6 / 29
「16歳」 リィリィの日記-1
しおりを挟む
【若緑月8日】
やったぁ!
念願かなって、ロゼッタ様と一緒に監督生に選ばれました!!
去年は実家の財政が苦しくて、貴族の令嬢らしいふるまいが足りないこともあったから、あちこちで非難されたから、無理かなぁって思っていたんだよね。
……まぁ、もうしっかり盛り返して、今や以前以上にウハウハに稼いでいますけど!
援助の広告効果、すごいです!!
っていうのも、あの時帰路にあった船がすべて無事に戻ってきてくれたからこそ言えることだけどね。
船が帰ってくるまでの数日のことは、思い出したくない。
毎日、ベッドで震えてたっけ。
ほんと怖かった。
あと、議会が行わないと決めた平民への援助を、我が家だけが行ったのも、いろいろ言われたな。
こちらは王の許可があったから、表向きはあからさまには言われなかったけど。
めちゃくちゃ目立ってしまったから、まぁ仕方ないかな。
パーティでも、つまはじきにされたし。
学校や寮では、あからさまな嫌がらせとかはされなかったけど、やっぱり距離を取られている感じはあった。
逆に過剰に崇めてくる人たちもいて、そちらとは私が距離を取っていたしなぁ。
だから、監督生になるのは無理かと半分は諦めていた。
なのに!
先輩たちは、わたしを監督生に選んでくださった。
これまでのわたしを見てきたのだから、わたしたちの寮の人間はみんな、わたしを認めているっておっしゃってくださって。
めちゃくちゃ嬉しいよぉぉぉ!
ちょっとだけ、泣いちゃいました。
がんばるぞ!!
さっそく監督生の執務室に案内していただいて、説明を受けていると、あー、自分って本当に監督生に選んでいただいたんだなって実感した。
監督生になるの、初めはロゼッタ様と一緒の部屋にいる理由がほしいってだけで目指していた。
けど、ずっと先輩たちの仕事ぶりをみてきたから、今は、この立場の誇りとか、先輩たちが受け継いできたこととかを、わたしも守っていきたいって思っている。
貴族の令嬢に対しても、平民に対しても、それぞれの実力やふだんの行いを優しく見守り、認めてくださった監督生の先輩たち。
先輩たちがいらっしゃらなかったら、去年のあの周囲が敵だらけっぽい時、心が折れてしまったかもしれないって思う。
今のわたしが心身ともに元気なのは、ぜったいに先輩たちのおかげでもある。
だから、わたしも、先輩たちみたいな監督生なって、後輩たちの心を守れる人になりたい!
……なんてね。
ちょっと気恥ずかしいな。
それはともかく。
ロゼッタ様と監督生になれたから、久しぶりにゆっくりふたりでお話できた。
ロゼッタ様は、やっぱりクレイン王子とのご婚約が調ったそう。
そろそろ内々に発表されるらしい。
ちょっとだけ胸が痛んだけど、「おめでとうございます」って、ちゃんと笑って言えた。
よかった。
ロゼッタ様は、まだ婚約に乗り気じゃないみたい。
だから、クレイン王子のいいところをいっぱいお話した。
王子はいいところがいっぱいあるので、話のネタに困らない。
なのに、ロゼッタ様ったら「いい人すぎて、わたくしには釣り合わない」とかおっしゃる。
ロゼッタ様だって、すごく素敵な方なのに!
綺麗だし、お優しいし、おしとやかだし、頭もいい。
お勉強もできるし、大人っぽくて、配慮が行き届いているって感じがする。
さすが王子のご婚約者に選ばれるだけある。
その上、歌も、刺繍も、ダンスもお上手なのだ!!
ロゼッタ様を好きにならない男の人なんていないと思う!
わたしも、ロゼッタ様のこと、大好きだもん。
力説すると、ロゼッタ様は、くすっと笑ってくださった。
貴族の令嬢らしい微笑みじゃない、素の笑顔で。
ロゼッタ様みたいな淑女だと、そんな笑顔は貴重なの!
思わず、きゅーんとしちゃった。
綺麗でかわいいって、最強だよね。
最近なんだか憂い顔が多いロゼッタ様だけど、そうやって笑ってくださった顔がいちばん素敵だと思う。
これからは監督生同士として、一緒にいられる時間も長くなるから、もっとロゼッタ様の笑顔をたくさん見られるようがんばろうっと。
やったぁ!
念願かなって、ロゼッタ様と一緒に監督生に選ばれました!!
去年は実家の財政が苦しくて、貴族の令嬢らしいふるまいが足りないこともあったから、あちこちで非難されたから、無理かなぁって思っていたんだよね。
……まぁ、もうしっかり盛り返して、今や以前以上にウハウハに稼いでいますけど!
援助の広告効果、すごいです!!
っていうのも、あの時帰路にあった船がすべて無事に戻ってきてくれたからこそ言えることだけどね。
船が帰ってくるまでの数日のことは、思い出したくない。
毎日、ベッドで震えてたっけ。
ほんと怖かった。
あと、議会が行わないと決めた平民への援助を、我が家だけが行ったのも、いろいろ言われたな。
こちらは王の許可があったから、表向きはあからさまには言われなかったけど。
めちゃくちゃ目立ってしまったから、まぁ仕方ないかな。
パーティでも、つまはじきにされたし。
学校や寮では、あからさまな嫌がらせとかはされなかったけど、やっぱり距離を取られている感じはあった。
逆に過剰に崇めてくる人たちもいて、そちらとは私が距離を取っていたしなぁ。
だから、監督生になるのは無理かと半分は諦めていた。
なのに!
