秘密の生徒会室 君とふたりきり

むらさ樹

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生徒会 ~seitokai ➀

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その後どうなったかは、自分でもよく覚えていなかった。

午後からは一般生徒たちによる投票。
その間、現生徒会の生徒と立候補者は演説舞台や校内のポスターを剥がすといった片付けをした…筈だった。

わたしはショックのあまり、それからの記憶があまりない。
投票なんかしなくても、開票結果なんか聞かなくてもわかる。

わたしは、桐生珪に負けている。
そう確信できた。


内申の為の生徒会長…
試験に落ちた事なんて一度もないわたしが初めて感じた屈辱感。

何が桐生珪を見下すよ。
わたしの方が見下されるだけじゃないの!

結局わたしは桐生珪より劣っているって事なの?
わたしの方が頭も良いのにっ
わたしの方が………っ




ロクに眠れなかった夜。
やっと寝付いたかと思えば、桐生珪に見下される夢を見てハッと目を覚ました。

あの意地悪そうな笑み。
そうやってわたしの上に立って優越感に浸るってわけなのよね。こんな事になるなら、生徒会なんて立候補しなければ良かった…。

選挙で落ちたなんて事になって、ママには何て言ったらいいの?

──千歳には期待していたのに!

きっとそう言われるに違いないわよね。








「気を付けて行きなさいね」

「はい、行ってきます…」

顔には出さないようにして、いつも通り朝ママに見送られて学校に向かう。そして玄関のドアが閉まった事を確認すると、わたしは盛大なため息をもらした。


「はぁぁぁぁ…」

恋愛が解禁になった所でわたしには何も関係ない。
単に選挙に落選したという嫌な思い出だけが残ったわけなんだ。


いつも通り学校に着き、いつも通り教室に向かう…その途中。
廊下に人だかりが出来ていたので、横を通るついでにチラッとその先を見てみた。

…あぁ。
昨日の生徒会選挙の開票結果が掲示してあるんだ。

生徒たちに囲まれよくは見えなかったが、その掲示板の上部には“生徒会長 1年C組桐生珪”の文字だけは見えた。


「……………っ」

確信していたとは言え、その現実を目の当たりにして改めてわたしはショックを受けた。

初めて落ちるという経験。
こんなにもショックを受けるものだなんて、知らな……



「あ、おはよう榊さん。
それと、おめでとう」

「え…?」

落ち込むわたしにクラスメイトの女子がそう言ってきた。
掲示板を見たクラスメイトたちが、次々とわたしに「おめでとう」を連呼してきた。


え、おめでとうって…
選挙には落選してるのに、他におめでとうなんて言われる事があったかしら…?


「榊さん、私は榊さんに1票入れたよ。
首位にはなれなかったけど、榊さんのマニフェスト凄い良かったから、何とか少しでも新しい校則に出来ないか執行部で検討してみてよっ」


そんな事を言ってきた生徒もいた。

え?
わたし、落選したんだから…

ん、ちょっと待って。
首位にはって…

わたしはまだまだ生徒たちで溢れかえる中をかいくぐり、掲示板の内容をよく見てみた。



※生徒会総選挙開票結果※

生徒会長 1年C組 桐生珪(121票)

副生徒会長 1年A組 榊千歳(119票)

会計 2年A組 伊集院雅(20票)

書記 2年B組 更科翼(8票)

〃 1年B組 相良忍(7票)

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