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ドレスを試着してみましたが
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っていうか、これ、ぜんぶ試着するの……?
試着は、寝室のほうでするらしい。
次から次へとレイがドレスを選び、メアリーさんたちが、そのドレスを寝室に運んでいた。
初めは私も一緒にドレスを選ぼうとしていたんだけど、なにせ、お洋服屋さんが持ってきてくれたドレスが多い。
こっちは友達の結婚式にお招きされた時くらいしか、ドレスっぽいワンピースなんて着たことないから、選ぶっていっても、なにがなんだか。
おまけに、ドレスコードとかがあるらしく、このドレスはお茶会に着ていいけど、夜のパーティはダメとか、まぁいろいろいろいろ。
その中で必要なドレスを選ぶなんて、無理っしょ。
早々に諦めたよね。
で、レイが選んでくれたんだけど。
「よし。とりあえず、これくらいな。後は試着したのを見てから考えるから、いったん試着してくれるか?」
ってレイに言われて、試着室になってる寝室に来たのが、いまここ。
山積みになったドレスに唖然としています。
「こんなにたくさん…」
「愛されてますね」
冷やかすように笑うのは、メアリーさんだ。
その後ろで、お洋服やさんの女の子たちもクスクス笑っている。
楽しそうで、なによりです……。
「こんなにたくさんだと、どれから試着するか迷ってしまうわ」
頬に手を当て、ほぅっとため息を漏らす。
「どれでも、美咲様のお好きなようにお選びください」
お洋服やさんの一人、リーダーっぽい大人びた金髪の女の子が言う。
んー、この人は、女の子って年でもないか。
ほとんどの子は10代半ばから後半って感じで、ひとまとめに見てたけど、よく見ると数人20代から30代くらいの人もいる。
この人もそのうちの一人。
ぱっと見は、私と同じくらいの年齢に見える。
とはいえ、この世界は癒し人とかいう年齢不詳の人もいるそうなので、見た目通りの年齢かはわからないのだけど。
あ、オサドさんは男性なので、この場にはいらっしゃらないです。
化粧室で、追加のドレスをレイと選んでくださっているらしい。
正直、これ以上ドレスが増えても、試着が大変すぎて困るんだけどな……。
「まずは、美咲様がお選びになったドレスからご試着なさるのはいかがですか?」
大量のドレスにひきぎみの私に、メアリーさんが声をかけてくれた。
「ええ、そうね。そうしようかしら」
「お選びになった3着のうち、どちらからがいいというご希望などはございますか?」
「そうね…、じゃぁすみれ色のドレスからにするわ」
初めに選んだのが、あれだったし。
と、単純に考えて、すみれ色のドレスを用意してくれるようお願いする。
すると、メアリーはにんまりとほほ笑んで、ドレスをトルソーから外す。
お店の女の子たちは、「きゃぁ」と小さな歓声をあげた。
ん?
さっきもこんなことなかったっけ。
既視感に首を傾げつつ、メアリーの手を借りて、すみれ色のドレスに着替えた。
着てみると、思っていたよりも滑らかな生地で、着心地がいい。
心配していたウェストなんかも、きついということもなかった。
「とてもお似合いですわ、美咲様」
メアリーさんが、全身がうつる鏡の前まで手をひいてくれた。
「わぁ……、素敵」
ドレスは、存外、私に似合っていた。
やはりお高いドレスは違うということか。
絶妙に腰の位置が高く、脚が長く見える。
二の腕のお肉も、いい感じにカバーされていた。
「美咲様の黒髪に、よく映えていますわね。髪を緩く巻いて、このようにまとめるのもお似合いだと思います。これに合うヘッドドレスはありますか?」
「はい。こちらはいかがでしょう」
メアリーさんが視線を向けると、さっきのリーダーっぽい人が、素早く髪飾りを見せてくれた。
「あぁ。美咲様にお似合いになりそうですね」
ドレスと友布でできた手の平サイズのベレー帽みたいな土台に、同じく友布でつくられたバラとリボンが瀟洒につけられている。
メアリーさんが、斜めになるようにそのヘッドドレスを頭につけてくれた。
その時。
