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理由をきいてみましたが
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抱きしめられたレイの腕の中、さっきの言葉を反芻する。
私が相手だと、どうしても、そばにいてほしかった、って……。
それは。
期待していい、なんてもんじゃないよね。
これで、期待するなってほうがおかしいよね。
どっどっ、心臓が痛いほど大きな音でなる。
好き。
私も、レイが好きだ。
見て見ぬふりしてごまかしていた気持ちが、あふれ出す。
でも。
「どうして、ですか……? 私なんて、ただの迷惑な人間でしょう?」
私が、レイを好きになる理由なんて、いっぱいある。
かっこよくて。
自分を守ってくれて。
頼りになって。
強くて。
いろんなことができて。
領民のひととか、私にも優しくて。
ほかにも、たくさん。
好きになる理由なんて、いくらでも思いつく。
でも、逆は。
レイが、私を好きになる理由は……?
見た目は、そこそこだと思いたい。
でも、レイと比べれば、せいぜい普通がいいとこだと思う。
なにか優れたところがあるわけでもなく、心が清らかとか、強いとかもない。
レイにも、迷惑ばかりかけている。
そのうえ、異世界の人間とかいう得体の知れなさ。
はっきりいって、自分でも、やっかいなだけの人間だと思う。
こんなにレイが優しくしてくれるのも、不思議なくらい。
なのに、私にそばにいてほしい、なんて。
「……なんでだろうなぁ」
なにか理由があるのかもって、すこし期待して尋ねた。
なのに、レイは私の言葉に、迷いをにじませたかすれた声で答えた。
そして、私の耳元で囁くように続ける。
「理由なんて、はっきりわからねぇんだよな。ただ、どうしようもなく、お前にそばにいてほしい」
「そんなの……」
「初めて見た時、すげぇかわいいなと思った。でも、なんていうかな、その後だよ。初対面の俺が、魔獣を倒して逃げるって言ったとき、すぐに状況を把握して、自分が生きられる道を選んで、全面的に俺を信じて任せてくれただろ。あの瞬間、心をつかまれた気がした」
「なにそれ……」
レイが真面目に答えてくれているのは、わかる。
だけどその理由があいまいすぎて、わけがわからなかった。
そんな理由なら、ひとめぼれだとか言われたほうが、まだわかる。
それなら、レイが趣味が悪いんだなと思って終わりだ。
「わかんねぇよな。俺にも、よくわからねぇもんな。けどよー、お前の反応が、いちいち心にクるんだよ。俺のことを心配したり、頼りきりみたいな顔したり、かと思ったら遠慮して、自分から自分を切り捨てろって言ったり。そういうとこが、いや、そういうとこだけじゃなくて、なんかぜんぶの反応が、たまらんっつーか」
ため息まじりに言って、レイは私の頭をぎゅっと自分の胸に押し付けた。
「つまり、ぜんぶだ。お前の全部が、好き、みてぇだ」
その瞬間の気持ちを、なんていえばいいんだろう。
胸の奥からきゅうっとレイへの愛しさと、嬉しさと、幸せが、体に広がっていって。
まるで世界とつながったかのような、そんな気持ち。
レイが愛しくて愛しくてたまらない、そんな気持ち。
でも、同時に、喜びの端から悲しさがわきあがってくる。
だって。
「けどよー。お前は、自分の世界に帰るんだもんな……」
「はい……」
元の世界に帰りたい、その気持ちは揺るがない。
だから、この恋は、実ることなんてないんだ。
私が相手だと、どうしても、そばにいてほしかった、って……。
それは。
期待していい、なんてもんじゃないよね。
これで、期待するなってほうがおかしいよね。
どっどっ、心臓が痛いほど大きな音でなる。
好き。
私も、レイが好きだ。
見て見ぬふりしてごまかしていた気持ちが、あふれ出す。
でも。
「どうして、ですか……? 私なんて、ただの迷惑な人間でしょう?」
私が、レイを好きになる理由なんて、いっぱいある。
かっこよくて。
自分を守ってくれて。
頼りになって。
強くて。
いろんなことができて。
領民のひととか、私にも優しくて。
ほかにも、たくさん。
好きになる理由なんて、いくらでも思いつく。
でも、逆は。
レイが、私を好きになる理由は……?
見た目は、そこそこだと思いたい。
でも、レイと比べれば、せいぜい普通がいいとこだと思う。
なにか優れたところがあるわけでもなく、心が清らかとか、強いとかもない。
レイにも、迷惑ばかりかけている。
そのうえ、異世界の人間とかいう得体の知れなさ。
はっきりいって、自分でも、やっかいなだけの人間だと思う。
こんなにレイが優しくしてくれるのも、不思議なくらい。
なのに、私にそばにいてほしい、なんて。
「……なんでだろうなぁ」
なにか理由があるのかもって、すこし期待して尋ねた。
なのに、レイは私の言葉に、迷いをにじませたかすれた声で答えた。
そして、私の耳元で囁くように続ける。
「理由なんて、はっきりわからねぇんだよな。ただ、どうしようもなく、お前にそばにいてほしい」
「そんなの……」
「初めて見た時、すげぇかわいいなと思った。でも、なんていうかな、その後だよ。初対面の俺が、魔獣を倒して逃げるって言ったとき、すぐに状況を把握して、自分が生きられる道を選んで、全面的に俺を信じて任せてくれただろ。あの瞬間、心をつかまれた気がした」
「なにそれ……」
レイが真面目に答えてくれているのは、わかる。
だけどその理由があいまいすぎて、わけがわからなかった。
そんな理由なら、ひとめぼれだとか言われたほうが、まだわかる。
それなら、レイが趣味が悪いんだなと思って終わりだ。
「わかんねぇよな。俺にも、よくわからねぇもんな。けどよー、お前の反応が、いちいち心にクるんだよ。俺のことを心配したり、頼りきりみたいな顔したり、かと思ったら遠慮して、自分から自分を切り捨てろって言ったり。そういうとこが、いや、そういうとこだけじゃなくて、なんかぜんぶの反応が、たまらんっつーか」
ため息まじりに言って、レイは私の頭をぎゅっと自分の胸に押し付けた。
「つまり、ぜんぶだ。お前の全部が、好き、みてぇだ」
その瞬間の気持ちを、なんていえばいいんだろう。
胸の奥からきゅうっとレイへの愛しさと、嬉しさと、幸せが、体に広がっていって。
まるで世界とつながったかのような、そんな気持ち。
レイが愛しくて愛しくてたまらない、そんな気持ち。
でも、同時に、喜びの端から悲しさがわきあがってくる。
だって。
「けどよー。お前は、自分の世界に帰るんだもんな……」
「はい……」
元の世界に帰りたい、その気持ちは揺るがない。
だから、この恋は、実ることなんてないんだ。
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