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ペリュグリスは首をかしげ、ハープナーは再びため息をついた。
「兄上がニコの縁談に悩んでいることは知っているか?」
「いいえ…姫様に縁談の話があるのですか?」
護衛騎士なれたとはいえ、まだまだ一介の騎士にそのような話は入ってこない。
「ニコもそろそろ結婚してもおかしくない歳だ。ただ、唯一兄上の血を引くニコは婿を取らねばならん。そんな時に国内でクァンザ族の被害で大事になればニコの名に傷が付くも同然だろう?」
「そ、それは…。」
フェリディルの至宝とも呼ばれる王女様だ。婿入りしたいという話は国内外から来るのだろうとペリュグリスは人知れず胸を焦がす。
「もちろん村民を最優先にするなら王様に報告すべきだと言うことは分かっている。しかし………可愛い姪っ子なのだ…。私のせいで、曰く付きの姫になどしたくない…。」
頭を支えながらそう言ったハープナーは、ペリュグリスを見て苦笑した。
「こんな情けない姿を見せてしまって…幻滅させてしまったかな?」
「滅相もございません!」
「このことは、私もよく考えてなるべく早く解決するつもりでいる。だから、私が王様に直接話すまで、どうか、ペリュグリス殿の胸の内にしまっておいてくれまいか。…今、大事になると、ニコに申し訳が立たんのだ…。」
「分かりました。殿下のご心痛、お察し致します。」
その言葉はペリュグリスの本心だった。むしろ王弟殿下も葛藤に頭を悩ませ、そして姫様を大事に想っていらっしゃるのだ、と感銘を受けた。
しかし、ペリュグリスが一安心して戻った城には、すでに帰る場所は無かった。
「どういうことですか団長!」
団長の執務室に呼ばれ、突然の退任を言い渡されたペリュグリスは、だんっ!と机に両手をついて団長に詰め寄った。
「もうお前は騎士ではないと言ったんだ。」
「なぜ急に!納得行きません!理由をご説明ください!」
「理由?自分で分からんか?」
団長の冷たい視線に睨まれ、ペリュグリスは少し怯んだ。
「姫様の護衛騎士ともあろう者が、1週間もふらふらと遊び歩いて、許されるとでも思っていたのか?」
「そ、それには理由が…。」
「お前の行動は、姫様の威信をも傷付ける行動だ!恥を知れ!王様も大変腹を立てておいでだったが、お前の無責任な行動が退任だけで済んだのは、お前のお父上に免じてだ。忠誠心の厚いお父上に感謝するんだな。」
「お、王様が…。」
あまりのことに、誰が、どのように王様に伝えたのかということは考えらえなかった。
頭の中は、受け入れる他どうしようもないのだという絶望感でいっぱいだった。
「今日中に荷物をまとめて出ていけ。」
はい、と返事はできなかったものの、ペリュグリスは言われた通り出ていく他なかった。
ペリュグリスがとぼとぼと実家に帰ると、父ペテロスがすでに待っていた。
ペテロスは国で運営する民間用病院の責任者で、王からの信頼も厚かった。
ペテロスは息子の姿を見るなり心配そうに駆け寄り、自身の書斎へと招き入れた。
何があったのかと聞く父にペリュグリスが今までの事の次第を話すと、ペテロスは今までにないほど重く、深いため息をついた。
「一体どうなっているのか、私には…。」
「…ペリュグリス、すぐに国を発ちなさい。」
「どういうことですか父上。」
「あの方に睨まれたのなら、この国に…もうお前の居場所はない。」
「どういうことです?あの方とは誰のことです?」
「…ハープナー王弟殿下だ。お前は…殿下に憧れていると思っていたのに…なぜ疑うようなことを…。」
項垂れるペテロスに、ペリュグリスも懸命に弁解した。
「疑うなどとんでもございません!むしろ、とても慈悲深い方だと再認識していたところです。…父上は…殿下が私を退任させたと、そう仰るおつもりですか?」
「あの方はな、ペリュグリス、とても恐ろしい方だ。人心を掴む術をよく心得ている。」
なんのお話ですか、と未だハープナーを盲信するペリュグリスに、ペテロスは再び深く息を吐き出した。
「お前が北西部での話をした時、自分でも言っていただろう。民が王様に不信感を抱いても、ハープナー殿下は報告をしなかったと。」
「それは、姫様の為に…。」
「本当にそれだけだと思うか?」
違和感の核心を突かれ、ペリュグリスは呼吸が浅くなった。
「この国に、王様ではなくハープナー殿下が統治することを望む者が、どれほどいると思う?」
「父上、それは…!」
