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「あ、えと。夏山くんは、なにを頼むか決めた?」
知り合いともいえない男子とふたり、無言でいることも辛い。
沈黙の重さに耐えられなくて、知花は夏山に声をかけた。
夏山は鋭い眼光で知花を一瞥すると、上から見下ろす。
「あぁ?」という低い声が聞こえた気がして、知花は「ひぃっ」と息を飲んだ。
それに気づいたのか夏山は若干気まずそうに目を壁のメニューに向け、答える。
「えっと、ヤンニョムチキンを頼もうかと思ってるっす」
「あ、おなじだね」
「そうっスか」
一瞬続いたかに思えた会話は、すぐに夏山に打ち切られた。
なんで敬語なんだろうと思いながら知花が愛想笑いをうかべると、夏山は無表情で見下ろしてきた。
(泣きたい……)
もともと得意ではない男子との会話は、相手が非協力的だとすぐに行き詰まる。
次の言葉が見つけられず、知花はもごもごと口ごもる。
それを見た夏山は、初めて気づいたかのように尋ねてきた。
「えっと。つーか、誰っすか? ハルの友達?」
さっきハルと一緒にいたことに、気づかれていなかったらしい。
知花は、夏山に話しかけたことを後悔した。
「あ、えと。友達っていうか……。ハルくんと同じ英語の授業をとっています。史学科一回生の、久保知花です」
「夏山要っす。経済の一回っす」
夏山から、どことなく体育会系の雰囲気を感じる。
知花はひきつった笑みをうかべ、また心の壁を築いた。
(体育会系でも女子だとなんにも思わないのに、男子だと苦手度が倍増するの、なんでだろ……)
背が高いだけでなくがっしりとした夏山の体躯を恐々見つめながら、知花は愛想笑いを浮かべる。
例え苦手な相手でもそれを表に出すなんて、できない。
ましてや相手は、今から助けてもらうかもしれない相手だ。
夏山は真剣な顔で、メニューを見つめている。
切れ長のすっきりした目は、どことなくクールで、知的で、落ち着いて見える。
けれど口を開けば、体育会系男子特有の押し出しの強さを感じる。
そういうのが好きな女子もいるだろうけど、知花には苦手な部類だった。
(まぁ男子っていうだけで苦手だけど)
クール系男子も体育会系男子も、どちらも苦手だ。
ハルのような例外はともかく、全般的に男子は苦手だから、夏山がどんな人間でも同じかもしれない。
(これから4年間は共学なんだから、いつまでも苦手というわけにはいかないだろうけど……)
知花が大学生活に不安を感じていると、列の順番がまわってきた。
夏山が先にどうぞと手でしめしてくれたので、お言葉にあまえて、知花はカウンターから手前のチキンを取り、自分のトレーにのせた。
そのまま横に移動し、ごはんは麦ごはんをSSサイズでお願いし、お味噌汁も取る。
夏山も麦ごはん選択、ただしサイズはLLだ。
どんぶりほどもある大きなお椀に山もり盛られたごはんの量に、知花はおののいた。
男子がこのサイズのがはんを食べているのは見かけたことがあった。
けれど近くで見ると、迫力が違う。
さらに夏山は、一品料理のコーナーで小鉢をもりもり選んでいた。
夏山のトレーの上は、あっという間にみっちりとお皿だらけになる。
(これ、全部食べるのかな……。そりゃ大きくなるはずだよ……)
見ているだけで、胃が痛くなりそうだ。
知花は夏山と連れだって、レジに並んだ。
瑠奈とハルは、ちょうどお会計しているところだった。
学生証をかざしてピッと電子会計をすませた瑠奈は、知花が列に並んでいるのに気づき、振り返って小さく手を振って笑う。
ひまわりの花のように明るい瑠奈の笑顔に、夏山とのやりとりでおった疲れが癒されるのを、知花は感じた。
知花も手を振り返そうとしたが、両手がトレーでふさがっていた。
かわりに首を左右に振って、あいさつがわりにする。
「……くくっ」
おしころしたような笑い声が、背後から聞こえた。
知花がちらりと振り返ると、夏山が知花を見て笑みを浮かべている。
「えっ、なに……?」
「それ、素なんっすか? なんつーか、かわいいっすね。小動物みてぇ」
「へ……っ」
かあああああと、顔が赤くなるのを知花は感じた。
「あ、……っ子どもっぽかった、よね?」
こんなの、女子の間では普通の仕草のはずだ。
なんの意識もない、素のままの仕草だ。
けれど、わざわざ「かわいい」と言われると、無性に恥ずかしく思えた。
夏山はただ思ったことを言っただけらしく、知花の言葉に首をひねり、
「子どもっぽい……? まぁ、そうかもっすね」
自分でもよくわからないというように、適当に返事をしている。
けれど、言われた知花にとっては、なかなかに衝撃が大きいことで。
(男子に、かわいいって言われたーーー!!)
