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シャナル王子 6

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軍部に行くと、知るつもりのなかった情報まで耳に入ったりするなぁ。

ややこしいことに首をつっこむつもりはないのに、ハッセン公爵とクベール公爵の話を耳にしてしまった。
僕と一緒にいたハウアーも聞いてしまったんだろう、眉間にしわがよってる。

ハウアー、真面目だからなぁ。
悩んで、リアにいらないこと吹き込んでも困るし、釘をさしとくか。

「あのねぇ、ハウアー。クベール公爵のことなら、心配いらないから」

だから、リアに余計なこと言わないでねって言うと、ハウアーはぎょっとした顔で僕を見る。

「あのね、ハウアーの考えていることくらいわかるから。クベール公爵が、ハッセン公爵とガイを前線に送り込んだ、なんて噂を真に受けて、リアに忠告しようって思ってるんでしょ?」

「は……、しかし。リーリアとクベール公爵は親しいようでした。今朝もふたりで会っていたようですし。このような噂があることは、耳にいれておくべきかと」

「それ、余計なお世話だから。だいたい、あんなの根も葉もない噂なんだってば。ハッセン公爵とクベール公爵って、年齢も同じくらいだし、ふたりとも常勝将軍でしょ。むかしからよく比較されて、ライバル扱いするのが好きな人たちがいるんだよ。でもあのふたりは仲のいい友達だし」

「それは、私も存じております。しかし表面的には仲が良くても、内心は違うということもあります。ましてや、ハッセン公爵はガイ・ハッセンに加え、新しく養子もおとりになられましたし。跡継ぎをいまだ手にしていないクベール公爵としては、思うところがあるのでは、と」

「そういうのも、邪推なの。エミリオ・ハッセンについても、あのふたりの間では取り決めがあるみたいだよ」

「はぁ……」

ハウアーってば、僕の情報網を疑っているな。
自分のほうが優秀な情報源を握っているって自信があるんだろうなぁ。
そんなんじゃ、だめだめなんだけどね。

「とーにーかーく。リアに余計なことは言わない!いいね?」

「……かしこまりました」

ハウアーはまだ不満そうだったけど、こうして命令すれば、僕に逆らわない。
よしよし。

せっかく王子宮の侍官たちに、リアが僕のことを意識するようにいろいろ吹き込んでねってお願いしておいたのに、こんな根も葉もない陰謀のせいで計画が台無しになったら困るもんね。
リアが王子宮にいてくれる間に、ちょっとでも僕のことを意識してもらえるようにがんばらなくちゃなのに。

まぁリアがもっと弱っていたら、計画は中止しようと思っていたんだけど、今日のリアは思ったより元気そうでよかった。
淹れてもらった紅茶、味なんてわからなかったけど、おいしいって何回も言ったら嬉しそうにしてたしね。

僕が、リアを喜ばせられたんだって思ったら、なんか嬉しいよね。

侍官たちもいまごろ、がんばってくれているかなぁ。
リアったら思いつめるところがあるから、やりすぎないように言ったけど、だいじょうぶだろうか。
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