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無罪放免というのは難しいそうですが
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無駄にふたりして真っ赤になって、うろたえる。
なに、しれっと言っちゃったんだ、自分……!
私、ぜったいにこういうこと言うキャラじゃないのに。
「ん、んー……。続き、お願いします」
脱線は、やめやめ!
さっさと本題の続きにいこうとレイをうながすと、レイも咳払いして、うなずいた。
「だな。で、だ。言っちゃぁなんだが、俺としては、そこまで重い罰を与える必要はないと思ってる。で、美咲の意向も聞こうと思ったんだけどよー。その感じじゃ、美咲としても、あの女に厳しい罰を与えることを望むってのはなさそうだな?」
「ないです!……正直、ちょこっと嫉妬したくらいで、偉い人の部下に捕らえられて尋問されるなんて、じゅうぶんすぎる罰が与えられてるって思います」
わが身に置き換えて想像すると、ぞっとするわ。
「レイたち的に問題ないようでしたら、無罪放免で開放してあげてください」
「わかった。さすがに無罪放免ってわけにはいかねーけど、説教と軽い監視で開放ってことにするな」
「説教はわかりますけど。監視まで必要ですか?」
レイがいると判断したなら、止めようとまでは思わない。
でも目に見えて監視されてたら、今まで通りにお仕事をしたり、日常生活を送るのにも困りそう。
それじゃ、罰を与えているようなものだ。
ということをこまごま尋ねると、レイはかぶりを振った。
「いや、わからねーように、こっそり監視させる。本人が嘘をついてるってことはなさそうなんだけどよー、なんか気になるんだよな」
「そうですか……」
なんという曖昧な根拠!
でも、意外とカンとかって無視できないものだよね。
人間の頭って、いろいろなところで見た断片的な情報を組み立てて、カンって形でアウトプットすることがあるっていうし。
そもそもこの世界のルールも、結界のシステムもよくわからない私が口出しできることじゃないよな。
「ただ、オサドのとこの商会はクビになると思うぞ? 貴族の家であからさまに結界にはじかれた人間を雇うのはリスクが高すぎるからな」
「は? 厳しすぎません?」
誰かに危害を加えようと思って結界に阻まれたなら、クビは当然だと思う。
でも、私はけがひとつないし、もっといえば、そもそもあの子は私を殴ろうとか、怪我させようとか考えたわけでもない。
恵まれて見える人間に嫉妬しただけだ。
なのに、結界のレベルがあがってるからって、結界に阻まれて、クビ。
そんなの、ぜったいひどすぎる!
「私もなにもなかったんだし、結界に阻まれたっていっても、結界のレベルがもっと低かったら、彼女が結界に阻まれることもなかったんですよね? なのにたまたま結界のレベルが高かったからって、クビだなんて。なんとかならないんですか?」
「こちらからオサドに、クビにしろとは言わねーけど。雇い続けろともいえねーよ。そりゃ俺だって、結界のレベルが異常に高かったってのは感じてるけどよー…、結界に目に見えてはじかれるのは、それなりに重くとられる。でもあいつは家も金持ちだし、実家に帰っても生活に困ることもねーとおもうぞ?」
そういえば、リジーさんのご実家はお金持ちな商会なんだっけ。
リジーさんは勤め始めたばかりで、花嫁修業が目的の、いわゆるバリキャリっぽい働き方を目指してる人ではない模様。
とはいえ。
それだけじゃ、彼女のことを知ったことにはならないよね。
「レイ。リジーさんに、判決を言い渡すとき、私も一緒に行っていいですか?」
できるだけ重々しい感じで、言う。
レイは、危ないとか、相手に嫌なことを言われるかもしれないといって同行をしぶったが、何度かお願いして、いっしょに行けることになった。
なに、しれっと言っちゃったんだ、自分……!
私、ぜったいにこういうこと言うキャラじゃないのに。
「ん、んー……。続き、お願いします」
脱線は、やめやめ!
さっさと本題の続きにいこうとレイをうながすと、レイも咳払いして、うなずいた。
「だな。で、だ。言っちゃぁなんだが、俺としては、そこまで重い罰を与える必要はないと思ってる。で、美咲の意向も聞こうと思ったんだけどよー。その感じじゃ、美咲としても、あの女に厳しい罰を与えることを望むってのはなさそうだな?」
「ないです!……正直、ちょこっと嫉妬したくらいで、偉い人の部下に捕らえられて尋問されるなんて、じゅうぶんすぎる罰が与えられてるって思います」
わが身に置き換えて想像すると、ぞっとするわ。
「レイたち的に問題ないようでしたら、無罪放免で開放してあげてください」
「わかった。さすがに無罪放免ってわけにはいかねーけど、説教と軽い監視で開放ってことにするな」
「説教はわかりますけど。監視まで必要ですか?」
レイがいると判断したなら、止めようとまでは思わない。
でも目に見えて監視されてたら、今まで通りにお仕事をしたり、日常生活を送るのにも困りそう。
それじゃ、罰を与えているようなものだ。
ということをこまごま尋ねると、レイはかぶりを振った。
「いや、わからねーように、こっそり監視させる。本人が嘘をついてるってことはなさそうなんだけどよー、なんか気になるんだよな」
「そうですか……」
なんという曖昧な根拠!
でも、意外とカンとかって無視できないものだよね。
人間の頭って、いろいろなところで見た断片的な情報を組み立てて、カンって形でアウトプットすることがあるっていうし。
そもそもこの世界のルールも、結界のシステムもよくわからない私が口出しできることじゃないよな。
「ただ、オサドのとこの商会はクビになると思うぞ? 貴族の家であからさまに結界にはじかれた人間を雇うのはリスクが高すぎるからな」
「は? 厳しすぎません?」
誰かに危害を加えようと思って結界に阻まれたなら、クビは当然だと思う。
でも、私はけがひとつないし、もっといえば、そもそもあの子は私を殴ろうとか、怪我させようとか考えたわけでもない。
恵まれて見える人間に嫉妬しただけだ。
なのに、結界のレベルがあがってるからって、結界に阻まれて、クビ。
そんなの、ぜったいひどすぎる!
「私もなにもなかったんだし、結界に阻まれたっていっても、結界のレベルがもっと低かったら、彼女が結界に阻まれることもなかったんですよね? なのにたまたま結界のレベルが高かったからって、クビだなんて。なんとかならないんですか?」
「こちらからオサドに、クビにしろとは言わねーけど。雇い続けろともいえねーよ。そりゃ俺だって、結界のレベルが異常に高かったってのは感じてるけどよー…、結界に目に見えてはじかれるのは、それなりに重くとられる。でもあいつは家も金持ちだし、実家に帰っても生活に困ることもねーとおもうぞ?」
そういえば、リジーさんのご実家はお金持ちな商会なんだっけ。
リジーさんは勤め始めたばかりで、花嫁修業が目的の、いわゆるバリキャリっぽい働き方を目指してる人ではない模様。
とはいえ。
それだけじゃ、彼女のことを知ったことにはならないよね。
「レイ。リジーさんに、判決を言い渡すとき、私も一緒に行っていいですか?」
できるだけ重々しい感じで、言う。
レイは、危ないとか、相手に嫌なことを言われるかもしれないといって同行をしぶったが、何度かお願いして、いっしょに行けることになった。
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