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空港で爆発にまきこまれたのですが

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 足元で爆音がした瞬間、体がふきとんだ。
爆風で、そのまま壁か床にたたきつけられたんだろう。一瞬後、体中を激痛が襲う。

 それから、周りの人たちの悲鳴が聞こえた。
だけど、その声もどんどん小さくなっていき、目の前が真っ暗になる。

 あ、死んだ、と思った。

 ところで、今日は私の20代最後の日だった。
明日が私の30歳の誕生日。
だというのに、結婚もしてないし、彼氏もいない。
もちろん、子どもだっていない。
仕事も派遣のお仕事で、本日はどことも契約していない。
 つまり無職。
自分で言ってても切ないわ。

 なので、かわいそうな自分を慰めるためにも、大好きな海外旅行に出るかって思ったんだよね。
気晴らしに、ぱーっとおいしいもの食べて、ぶらぶらして、楽しむぞー!って。

 なのに、なんでまだ地元の空港についてチェックインカウンターに並んでる現在に、死ななくちゃならないのだ。
せめて、せめて旅行の帰りにしてくれ。
奮発して予約したちょっといいホテルに泊まらせてよ。

 いやでも今日死んだら、享年はギリ20代…。
たかが数日の差で、ニュースで「30代女性」って言われるより「20代女性」って言われるほうがいいな…。

 などという超くだらない考えが、頭を一瞬でかけめぐる。
それからようやく親のことを思い出した。

 もう30歳にもなろうとする娘なのに、うちの親は超過保護だ。
一人で海外なんて危ないって止められているのに、だいじょうぶだいじょうぶって押し切った。
 海外っていっても、行先はロンドン。
何度も行っているし、そんなに物騒な場所でもない。
ほんと過保護なんだから、って笑ってたのに。

 まさか、日本の空港で、爆破事件に巻き込まれるなんて!

 お父さん、お母さん、先立つ不孝をお許しください。
っていうか、まだ飛行機にも乗ってないけど、旅行保険ってもう適用されるのかな。

「おい」

 まさかこんな目にあうなんて思ってなかったから、保険の細かいところまで覚えてない。
うー、ちゃんとチェックしておけばよかった。

「とっとと目を開けろ!食われるぞ!」

「痛い!?」

 この意識が途切れるときが、私が死ぬときなんだろうと思いつつ、最期の考えにふけっているのに、なんか上のほうからしつこく呼ばれている。
聞いたことのない男の声だ。

 空港の警備員さんかなぁ、それともお医者さまだろうか。
なんて、頭のはしっこで考えてたら、背中をけられた。

 ひどい。
爆発に巻き込まれて倒れている人間の背中を蹴るなんて…、って、ええっ!?

「え、ここどこっていうかうわあああああああああああああああああああああああ」

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