知花の頭の中は、一瞬で沸き立った。
中学校と高校は女子校だった知花にとって、男子という存在が同じ教室にいる事態すら大学生になってから始まったイベントみたいなものだ。
最近ようやく男子と机を並べて勉強するのには慣れたものの、サークルにも入ってないし、ついつい女子とばかり群れてしまうので、男子との会話自体に慣れていない。
だから、こんな台詞は衝撃が大きすぎる。
(意識することじゃないのは、わかる……! きっと共学の女子だったら、男子にこういうこと言われるのも日常茶飯事なんでしょ。……わかってる! でもさぁ! 私には、こんなこと言われて、普通にするなんて無理だよ……!)
知花は、赤い顔を夏山の目から隠すように、あわてて学生証をレジにかざしてお会計した。
「あっちに、伊月たちが席をとってくれているよ」
レジの側で待っていた瑠奈とハルに合流すると、ハルは窓際のテーブルを指差した。
見ると、窓際の六人がけの席に座った伊月と梶がお茶を飲んでいた。
ふたりは空いた席に荷物をおいて、席を確保してくれていた。
「ありがとうございます」
学食の中はぎっしりと机が並べられていて、あまりはやくは歩けない。
ハルは周囲からかけられる挨拶に返事をしながら、器用に椅子と椅子の間を歩いていく。
その後を瑠奈、知花、夏山の順に続いた。
「お待たせ!」
ハルは、伊月たちに声をかけた。
伊月は顔をあげ、知花を見ると嫌な顔になった。
「え、なんでこんな短時間に悪化してるの? 意味わかんない……」
「え……?」
知り合いともいえない男子とふたり、無言でいることも辛い。
沈黙の重さに耐えられなくて、知花は夏山に声をかけた。
夏山は鋭い眼光で知花を一瞥すると、上から見下ろす。
「あぁ?」という低い声が聞こえた気がして、知花は「ひぃっ」と息を飲んだ。
それに気づいたのか夏山は若干気まずそうに目を壁のメニューに向け、答える。
「えっと、ヤンニョムチキンを頼もうかと思ってるっす」
「あ、おなじだね」
「そうっスか」
一瞬続いたかに思えた会話は、すぐに夏山に打ち切られた。
なんで敬語なんだろうと思いながら知花が愛想笑いをうかべると、夏山は無表情で見下ろしてきた。
(泣きたい……)
もともと得意ではない男子との会話は、相手が非協力的だとすぐに行き詰まる。
次の言葉が見つけられず、知花はもごもごと口ごもる。
それを見た夏山は、初めて気づいたかのように尋ねてきた。
「えっと。つーか、誰っすか? ハルの友達?」
さっきハルと一緒にいたことに、気づかれていなかったらしい。
知花は、夏山に話しかけたことを後悔した。
「あ、えと。友達っていうか……。ハルくんと同じ英語の授業をとっています。史学科一回生の、久保知花です」
「夏山要っす。経済の一回っす」
夏山から、どことなく体育会系の雰囲気を感じる。
知花はひきつった笑みをうかべ、また心の壁を築いた。
(体育会系でも女子だとなんにも思わないのに、男子だと苦手度が倍増するの、なんでだろ……)
背が高いだけでなくがっしりとした夏山の体躯を恐々見つめながら、知花は愛想笑いを浮かべる。
例え苦手な相手でもそれを表に出すなんて、できない。
ましてや相手は、今から助けてもらうかもしれない相手だ。
夏山は真剣な顔で、メニューを見つめている。
切れ長のすっきりした目は、どことなくクールで、知的で、落ち着いて見える。
けれど口を開けば、体育会系男子特有の押し出しの強さを感じる。
そういうのが好きな女子もいるだろうけど、知花には苦手な部類だった。
(まぁ男子っていうだけで苦手だけど)
クール系男子も体育会系男子も、どちらも苦手だ。
ハルのような例外はともかく、全般的に男子は苦手だから、夏山がどんな人間でも同じかもしれない。
(これから4年間は共学なんだから、いつまでも苦手というわけにはいかないだろうけど……)
