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十三話

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「しかし何故、奴めは化け物どもに襲われぬ!? これでは、多勢に無勢。今は我々も押し留めているが、いずれ……」

 ガリウスが悲痛な叫びをあげます。
 まさに彼の言う通りなのです。
 シャイナはアンデッドの波の中に身を置きながら、余裕の表情でニタニタ嗤いながらこちらを見ているのです。

「大丈夫。貴方たちもぉ、死んだらあたしの不死身の騎士様になってくれるからぁ。安心して死ね。ただしカトリーナ。あんたはダメよ。あんたはここできっちり殺してあげるわぁ」

「させるか!! お嬢様、俺の背後に!!」

 アーサーは頼もしい背中で、私を守ります。
 ありがとう、頼りになります。

「アーサー!」

「承知していますお嬢様。シャイナ=ノービス!! 貴様を討つことに、なんの躊躇いもない!」

 アーサーの弓矢が引き絞られ、あっという間もなくシャイナに向かって放たれました。
 キュン……ッ!!
 闇を切り裂く勝鬨のような音をたて、アーサーの放った矢はシャイナの眉間にまっすぐ突き進みます。

「こわいですぅ、なぁんて」

 しかし、シャイナの目前まで迫った弓矢は空中で魔法をかけられたように留まり。
 威力を失って、地面に落ちてしまったのです。

「馬鹿ですねぇ。聖女のあたしに、弓矢など効きませぇん」

「なっ!?」
「いよいよもって面妖な……奴は本当に聖女の加護を受けているとでもいうのか、しかし」
「馬鹿を言うな御老人。御聖女様はお嬢様だ!」
「知っておるわい! シャイナ嬢のまやかしの種が分からんと言っておるんじゃ!」
「俺もわかりませんよ! でもカテリーナお嬢様のお力の方が強いに決まってる。なんであいつが謎のパワーを使えるのか考えてくださいよ賢いなら」
「なんじゃと、言うにことかいて」

「二人とも、静かにしてください」

「お嬢様……申し訳ございません」
「ううむ、失礼」

「シャイナは聖遺物を身につけています。だからアンデッドに襲われないのです。聖なる力を放つ聖堂服を着用しているため、守護されています。見なさい」

「むっ……」
「派手な外套に隠されていて気付かなんだか」
「確かにシャイナは聖堂服を身につけている!」
「あれが力を放っているのですねお嬢様!」

「そうです。まさか利用されるとは……」

 聖遺物。
 私は一つの答えを導き出したのです。
 私の前世が身につけていたものは、聖なる力を放ち悪霊を退散させる能力を放ちました。
 聖なる民が私のために一糸一糸、命をかけて織り込んだ、王国すべての教会の効果を詰め込んだ聖堂服。
 あの服は封印の穴を封じるため、私が死んだ今ではこのザールに安置されているはず。
 シャイナはあろうことかそれを勝手に動かし、着込んでいたのです。
 最近の悪霊の活性化の理由は、シャイナが封印の穴を開けたことに加え、聖遺物である聖堂服を動かしたからに他なりません。
 自分がアンデッドを招いておいて、シャイナ=ノービスはぬけぬけと聖女を名乗り、スティーヴに取り入った女なのです!
 許せません。
 


「うふ、あたしの肌によく馴染みますねぇ、この聖堂服はぁ?」


 シャイナは身勝手な理由で、私の前世の力を身につけ、利用していたのです!
 
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