異世界で(口の悪い)騎士様に拾われたのですが

木村 真理

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マテリアルな女ではありますが

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 はっきり言って、私は即物的な女だ。
お金持ちのイケメンが、普通の女の子にあれこれプレゼントして彼女を飾りたてるハーレクイン的なお話は、大好物だ。
こういうお話って、洋の東西を問わず、時代の古今を問わず、女子に愛されるお話だと思う。
私見だけど。
もちろん、異論反論はあると思います。

 だけどさ。
そういうのって、ただし、二次元に限る、ってやつだと思うけどね!?
 一部の貢がれるの上手な女子以外は、リアルに出会って間もない男にわんさかプレゼントをもらったら、びびると思う。
私がもてない女子だから、ではないはず……。

 メアリーさんと相談しつつ、お洋服屋さんがドレスを部屋のあちこちに広げていく。

「あー……。とりあえず、もうちょい時間かかりそうだし。先に、朝メシ食いにいこうか」

「え、でも……。ご用意していただいているのに」

 レイが、私の顔色を見つつ、打診してくる。
正直、まだ混乱しているし、おなかもすいているし、朝ごはんを先に食べられるのなら食べたい。
 でも、わざわざ朝早くから来ていただいたお店の人を放置して、のんきにごはんって気分にはなれない。
そこのとこ、やっぱりレイは貴族だから感覚違うのかな。

「いや、こいつらも、準備とかに時間かかるんだよ。だいたいのお前の感じは伝えて用意してもらったけどよ、やっぱ今はじめてお前を見て、持ってきた中でも似合いそうなのとかメインに準備するんだし。だから、こっちが席を外したほうがいい、よな?」

 レイは最後は疑問文な語尾で聞くと、お店の人の中でもいちばん偉い人っぽい紳士が、指示の手をとめて、にっこり笑ってくださった。

「ええ。申し訳ございませんが、こちらの準備はいましばらくかかります。お時間をいただけますと幸いです」

「な?」

「そういうことでしたら、ありがたく朝ごはんをいただいてまいります」

 ひょいっと下げそうになった頭を気力で元の位置にとどめて、かわりに首を横に傾げてほほ笑んだ。
うーん、なにかというと頭を下げるくせが……なおすの難しい。

 それから、レイに促されるままに食堂に移動した。
朝ごはんのメニューは、オレンジジュースとパン、ハムとチーズというシンプルなメニューだった。

 もちろんすべてのメニューの後ろには「っぽいもの」という注意書きが必要なんだろうけどね。
味や見かけが地球のお食事に似ているって、すごい嬉しいです。

 お金持ちのおうちの朝ごはん!ってことでちょっと期待していたのは裏切られた感じはあるけど、それはそれ。
普段の自宅でのごはんも、こんなもんだしねー。
 ただちょっと、……お野菜系がほしいかな。
ビタミン不足怖い。

 とりあえず、オレンジジュースをガンガン飲んでおく。
これで少しはビタミンが補えるといいんだけど。

 セーグルのハード系のパンをせっせとちぎって口に運ぶ。
レイの食事しているところをチラ見していたけど、マナーはだいたい元の世界と変わらないみたい。

 ただガサツだと思っていたレイの仕草が、たしかにおおざっぱな感じはあるのに、どこか優雅でビビる。
これが育ちのよいお貴族様というものなのか。
 こちらはまごうことなき平民なので、じゃっかん緊張しつつお上品めにふるまっておく。
レイはそんなに礼儀に厳しくはないと思うけど、なんにでも限界のラインってものがある。
私だって、元の世界でいっしょにご飯を食べに行った人が、手づかみでパスタ食べたりしたら、あ、無理ってなる。
そのボーダーがどこに設置されているのかは、人それぞれだし、わからないもんな。

 って、いろいろ考えているせいで、無言で食事していたら。
レイが、とつぜん深刻な顔で、私を見た。

「怒ってるのか……?」

 はい?
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