先輩たちは、わたしを監督生に選んでくださった。
これまでのわたしを見てきたのだから、わたしたちの寮の人間はみんな、わたしを認めているっておっしゃってくださって。
めちゃくちゃ嬉しいよぉぉぉ!
ちょっとだけ、泣いちゃいました。
がんばるぞ!!
さっそく監督生の執務室に案内していただいて、説明を受けていると、あー、自分って本当に監督生に選んでいただいたんだなって実感した。
監督生になるの、初めはロゼッタ様と一緒の部屋にいる理由がほしいってだけで目指していた。
けど、ずっと先輩たちの仕事ぶりをみてきたから、今は、この立場の誇りとか、先輩たちが受け継いできたこととかを、わたしも守っていきたいって思っている。
貴族の令嬢に対しても、平民に対しても、それぞれの実力やふだんの行いを優しく見守り、認めてくださった監督生の先輩たち。
先輩たちがいらっしゃらなかったら、去年のあの周囲が敵だらけっぽい時、心が折れてしまったかもしれないって思う。
今のわたしが心身ともに元気なのは、ぜったいに先輩たちのおかげでもある。
だから、わたしも、先輩たちみたいな監督生なって、後輩たちの心を守れる人になりたい!
……なんてね。
ちょっと気恥ずかしいな。
それはともかく。
ロゼッタ様と監督生になれたから、久しぶりにゆっくりふたりでお話できた。
ロゼッタ様は、やっぱりクレイン王子とのご婚約が調ったそう。
そろそろ内々に発表されるらしい。
ちょっとだけ胸が痛んだけど、「おめでとうございます」って、ちゃんと笑って言えた。
よかった。
ロゼッタ様は、まだ婚約に乗り気じゃないみたい。
だから、クレイン王子のいいところをいっぱいお話した。
王子はいいところがいっぱいあるので、話のネタに困らない。
なのに、ロゼッタ様ったら「いい人すぎて、わたくしには釣り合わない」とかおっしゃる。
ロゼッタ様だって、すごく素敵な方なのに!
綺麗だし、お優しいし、おしとやかだし、頭もいい。
お勉強もできるし、大人っぽくて、配慮が行き届いているって感じがする。
さすが王子のご婚約者に選ばれるだけある。
その上、歌も、刺繍も、ダンスもお上手なのだ!!
ロゼッタ様を好きにならない男の人なんていないと思う!
わたしも、ロゼッタ様のこと、大好きだもん。
力説すると、ロゼッタ様は、くすっと笑ってくださった。
貴族の令嬢らしい微笑みじゃない、素の笑顔で。
ロゼッタ様みたいな淑女だと、そんな笑顔は貴重なの!
思わず、きゅーんとしちゃった。
綺麗でかわいいって、最強だよね。
最近なんだか憂い顔が多いロゼッタ様だけど、そうやって笑ってくださった顔がいちばん素敵だと思う。
これからは監督生同士として、一緒にいられる時間も長くなるから、もっとロゼッタ様の笑顔をたくさん見られるようがんばろうっと。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
その国外追放、謹んでお受けします。悪役令嬢らしく退場して見せましょう。
ユズ
恋愛
乙女ゲームの世界に転生し、悪役令嬢になってしまったメリンダ。しかもその乙女ゲーム、少し変わっていて?断罪される運命を変えようとするも失敗。卒業パーティーで冤罪を着せられ国外追放を言い渡される。それでも、やっぱり想い人の前では美しくありたい!
…確かにそうは思ったけど、こんな展開は知らないのですが!?
*小説家になろう様でも投稿しています
悪役令嬢はどうしてこうなったと唸る
黒木メイ
恋愛
私の婚約者は乙女ゲームの攻略対象でした。 ヒロインはどうやら、逆ハー狙いのよう。 でも、キースの初めての初恋と友情を邪魔する気もない。 キースが幸せになるならと思ってさっさと婚約破棄して退場したのに……どうしてこうなったのかしら。
※同様の内容をカクヨムやなろうでも掲載しています。
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
【完結】攻略を諦めたら騎士様に溺愛されました。悪役でも幸せになれますか?
うり北 うりこ
恋愛
メイリーンは、大好きな乙女ゲームに転生をした。しかも、ヒロインだ。これは、推しの王子様との恋愛も夢じゃない! そう意気込んで学園に入学してみれば、王子様は悪役令嬢のローズリンゼットに夢中。しかも、悪役令嬢はおかめのお面をつけている。
これは、巷で流行りの悪役令嬢が主人公、ヒロインが悪役展開なのでは?
命一番なので、攻略を諦めたら騎士様の溺愛が待っていた。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
悪役令嬢はあらかじめ手を打つ
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしは公爵令嬢のアレクサンドラ。
どうやら悪役令嬢に転生したみたい。
でもゲーム開始したばかりなのに、ヒロインのアリスに対する攻略対象たちの好感度はMAX。
それっておかしすぎない?
アルファポリス(以後敬称略)、小説家になろうにも掲載。
筆者は体調不良なことが多いので、コメントなどの受け取らない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる