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家政婦さんはメイドさんの上司のようですが
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執事のバドーさんと一緒に、この応接室に入ってきたメイドさんは2人。
ひとりは、ポットやカップが載ったワゴンをひいてきたメイドさん。
20歳くらいかな。
赤毛の美人さんだ。
いかにもメイドさんって感じの服を着ている。
ひざたけくらいのシンプルな黒のワンピースに、白のエプロン。
頭の上にはちょこんと飾りのようなブリル。
いいねー!いいねー!
ゴージャスなお屋敷で見るリアルメイドさんに、テンションがあがる。
メイドさんは、一礼すると、すこし下がって、お茶を用意してくれる。
いれかわりに、一緒に入ってきた年長のメイドさんが前に出た。
「レイモンド様。お部屋のご用意ができました」
恭しく、レイに告げる。
年齢は、40代半ばというところかな。
ほっそりした体型なのに、なんとなく貫禄がある。
服装も、チャコールグレーのロング丈のワンピースで、いかにもなメイドさんの服じゃない。
首元まできゅっとしまったデザインは、なんていうか、強そうだ。
「あぁ、ありがとう。……ハキさん、こちらはミサキ。伊坂、美咲だ」
「はじめまして。伊坂美咲です」
今度は、頭は下げなかった。
さすがに学習した。
ハキさんと呼ばれた女性は、私のことを優しい目で見てくれる。
「お初にお目にかかります、美咲様。家政婦をつとめます、ハキと申します」
「家政婦?」
どう見てもメイドさんたちの上司っぽい女性なんだけど。
家政婦さん、というと、一般的なお金持ちレベルのお家で家事を取り仕切る方っていうイメージ。
友達でも、家に家政婦さんがいるっていう子はちょいちょいいた。
このレベルのお屋敷とはそぐわないような……。
「この家の、女性使用人の取りまとめをしてくれているんだよ。美咲も、なにかあればハキさんを頼るといい」
戸惑っていると、レイが補足してくれた。
なるほど。
メイドさんをまとめるのって、メイド長さんとかだと思ったけど、その上司ってことか。
男性使用人の取りまとめが執事であるバドーさんなのかな。
住み込みで働くなら、同性の上司のほうがありがたいことも多そうだしな。
ハキさんを見ると、ハキさんはほほ笑んで、うなずいてくれた。
おお。頼りになりそう……。
「お世話になります」
「美咲様は、お連れの侍女やメイドはいらっしゃいますか?」
「おりません……!」
お連れの侍女やメイド!?
なんだそれ。
ひえっと背筋が冷える。
ハキさん、めっちゃ優しい笑顔なんですけど。
でもさぁ、私がひとりで来ているなんて、一目瞭然だよね。
なのに、その質問。
これって、もしかして、嫌味とかそういう……?
メイドのひとりも連れていないような女が、うちのお坊ちゃまとなれなれしくしてるんじゃねーよ的な意味でしょうか……?
ひとりは、ポットやカップが載ったワゴンをひいてきたメイドさん。
20歳くらいかな。
赤毛の美人さんだ。
いかにもメイドさんって感じの服を着ている。
ひざたけくらいのシンプルな黒のワンピースに、白のエプロン。
頭の上にはちょこんと飾りのようなブリル。
いいねー!いいねー!
ゴージャスなお屋敷で見るリアルメイドさんに、テンションがあがる。
メイドさんは、一礼すると、すこし下がって、お茶を用意してくれる。
いれかわりに、一緒に入ってきた年長のメイドさんが前に出た。
「レイモンド様。お部屋のご用意ができました」
恭しく、レイに告げる。
年齢は、40代半ばというところかな。
ほっそりした体型なのに、なんとなく貫禄がある。
服装も、チャコールグレーのロング丈のワンピースで、いかにもなメイドさんの服じゃない。
首元まできゅっとしまったデザインは、なんていうか、強そうだ。
「あぁ、ありがとう。……ハキさん、こちらはミサキ。伊坂、美咲だ」
「はじめまして。伊坂美咲です」
今度は、頭は下げなかった。
さすがに学習した。
ハキさんと呼ばれた女性は、私のことを優しい目で見てくれる。
「お初にお目にかかります、美咲様。家政婦をつとめます、ハキと申します」
「家政婦?」
どう見てもメイドさんたちの上司っぽい女性なんだけど。
家政婦さん、というと、一般的なお金持ちレベルのお家で家事を取り仕切る方っていうイメージ。
友達でも、家に家政婦さんがいるっていう子はちょいちょいいた。
このレベルのお屋敷とはそぐわないような……。
「この家の、女性使用人の取りまとめをしてくれているんだよ。美咲も、なにかあればハキさんを頼るといい」
戸惑っていると、レイが補足してくれた。
なるほど。
メイドさんをまとめるのって、メイド長さんとかだと思ったけど、その上司ってことか。
男性使用人の取りまとめが執事であるバドーさんなのかな。
住み込みで働くなら、同性の上司のほうがありがたいことも多そうだしな。
ハキさんを見ると、ハキさんはほほ笑んで、うなずいてくれた。
おお。頼りになりそう……。
「お世話になります」
「美咲様は、お連れの侍女やメイドはいらっしゃいますか?」
「おりません……!」
お連れの侍女やメイド!?
なんだそれ。
ひえっと背筋が冷える。
ハキさん、めっちゃ優しい笑顔なんですけど。
でもさぁ、私がひとりで来ているなんて、一目瞭然だよね。
なのに、その質問。
これって、もしかして、嫌味とかそういう……?
メイドのひとりも連れていないような女が、うちのお坊ちゃまとなれなれしくしてるんじゃねーよ的な意味でしょうか……?
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