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第八話② 再会
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真理衣は花の姿になった悠を優しく包み込む様に腕に抱いていた。不思議と仄かに暖かく感じる。真理衣は呟く。
「それにしても、魔法って凄い…」
「おや?見た事くらいあるでしょうに」
耳ざとく聞き取ったヨシュアに言われ、真理衣は誤魔化すように笑う。
「…いやぁ……ま、周りに使える人が居なかったもんで」
「そうですか」
周りに使える人間など居るはずもないのだから真理衣の言葉は嘘ではない。
「でも、こうやって魔法が使える人が居るのに宮殿に入る時確認とかして無かったですよね…私たちみたいな事する人が居ないとも限らないのに」
ヨシュアはおや、と真理衣を若干の驚きを込めて眺める。魔力の無い者の割にそういった事に気づくとはなかなかに馬鹿では無いらしい、と失礼な事を彼は思った。
「まぁ、今回は神官と偽っていますからね」
「神官って凄い身分なんですね?」
「何処の国の神官も、ユール神から特別気に掛けて貰える存在とされていますからね。神官になるには適性もあるので貴重なんですよ」
「適性…?」
「魔力の中にユール神に近い色合いが出る事です」
「色合いって…それって凄いんですかね?」
「僕としては特に何も感じませんが…昔からの掟なので」
ヨシュアは控室への帰り道でも、誰にも会わない事が不思議で堪らなかった。高価な壺がずらりと並ぶ廊下は行きには通らなかった場所である。真理衣は相変わらず迷う事なく進んでいく。
彼女が言っていた直感とやらは随分と精度の高いものだ、とヨシュアは羨ましくも怪しくも感じた。
「ところで、お手洗いに放置した騎士の人って…」
「あぁ、もう解けていると思いますよ。ほら」
控室の前に丁度その騎士が居た。ヨシュアが和かに彼に話しかける。
「あ、騎士の御仁!ビックリしましたよ急に戻って行ってしまうのですから」
「ああ、失礼致しました。何だか不思議と戻らないといけない気がしてしまって…申し訳ございません」
「まぁ何事もなく戻ってこれましたので大丈夫ですよ」
二人はニコニコ笑い合っている。
ヨシュアが嘘をペラペラと並び立てるのを聞いて、真理衣は思った。悠は嘘吐きにならないように育てよう、と。
帰りの馬車の中。真理衣は無事に悠と帰って来ていると言うのに不安を感じていた。悠が未だ花の姿であるからである。早く悠の重みを感じて乳を飲ませてやりたい、そう思いながら真理衣は痛い程に張っている胸をそっと押さえた。
いつの間にか馬車の外では雨が降りはじめる。ポツポツと地面に染み込む雨粒は、やがてザアザアと強く地面を叩き、水溜まりをつくった。
「それにしても、魔法って凄い…」
「おや?見た事くらいあるでしょうに」
耳ざとく聞き取ったヨシュアに言われ、真理衣は誤魔化すように笑う。
「…いやぁ……ま、周りに使える人が居なかったもんで」
「そうですか」
周りに使える人間など居るはずもないのだから真理衣の言葉は嘘ではない。
「でも、こうやって魔法が使える人が居るのに宮殿に入る時確認とかして無かったですよね…私たちみたいな事する人が居ないとも限らないのに」
ヨシュアはおや、と真理衣を若干の驚きを込めて眺める。魔力の無い者の割にそういった事に気づくとはなかなかに馬鹿では無いらしい、と失礼な事を彼は思った。
「まぁ、今回は神官と偽っていますからね」
「神官って凄い身分なんですね?」
「何処の国の神官も、ユール神から特別気に掛けて貰える存在とされていますからね。神官になるには適性もあるので貴重なんですよ」
「適性…?」
「魔力の中にユール神に近い色合いが出る事です」
「色合いって…それって凄いんですかね?」
「僕としては特に何も感じませんが…昔からの掟なので」
ヨシュアは控室への帰り道でも、誰にも会わない事が不思議で堪らなかった。高価な壺がずらりと並ぶ廊下は行きには通らなかった場所である。真理衣は相変わらず迷う事なく進んでいく。
彼女が言っていた直感とやらは随分と精度の高いものだ、とヨシュアは羨ましくも怪しくも感じた。
「ところで、お手洗いに放置した騎士の人って…」
「あぁ、もう解けていると思いますよ。ほら」
控室の前に丁度その騎士が居た。ヨシュアが和かに彼に話しかける。
「あ、騎士の御仁!ビックリしましたよ急に戻って行ってしまうのですから」
「ああ、失礼致しました。何だか不思議と戻らないといけない気がしてしまって…申し訳ございません」
「まぁ何事もなく戻ってこれましたので大丈夫ですよ」
二人はニコニコ笑い合っている。
ヨシュアが嘘をペラペラと並び立てるのを聞いて、真理衣は思った。悠は嘘吐きにならないように育てよう、と。
帰りの馬車の中。真理衣は無事に悠と帰って来ていると言うのに不安を感じていた。悠が未だ花の姿であるからである。早く悠の重みを感じて乳を飲ませてやりたい、そう思いながら真理衣は痛い程に張っている胸をそっと押さえた。
いつの間にか馬車の外では雨が降りはじめる。ポツポツと地面に染み込む雨粒は、やがてザアザアと強く地面を叩き、水溜まりをつくった。
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