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お嫁さんにしたいからといって、隠し事がないわけではないようですが
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おぉっと……。
断じて狙ったわけじゃないけど、告白みたいなのいただいてしまいました。
そっか。
レイは、私のこと、お嫁さんにしたいんだ。
そんなふうに思った相手は、私だけなんだ……。
そばにいてほしい、とか。
好きだ、とか。
そう言われたことを忘れたわけじゃない。
だけど、「嫁にしたい」って言葉も、すごい威力だよ。
私は元の世界に帰りたくて、それは変わらないんだけど。
でも、心はすごく揺れる。
「えっと……、じゃぁ。オサドさんの商会の子が、レイとの結婚を狙っていたっていうのは、片思いということですか」
レイの言葉を聞かなかったように、話を進める。
ひどいことをしている。
そう思うのに、レイは私にあわせて、何事もないかのように話を続けてくれた。
「片思いってのも、違うと思うんだよなー。会ったことがあるやつかすら、わからねーし。……俺が癒し人だってのは言っただろ? で、癒し人は一種、階級の外にあるっつーか。身分とか関係なく、結婚相手を選べるんだよ」
「は……、あぁ。それで」
端的な説明だけど、それで察しはついた。
なんというか、異世界システムだ。
年をとらない、場合によっては癒しの力を持つという癒し人は、それだけじゃなくて結婚相手も好きな人を選べる、と。
で、レイは、領主一族の人間だし、結婚を考える女の子とつりあう年齢だし、顔も冷たく見えるほど整ってるし。
性格も頼りになるし、優しいし、戦えば強いし。
身分関係なく狙えるとなったら、そりゃ誰だって狙いたくはなるよね。
レイは、相手の女の子に心当たりはないみたいだけど、オサドさんの商会とは取引が多いみたいだし、何度か顔を合わせていたのかもしれない。
何気なくでも笑いかけられたり、言葉を交わしたりしていたら、夢を見る人だって、いるだろうなと思う。
納得すると同時に、なんか面白くない気分になる。
そんな理由で、レイを狙っている女の子がいるっていうのが、なんか嫌。
しかも、いっぱいいそうだし……。
でも、そんな癒し人の特権システムがあるから、私みたいな得体のしれない女が、レイの婚約者のように扱われていても、お屋敷の人たちは祝福モードだったのかな。
ふつうなら反対されるでしょって、ずっと謎だったんだよね。
っていうか、レイがその癒し人の特権をもっとはやくに教えてくれていれば、身分のことでは悩まなかったのに……!
あー、でも、私たちの関係は偽装だから、あえて教えてくれなかったのかな?
それか、私に気を使わせまいとして?
「なんか癒し人っていいことづくめって感じですね。……ほかにもなにか、隠していることってあります?」
疑心暗鬼な気持ちで、レイをにらむ。
するとレイは、こてんと首をかしげて、無邪気そうに笑った。
「いや。ねーよ?……つーか、俺、別にお前に隠しごとしたことなんか、なかったよな?」
ふーん。へー。そう。
隠していることと、言わないかったことは、別だと。
こうもあからさまにされると、きっとたくさん隠されていることがあるんだろうなって察せずにはいられない。
察しろってことかな。
そりゃ、こんな広い領の元領主様だ。
隠し事のひとつやふたつ、ないほうが不思議だよね。
「そうですか? なら、そういうことにしておきますね」
うまい切り返しなんて、思い浮かばない。
せめてもの意趣返しに、私は意味ありげに笑うのが精いっぱいだった。
ちぇっ。
断じて狙ったわけじゃないけど、告白みたいなのいただいてしまいました。
そっか。
レイは、私のこと、お嫁さんにしたいんだ。
そんなふうに思った相手は、私だけなんだ……。
そばにいてほしい、とか。
好きだ、とか。
そう言われたことを忘れたわけじゃない。
だけど、「嫁にしたい」って言葉も、すごい威力だよ。
私は元の世界に帰りたくて、それは変わらないんだけど。
でも、心はすごく揺れる。
「えっと……、じゃぁ。オサドさんの商会の子が、レイとの結婚を狙っていたっていうのは、片思いということですか」
レイの言葉を聞かなかったように、話を進める。
ひどいことをしている。
そう思うのに、レイは私にあわせて、何事もないかのように話を続けてくれた。
「片思いってのも、違うと思うんだよなー。会ったことがあるやつかすら、わからねーし。……俺が癒し人だってのは言っただろ? で、癒し人は一種、階級の外にあるっつーか。身分とか関係なく、結婚相手を選べるんだよ」
「は……、あぁ。それで」
端的な説明だけど、それで察しはついた。
なんというか、異世界システムだ。
年をとらない、場合によっては癒しの力を持つという癒し人は、それだけじゃなくて結婚相手も好きな人を選べる、と。
で、レイは、領主一族の人間だし、結婚を考える女の子とつりあう年齢だし、顔も冷たく見えるほど整ってるし。
性格も頼りになるし、優しいし、戦えば強いし。
身分関係なく狙えるとなったら、そりゃ誰だって狙いたくはなるよね。
レイは、相手の女の子に心当たりはないみたいだけど、オサドさんの商会とは取引が多いみたいだし、何度か顔を合わせていたのかもしれない。
何気なくでも笑いかけられたり、言葉を交わしたりしていたら、夢を見る人だって、いるだろうなと思う。
納得すると同時に、なんか面白くない気分になる。
そんな理由で、レイを狙っている女の子がいるっていうのが、なんか嫌。
しかも、いっぱいいそうだし……。
でも、そんな癒し人の特権システムがあるから、私みたいな得体のしれない女が、レイの婚約者のように扱われていても、お屋敷の人たちは祝福モードだったのかな。
ふつうなら反対されるでしょって、ずっと謎だったんだよね。
っていうか、レイがその癒し人の特権をもっとはやくに教えてくれていれば、身分のことでは悩まなかったのに……!
あー、でも、私たちの関係は偽装だから、あえて教えてくれなかったのかな?
それか、私に気を使わせまいとして?
「なんか癒し人っていいことづくめって感じですね。……ほかにもなにか、隠していることってあります?」
疑心暗鬼な気持ちで、レイをにらむ。
するとレイは、こてんと首をかしげて、無邪気そうに笑った。
「いや。ねーよ?……つーか、俺、別にお前に隠しごとしたことなんか、なかったよな?」
ふーん。へー。そう。
隠していることと、言わないかったことは、別だと。
こうもあからさまにされると、きっとたくさん隠されていることがあるんだろうなって察せずにはいられない。
察しろってことかな。
そりゃ、こんな広い領の元領主様だ。
隠し事のひとつやふたつ、ないほうが不思議だよね。
「そうですか? なら、そういうことにしておきますね」
うまい切り返しなんて、思い浮かばない。
せめてもの意趣返しに、私は意味ありげに笑うのが精いっぱいだった。
ちぇっ。
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