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婚約破棄された令嬢は、復讐を祈って、その駅に身を捧げる
4 (R15注意)
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その日は、ひどい夜だった。
すさまじい風と雨が屋敷を襲い、使用人たちはそちらにかかりきりだった。
フリーダは、他の家族と同様、早々に自室に引き上げていた。
こんな嵐の夜は、さっさと寝てしまうに限ると、フリーダは早々に風呂に入り、夜着に着替え、寝る支度をしていた。
そこへ、カスロールが訪ねてきた。
「もう夜着なの。明日にしてちょうだい」
フリーダはガウンを羽織り、扉を少し開けて、言った。
そして扉を閉めようとしたとき、カスロールが強引に部屋に押し入ってきた。
その後のことは、悪夢のようだった。
カスロールは恐怖に震えるフリーダのからだを、無理やり暴いた。
身を固くし、震え、涙を流すフリーダを使用し、身勝手に欲望をはらした。
フリーダの悲鳴も、助けを呼ぶ声も、すべて嵐が消し去った。
カスロールがこの嵐を好機と見て、ことに及んだのは明らかだった。
カスロールはさんざんフリーダを弄んだあと、破られた夜着を身につけたまま、ぼうぜんと天井を見つめるフリーダの頬を軽くたたいた。
「まぁまぁ楽しめたぜ」
そして満足そうに鼻歌をうたいながら、部屋を出て行った。
フリーダは、恐怖とショックで数日部屋にこもりきりだった。
あのけだもののような男……。
フリーダの意思も人格もまったく顧みず、懇願にも涙にも心を動かすことなく、フリーダを使い捨ての道具のように、ただ弄んだ男。
この家を守るためとはいえ、あんな男と、自分は結婚しなければならないのか?
あのような暴虐を、この先受け入れていかねばならないのか?
そもそもあんな男をこの家に婿として引き入れるなど、この家のためにも避けたほうがいいのではないか?
それとも、こんなふうに自分が考えるのは、自分があの男と結婚したくないから、ただそのためなのか?
フリーダは泣き、神に祈った。
けれどいくら考えても、祈っても、奇跡は起こらなかった。
父がとつぜん元のように元気になることも、カスロールが雷に打たれて死ぬことも。
フリーダが、もとの清らかなからだにもどることも、なかった。
フリーダは、耐えねばならないと思った。
あのけだものと結婚せねばならないのだと思った。
もはや男を知ったからだの自分では、他の男を婿に迎えるのも難しい。
もしうまく結婚できたとしても、相手の男に大きな弱みを握られ、この家を相手の意のままに動かされてしまうかもしれない。
それでは、だめなのだ。
フリーダには、守るべきものがあった。
この家と、その歴史、病床の父、そして妹のアイーダだ。
フリーダがあの男と結婚しなければ、フリーダだけでなく、守るべき妹のアイーダも、なんの財産もなく追い出されてしまうのだから。
そして、フリーダは自分の幸福を諦め、けだもののいいなりになった。
けだものはフリーダが嫌がっていることを知っていながら、より嫌がるような真似に出た。
フリーダは、安心できるはずの自分の屋敷のあちこちで、けだものの玩具となった。
寝室だけでなく、居間や、思い出深いピアノ室、父の書斎、庭でさえ、カスロールはフリーダを抱いた。
そんなことが、使用人に隠し通せるはずもない。
メイドたちは、父が病床なのに、フリーダが恋に狂い、身を持ち崩したと噂した。
それでも、フリーダは耐えた。
家族のために、そう信じて。
けれど、そんなフリーダの気持ちはあっさりと裏切られた。
すさまじい風と雨が屋敷を襲い、使用人たちはそちらにかかりきりだった。
フリーダは、他の家族と同様、早々に自室に引き上げていた。
こんな嵐の夜は、さっさと寝てしまうに限ると、フリーダは早々に風呂に入り、夜着に着替え、寝る支度をしていた。
そこへ、カスロールが訪ねてきた。
「もう夜着なの。明日にしてちょうだい」
フリーダはガウンを羽織り、扉を少し開けて、言った。
そして扉を閉めようとしたとき、カスロールが強引に部屋に押し入ってきた。
その後のことは、悪夢のようだった。
カスロールは恐怖に震えるフリーダのからだを、無理やり暴いた。
身を固くし、震え、涙を流すフリーダを使用し、身勝手に欲望をはらした。
フリーダの悲鳴も、助けを呼ぶ声も、すべて嵐が消し去った。
カスロールがこの嵐を好機と見て、ことに及んだのは明らかだった。
カスロールはさんざんフリーダを弄んだあと、破られた夜着を身につけたまま、ぼうぜんと天井を見つめるフリーダの頬を軽くたたいた。
「まぁまぁ楽しめたぜ」
そして満足そうに鼻歌をうたいながら、部屋を出て行った。
フリーダは、恐怖とショックで数日部屋にこもりきりだった。
あのけだもののような男……。
フリーダの意思も人格もまったく顧みず、懇願にも涙にも心を動かすことなく、フリーダを使い捨ての道具のように、ただ弄んだ男。
この家を守るためとはいえ、あんな男と、自分は結婚しなければならないのか?
あのような暴虐を、この先受け入れていかねばならないのか?
そもそもあんな男をこの家に婿として引き入れるなど、この家のためにも避けたほうがいいのではないか?
それとも、こんなふうに自分が考えるのは、自分があの男と結婚したくないから、ただそのためなのか?
フリーダは泣き、神に祈った。
けれどいくら考えても、祈っても、奇跡は起こらなかった。
父がとつぜん元のように元気になることも、カスロールが雷に打たれて死ぬことも。
フリーダが、もとの清らかなからだにもどることも、なかった。
フリーダは、耐えねばならないと思った。
あのけだものと結婚せねばならないのだと思った。
もはや男を知ったからだの自分では、他の男を婿に迎えるのも難しい。
もしうまく結婚できたとしても、相手の男に大きな弱みを握られ、この家を相手の意のままに動かされてしまうかもしれない。
それでは、だめなのだ。
フリーダには、守るべきものがあった。
この家と、その歴史、病床の父、そして妹のアイーダだ。
フリーダがあの男と結婚しなければ、フリーダだけでなく、守るべき妹のアイーダも、なんの財産もなく追い出されてしまうのだから。
そして、フリーダは自分の幸福を諦め、けだもののいいなりになった。
けだものはフリーダが嫌がっていることを知っていながら、より嫌がるような真似に出た。
フリーダは、安心できるはずの自分の屋敷のあちこちで、けだものの玩具となった。
寝室だけでなく、居間や、思い出深いピアノ室、父の書斎、庭でさえ、カスロールはフリーダを抱いた。
そんなことが、使用人に隠し通せるはずもない。
メイドたちは、父が病床なのに、フリーダが恋に狂い、身を持ち崩したと噂した。
それでも、フリーダは耐えた。
家族のために、そう信じて。
けれど、そんなフリーダの気持ちはあっさりと裏切られた。
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