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「16歳」 リィリィの日記-1

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【若緑月8日】
やったぁ!
念願かなって、ロゼッタ様と一緒に監督生に選ばれました!!

去年は実家の財政が苦しくて、貴族の令嬢らしいふるまいが足りないこともあったから、あちこちで非難されたから、無理かなぁって思っていたんだよね。

……まぁ、もうしっかり盛り返して、今や以前以上にウハウハに稼いでいますけど!
援助の広告効果、すごいです!!

っていうのも、あの時帰路にあった船がすべて無事に戻ってきてくれたからこそ言えることだけどね。
船が帰ってくるまでの数日のことは、思い出したくない。
毎日、ベッドで震えてたっけ。
ほんと怖かった。

あと、議会が行わないと決めた平民への援助を、我が家だけが行ったのも、いろいろ言われたな。
こちらは王の許可があったから、表向きはあからさまには言われなかったけど。
めちゃくちゃ目立ってしまったから、まぁ仕方ないかな。

パーティでも、つまはじきにされたし。
学校や寮では、あからさまな嫌がらせとかはされなかったけど、やっぱり距離を取られている感じはあった。
逆に過剰に崇めてくる人たちもいて、そちらとは私が距離を取っていたしなぁ。

だから、監督生になるのは無理かと半分は諦めていた。

なのに!
先輩たちは、わたしを監督生に選んでくださった。
これまでのわたしを見てきたのだから、わたしたちの寮の人間はみんな、わたしを認めているっておっしゃってくださって。

めちゃくちゃ嬉しいよぉぉぉ!
ちょっとだけ、泣いちゃいました。
がんばるぞ!!

さっそく監督生の執務室に案内していただいて、説明を受けていると、あー、自分って本当に監督生に選んでいただいたんだなって実感した。

監督生になるの、初めはロゼッタ様と一緒の部屋にいる理由がほしいってだけで目指していた。

けど、ずっと先輩たちの仕事ぶりをみてきたから、今は、この立場の誇りとか、先輩たちが受け継いできたこととかを、わたしも守っていきたいって思っている。

貴族の令嬢に対しても、平民に対しても、それぞれの実力やふだんの行いを優しく見守り、認めてくださった監督生の先輩たち。
先輩たちがいらっしゃらなかったら、去年のあの周囲が敵だらけっぽい時、心が折れてしまったかもしれないって思う。

今のわたしが心身ともに元気なのは、ぜったいに先輩たちのおかげでもある。

だから、わたしも、先輩たちみたいな監督生なって、後輩たちの心を守れる人になりたい!

……なんてね。
ちょっと気恥ずかしいな。

それはともかく。
ロゼッタ様と監督生になれたから、久しぶりにゆっくりふたりでお話できた。

ロゼッタ様は、やっぱりクレイン王子とのご婚約が調ったそう。
そろそろ内々に発表されるらしい。

ちょっとだけ胸が痛んだけど、「おめでとうございます」って、ちゃんと笑って言えた。
よかった。

ロゼッタ様は、まだ婚約に乗り気じゃないみたい。
だから、クレイン王子のいいところをいっぱいお話した。

王子はいいところがいっぱいあるので、話のネタに困らない。

なのに、ロゼッタ様ったら「いい人すぎて、わたくしには釣り合わない」とかおっしゃる。
ロゼッタ様だって、すごく素敵な方なのに!

綺麗だし、お優しいし、おしとやかだし、頭もいい。
お勉強もできるし、大人っぽくて、配慮が行き届いているって感じがする。
さすが王子のご婚約者に選ばれるだけある。
その上、歌も、刺繍も、ダンスもお上手なのだ!!

ロゼッタ様を好きにならない男の人なんていないと思う!
わたしも、ロゼッタ様のこと、大好きだもん。

力説すると、ロゼッタ様は、くすっと笑ってくださった。
貴族の令嬢らしい微笑みじゃない、素の笑顔で。

ロゼッタ様みたいな淑女だと、そんな笑顔は貴重なの!
思わず、きゅーんとしちゃった。
綺麗でかわいいって、最強だよね。

最近なんだか憂い顔が多いロゼッタ様だけど、そうやって笑ってくださった顔がいちばん素敵だと思う。

これからは監督生同士として、一緒にいられる時間も長くなるから、もっとロゼッタ様の笑顔をたくさん見られるようがんばろうっと。
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