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まぁ「悪役」と言っても、「悪役令嬢」は一概に悪者とは限らないみたいでしたけど。
特に「乙女ゲームに転生した」という仮定に基づく場合、「悪役令嬢」は「ヒロイン」よりも素晴らしい人物として描かれることが多かったですわ。
「乙女ゲームに転生した」という仮定は、小説などの誰もが参考にしやすい形式を持って流布し、多くの女性たちが楽しみながら学んでいたようです。
前世のわたくしも多くの書物を読み、もし自分が悪役令嬢に転生したらどう生きるべきか考えを巡らせていました。
研究において、転生した悪役令嬢は、前世での知識を用いて、現世での自分や周囲の人々に大きな恵みを与え、彼女自身の人生も豊かなものにすることが多かったのです。
わたくしもせっかく前世の記憶をとりもどしたのだから、彼女たちのように努力して、自分の人生を育んでいきたい……!
それには、並々ならぬ努力が必要かもしれませんけれど……。
わたくしは、お兄様のお姿を思い浮かべた。
現世のお兄様は、とってもお優しい。
いたらないわたくしにも、いつも良くしてくださる。
妹としても、恋の対象としても、そんなお兄様をわたくしは大好きですわ!
でもゲームでのお兄様は、わたくしのことを詰まらない女性だと思っていらっしゃった。
学院で同級生となる第二王子にわたくしのことを聞かれた時、「大人しい地味な少女ですよ。王子がお気になさる相手ではございません」と、軽く笑っておっしゃっていたもの。
ゲームと現生は異なる、という研究もございましたわ。
そうですわね、現に、社会構造や貴族などの身分制度については、まったく違います。
けれどゲームの「スチル」に登場したお兄様やエミリオの顔や、王子たちの顔、名前、彼らが通っていたカルーセン学院などは、恐ろしいほど一致しておりますのよね……。
でしたら、お兄様のわたくしへの評価も、共通している可能性はあるかもしれません。
というころは、いまはあんなに優しく笑いかけてくださるお兄様のまなざしを、あと1年ほどで失ってしまうかもしれないのでしょうか。
そんなの、いやですわ!
それは、今までのわたくしの存在を揺るがすほど、大きな恐怖。
その恐怖を退けるためなら、わたくしはどんな努力もできると思います!
……それに。
ゲームに登場するヒロインは、確かに可愛らしく、努力家の素敵な女性だったと思います。
けれど、どんな素敵な女性が相手でも、お兄様がわたくし以外の女性を選び、寄り添って生きる未来を目の当たりにするなんて、そんなのいやですわ。
耐えられません!
記憶を思い出していたとき、それは前世のゲームのお話だとわかっていても、お兄様がヒロインに愛を囁くところを目の当たりにするのは、とても辛かった。
お兄様の隣に立つのはわたくしだと、叫びそうになってしまった。
前世の言葉で言うなら、お兄様はわたくしの「最推し」で。
わたくしはお兄様の「強火担」かつ「同担拒否」ですわ!
わたくしの愛するお兄様を、他の女性になんて渡したくありません!
だから、わたくしは努力しようと思います。
周囲の人も、自分も幸せにできるような、素敵な「悪役令嬢」になるために。
前世たくさん読んだ「悪役令嬢に転生したら」という仮定の中で主人公だった数多の「悪役令嬢」のように。
がんばろうと決めました。
特に「乙女ゲームに転生した」という仮定に基づく場合、「悪役令嬢」は「ヒロイン」よりも素晴らしい人物として描かれることが多かったですわ。
「乙女ゲームに転生した」という仮定は、小説などの誰もが参考にしやすい形式を持って流布し、多くの女性たちが楽しみながら学んでいたようです。
前世のわたくしも多くの書物を読み、もし自分が悪役令嬢に転生したらどう生きるべきか考えを巡らせていました。
研究において、転生した悪役令嬢は、前世での知識を用いて、現世での自分や周囲の人々に大きな恵みを与え、彼女自身の人生も豊かなものにすることが多かったのです。
わたくしもせっかく前世の記憶をとりもどしたのだから、彼女たちのように努力して、自分の人生を育んでいきたい……!
それには、並々ならぬ努力が必要かもしれませんけれど……。
わたくしは、お兄様のお姿を思い浮かべた。
現世のお兄様は、とってもお優しい。
いたらないわたくしにも、いつも良くしてくださる。
妹としても、恋の対象としても、そんなお兄様をわたくしは大好きですわ!
でもゲームでのお兄様は、わたくしのことを詰まらない女性だと思っていらっしゃった。
学院で同級生となる第二王子にわたくしのことを聞かれた時、「大人しい地味な少女ですよ。王子がお気になさる相手ではございません」と、軽く笑っておっしゃっていたもの。
ゲームと現生は異なる、という研究もございましたわ。
そうですわね、現に、社会構造や貴族などの身分制度については、まったく違います。
けれどゲームの「スチル」に登場したお兄様やエミリオの顔や、王子たちの顔、名前、彼らが通っていたカルーセン学院などは、恐ろしいほど一致しておりますのよね……。
でしたら、お兄様のわたくしへの評価も、共通している可能性はあるかもしれません。
というころは、いまはあんなに優しく笑いかけてくださるお兄様のまなざしを、あと1年ほどで失ってしまうかもしれないのでしょうか。
そんなの、いやですわ!
それは、今までのわたくしの存在を揺るがすほど、大きな恐怖。
その恐怖を退けるためなら、わたくしはどんな努力もできると思います!
……それに。
ゲームに登場するヒロインは、確かに可愛らしく、努力家の素敵な女性だったと思います。
けれど、どんな素敵な女性が相手でも、お兄様がわたくし以外の女性を選び、寄り添って生きる未来を目の当たりにするなんて、そんなのいやですわ。
耐えられません!
記憶を思い出していたとき、それは前世のゲームのお話だとわかっていても、お兄様がヒロインに愛を囁くところを目の当たりにするのは、とても辛かった。
お兄様の隣に立つのはわたくしだと、叫びそうになってしまった。
前世の言葉で言うなら、お兄様はわたくしの「最推し」で。
わたくしはお兄様の「強火担」かつ「同担拒否」ですわ!
わたくしの愛するお兄様を、他の女性になんて渡したくありません!
だから、わたくしは努力しようと思います。
周囲の人も、自分も幸せにできるような、素敵な「悪役令嬢」になるために。
前世たくさん読んだ「悪役令嬢に転生したら」という仮定の中で主人公だった数多の「悪役令嬢」のように。
がんばろうと決めました。
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