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政治の話はしないに限るなと実感していますが

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「私の国には、王に類する立場の方はいらっしゃいますけど実権はないので、レイが考える王とは、かなり異なると思います。まったく王がいない国も、けっこうありますしねー」

「そうなのか!?」

 さくっと説明したけど、レイの頭は理解が追い付かないようだ。
王様がいない世界なんて、想像つかないみたい。

 貴族がいるならもしかしてとは思ったけど、この世界って、ゆるぎなく絶対王政な世界なのかなぁ。
 うーん、じゃぁこの世界は、国政においては中世から近世ってレベルなのかも。
近代に入ってたら、自分の国が王政をしいていても「王がいない国」って概念はありそうだし。
 逆に古代でも、議会政治ってけっこうあるしな…。

「まぁ、そういう国もあるっていうだけですよー。私の国は、王様っぽい方もいらっしゃいますし!」

 うっかり王政がないなんて話ちゃったけど、まずかったかも。
 ここが絶対王政な時代だったら、王や貴族が上にたつ世界を批判するようなことを言ったら、危険分子だと疑われるかもって可能性に気づいた。

 やばいやばい。
 異世界人なんて不安定な立ち場なのに、体制批判者だと思われたら詰むじゃん。
 民主主義が叩き込まれている国民ですけど、異世界の国家体制を批判する気なんてぜんぜんない。
 政治情勢につっこみをいれられるほど、ここの世界に長いする気もないですもん。
 さっさと地球に帰りたいです。

 なので、適当に絶対王政っぽいこの世界に迎合しつつ、話をそらす。

「レイは、なぜ森まで来られていたんですか?魔獣を退治するためですか?」

 ぽてぽて歩きながら尋ねると、レイはあっさりとそらした話題に乗ってきた。

「ああ。最近あの森で、ヨーダとかの魔獣がやたら出現するって聞いたからな。いちおう確認に来たんだ」

「確認?退治じゃなくてですか?」

 本格的な退治は、仲間を連れて後日って感じなのかなぁ。
 レイがたった一人で、あっさり魔獣を倒していたのを見ていたから、確認だけに来たっていう言葉には違和感があった。

 不思議に思って尋ねると、レイは「あー」とうなりながら応えた。

「赤い月がない世界なら魔獣の生体もちがうのか? さっきヨーダを退治したのは、俺が気づいた時には、もうお前はヨーダに目をつけられていたからだよ。あのまま逃げるほうが危険だったしな。けどああいうのは、例外だよ。普通は、魔獣なんて、あんまり退治はしねぇんだよ」

「そっか。ヨーダって、倒したら仲間が集まってくるんでしたね?」

「それもあるけどな。魔獣は、月の刻が変われば消えるだよ。だから基本的には、やり過ごすことが多いんだ。退治しても、次の月の刻には、また別のやつらが現れるしな。逆に見過ごしても、時間がすぎれば消える。わざわざ退治するメリットが少ねぇんだよ」

「…なるほど?」
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