっと、ロクに恋愛もしてなかったんだろう。

まだ戸惑いを見せる煌に、あたしはオトナのキスを教えてあげた。



「ん…ふ………っ」


角度を変えては唇をつつき合い、舌を絡めては唾液をすする。

それからゆっくり服を脱がせては、お互いの身体をベッドに預けた。


…可笑しい。

今日はストレス発散の為に煌を呼んだのに、やってる事はいつもの仕事と同じだ。


「ぁ…あ…っ
愛さん……っ、あ………っ」

なのにあたしの行為にいちいち悦んでくれ、反応を示してくれる煌に嬉しさを感じた。


「あ…愛さんっ
ダメだ! ぁ……あ…もう出………あぁっ」


やがて快感に耐えられなくなった煌が、あたしの目の前で果てる。

ビュクビュクっと震えながらほどばしる精液が、見ててかわいくて仕方ない。


「ご ごめんっ//
でも、まだ…イケるからっ」

「うん。
今度は煌も、あたしにしてみて…」


「え、と…………どう? 愛さん」

「ん…気持ちいいよ。
ぁ そこ、優しく吸って……」


多分この様子だと、女の身体をまともに見るのも初めてなんだろう。

でも一生懸命にあたしを気持ちよくしてくれる煌に、スゴく嬉しくなった。




「……すごい。どんどん濡れてくる…」

「ほら、休んじゃダメよ。
早く、もっと………ぁんっ」




仕事の時とは全然違う。

まだ全然上手じゃないんだけど、その分とても気持ちがこもってて、身体というより心が癒された気がした。



「ぁ…煌っ
もっと、奥突いてっ
あ…っ あぁ………っ」

「愛さんが…おれに絡みついてくる…っ
あー…腰が止まんねぇっ」



恥をかかせたのは、あたしの方だったわね。

でも、ちゃんと5万円分の価値はあったわよ、煌…?






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