知花が大学生活に不安を感じていると、列の順番がまわってきた。
夏山が先にどうぞと手でしめしてくれたので、お言葉にあまえて、知花はカウンターから手前のチキンを取り、自分のトレーにのせた。
そのまま横に移動し、ごはんは麦ごはんをSSサイズでお願いし、お味噌汁も取る。
夏山も麦ごはん選択、ただしサイズはLLだ。
どんぶりほどもある大きなお椀に山もり盛られたごはんの量に、知花はおののいた。
男子がこのサイズのがはんを食べているのは見かけたことがあった。
けれど近くで見ると、迫力が違う。
さらに夏山は、一品料理のコーナーで小鉢をもりもり選んでいた。
夏山のトレーの上は、あっという間にみっちりとお皿だらけになる。
(これ、全部食べるのかな……。そりゃ大きくなるはずだよ……)
見ているだけで、胃が痛くなりそうだ。
知花は夏山と連れだって、レジに並んだ。
瑠奈とハルは、ちょうどお会計しているところだった。
学生証をかざしてピッと電子会計をすませた瑠奈は、知花が列に並んでいるのに気づき、振り返って小さく手を振って笑う。
ひまわりの花のように明るい瑠奈の笑顔に、夏山とのやりとりでおった疲れが癒されるのを、知花は感じた。
知花も手を振り返そうとしたが、両手がトレーでふさがっていた。
かわりに首を左右に振って、あいさつがわりにする。
「……くくっ」
おしころしたような笑い声が、背後から聞こえた。
知花がちらりと振り返ると、夏山が知花を見て笑みを浮かべている。
「えっ、なに……?」
「それ、素なんっすか? なんつーか、かわいいっすね。小動物みてぇ」
「へ……っ」
かあああああと、顔が赤くなるのを知花は感じた。
「あ、……っ子どもっぽかった、よね?」
こんなの、女子の間では普通の仕草のはずだ。
なんの意識もない、素のままの仕草だ。
けれど、わざわざ「かわいい」と言われると、無性に恥ずかしく思えた。
夏山はただ思ったことを言っただけらしく、知花の言葉に首をひねり、
「子どもっぽい……? まぁ、そうかもっすね」
自分でもよくわからないというように、適当に返事をしている。
けれど、言われた知花にとっては、なかなかに衝撃が大きいことで。
(男子に、かわいいって言われたーーー!!)
知花の頭の中は、一瞬で沸き立った。
中学校と高校は女子校だった知花にとって、男子という存在が同じ教室にいる事態すら大学生になってから始まったイベントみたいなものだ。
最近ようやく男子と机を並べて勉強するのには慣れたものの、サークルにも入ってないし、ついつい女子とばかり群れてしまうので、男子との会話自体に慣れていない。
だから、こんな台詞は衝撃が大きすぎる。
(意識することじゃないのは、わかる……! きっと共学の女子だったら、男子にこういうこと言われるのも日常茶飯事なんでしょ。……わかってる! でもさぁ! 私には、こんなこと言われて、普通にするなんて無理だよ……!)
知花は、赤い顔を夏山の目から隠すように、あわてて学生証をレジにかざしてお会計した。
「あっちに、伊月たちが席をとってくれているよ」
レジの側で待っていた瑠奈とハルに合流すると、ハルは窓際のテーブルを指差した。
見ると、窓際の六人がけの席に座った伊月と梶がお茶を飲んでいた。
ふたりは空いた席に荷物をおいて、席を確保してくれていた。
「ありがとうございます」
学食の中はぎっしりと机が並べられていて、あまりはやくは歩けない。
ハルは周囲からかけられる挨拶に返事をしながら、器用に椅子と椅子の間を歩いていく。
その後を瑠奈、知花、夏山の順に続いた。
「お待たせ!」
ハルは、伊月たちに声をかけた。
伊月は顔をあげ、知花を見ると嫌な顔になった。
「え、なんでこんな短時間に悪化してるの? 意味わかんない……」
「え……?」
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