パンっとなにかが弾ける音がして、お洋服屋さんの女の子がひとり、壁にたたきつけられた。
試着は、寝室のほうでするらしい。
次から次へとレイがドレスを選び、メアリーさんたちが、そのドレスを寝室に運んでいた。
初めは私も一緒にドレスを選ぼうとしていたんだけど、なにせ、お洋服屋さんが持ってきてくれたドレスが多い。
こっちは友達の結婚式にお招きされた時くらいしか、ドレスっぽいワンピースなんて着たことないから、選ぶっていっても、なにがなんだか。
おまけに、ドレスコードとかがあるらしく、このドレスはお茶会に着ていいけど、夜のパーティはダメとか、まぁいろいろいろいろ。
その中で必要なドレスを選ぶなんて、無理っしょ。
早々に諦めたよね。
で、レイが選んでくれたんだけど。
「よし。とりあえず、これくらいな。後は試着したのを見てから考えるから、いったん試着してくれるか?」
ってレイに言われて、試着室になってる寝室に来たのが、いまここ。
山積みになったドレスに唖然としています。
「こんなにたくさん…」
「愛されてますね」
冷やかすように笑うのは、メアリーさんだ。
その後ろで、お洋服やさんの女の子たちもクスクス笑っている。
楽しそうで、なによりです……。
「こんなにたくさんだと、どれから試着するか迷ってしまうわ」
頬に手を当て、ほぅっとため息を漏らす。
「どれでも、美咲様のお好きなようにお選びください」
お洋服やさんの一人、リーダーっぽい大人びた金髪の女の子が言う。
んー、この人は、女の子って年でもないか。
ほとんどの子は10代半ばから後半って感じで、ひとまとめに見てたけど、よく見ると数人20代から30代くらいの人もいる。
この人もそのうちの一人。
ぱっと見は、私と同じくらいの年齢に見える。
とはいえ、この世界は癒し人とかいう年齢不詳の人もいるそうなので、見た目通りの年齢かはわからないのだけど。
あ、オサドさんは男性なので、この場にはいらっしゃらないです。
化粧室で、追加のドレスをレイと選んでくださっているらしい。
正直、これ以上ドレスが増えても、試着が大変すぎて困るんだけどな……。
「まずは、美咲様がお選びになったドレスからご試着なさるのはいかがですか?」
大量のドレスにひきぎみの私に、メアリーさんが声をかけてくれた。
「ええ、そうね。そうしようかしら」
「お選びになった3着のうち、どちらからがいいというご希望などはございますか?」
「そうね…、じゃぁすみれ色のドレスからにするわ」
初めに選んだのが、あれだったし。
と、単純に考えて、すみれ色のドレスを用意してくれるようお願いする。
すると、メアリーはにんまりとほほ笑んで、ドレスをトルソーから外す。
お店の女の子たちは、「きゃぁ」と小さな歓声をあげた。
ん?
さっきもこんなことなかったっけ。
既視感に首を傾げつつ、メアリーの手を借りて、すみれ色のドレスに着替えた。
着てみると、思っていたよりも滑らかな生地で、着心地がいい。
心配していたウェストなんかも、きついということもなかった。
「とてもお似合いですわ、美咲様」
メアリーさんが、全身がうつる鏡の前まで手をひいてくれた。
「わぁ……、素敵」
ドレスは、存外、私に似合っていた。
やはりお高いドレスは違うということか。
絶妙に腰の位置が高く、脚が長く見える。
二の腕のお肉も、いい感じにカバーされていた。
「美咲様の黒髪に、よく映えていますわね。髪を緩く巻いて、このようにまとめるのもお似合いだと思います。これに合うヘッドドレスはありますか?」
「はい。こちらはいかがでしょう」
メアリーさんが視線を向けると、さっきのリーダーっぽい人が、素早く髪飾りを見せてくれた。
「あぁ。美咲様にお似合いになりそうですね」
ドレスと友布でできた手の平サイズのベレー帽みたいな土台に、同じく友布でつくられたバラとリボンが瀟洒につけられている。
メアリーさんが、斜めになるようにそのヘッドドレスを頭につけてくれた。
その時。
パンっとなにかが弾ける音がして、お洋服屋さんの女の子がひとり、壁にたたきつけられた。
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