「ほとんどだ。騎士団と民を中心に、ほとんどの者がハープナー殿下に心酔している。王様が王位を継承する時から、既にハープナー殿下派は存在していたのだ。殿下が謙虚に地方へ自ら出向いたのはなぜだと思う?それを危ぶんでいた王様が殿下を地方へ追いやろうとしたのを、先手を打って志願したのだ。」
ペリュグリスは父の言葉をうまく処理できず、声を失っていた。
「結局それも、王様にとっては殿下派の不興を買うことになり、殿下にとっては美談となった。王様の知らぬところでクァンザ族の被害が起こり、その処理をハープナー殿下お1人に任せているなどという話が国民に広まったら…愚かなお前にもどうなるか分かるだろう?」
「…殿下を旗印に…暴動が?」
「…あの方の行動が、どこまで計算でどこまでが自然な流れかはわしには分からん。ただ、あの方にとって、お前が邪魔になったことは確かだ。」
ハープナーの闇を知り、ペリュグリスは盲信していた自分が恐ろしくなった。愕然として手が震える。
「父上…私は、どうしたら…。」
「だから国を発つのだ。この国にいたら、お前は命を狙われる身になるだろう。国を発ち、もう戻ってはならん。」
「そんな…。」
「アイローイへ行き、アイローイ王にわしからの書簡を渡すのだ。」
「なぜアイローイ王に?」
「アイローイ王はご両親、つまり先代のアイローイ王夫妻をクァンザ族に殺されている。わし程度の役職ではたいした重臣ではないと思われるかもしれないが、クァンザ族の名を出せば、耳を傾けてくださるかもしれん。」
「…分かりました、父上の言う通りにします。…父上はどうされるのですか?私のせいで危うい立ち位置になってしまったのでは?」
ふっと、ペテロスは苦笑した。
「わしは忠誠心が厚いなどと言われているが、本来どちら派でもないのだ。今まで通り、雨を避けながら、うまいこと流れに身を任せるまでだ。…ペリュグリス、もし殿下に問い詰められたらお前の独断であったと…そう言わせてもらう。…不甲斐ない父を許せ。」
「いいえ、全て私責任です。何も見えていないこの愚か者が、毒蛇の巣穴に首を突っ込んでしまったのです。ご苦労をかけてしまい、申し訳ありません。どうか、どうかご無事でいてください。」
ペリュグリスは急いで荷物をまとめ、ペテロスからの書簡を受け取った。
別れの挨拶をした後、父と息子はしっかりと抱擁を交わし、ペリュグリスはその日の内に出立した。
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
「これが、私がアイローイへ来た経緯です。」
ペリュグリスが話し終わると、しばし王座の間は静寂に包まれた。カルダが心配してちらりとニコを盗み見ると、驚いてはいるものの、意外と冷静に頭の中で処理ができているようで、泣き崩れたり、嘘だと糾弾するようなこともなかった。
ただ、静かに王妃の座に佇んでいた。
「余にその書簡が届いてからは、アイローイから斥候を送り、こちらで秘密裏に実情を調査していた。」
カルダの言葉にニコの瞳が揺れる。
「本当に…本当に叔父様がそんなことをお考えになっていたのですか?」
「事実だった。」
ニコは信じられず、目を見開いた。
ニコにとってハープナーは、いつも自分を気にかけてくれ、知らない知識や街の様子を教えてくれる、優しく賢明な叔父だったのだ。
「兄上がニコの縁談に悩んでいることは知っているか?」
「いいえ…姫様に縁談の話があるのですか?」
護衛騎士なれたとはいえ、まだまだ一介の騎士にそのような話は入ってこない。
「ニコもそろそろ結婚してもおかしくない歳だ。ただ、唯一兄上の血を引くニコは婿を取らねばならん。そんな時に国内でクァンザ族の被害で大事になればニコの名に傷が付くも同然だろう?」
「そ、それは…。」
フェリディルの至宝とも呼ばれる王女様だ。婿入りしたいという話は国内外から来るのだろうとペリュグリスは人知れず胸を焦がす。
「もちろん村民を最優先にするなら王様に報告すべきだと言うことは分かっている。しかし………可愛い姪っ子なのだ…。私のせいで、曰く付きの姫になどしたくない…。」
頭を支えながらそう言ったハープナーは、ペリュグリスを見て苦笑した。
「こんな情けない姿を見せてしまって…幻滅させてしまったかな?」
「滅相もございません!」
「このことは、私もよく考えてなるべく早く解決するつもりでいる。だから、私が王様に直接話すまで、どうか、ペリュグリス殿の胸の内にしまっておいてくれまいか。…今、大事になると、ニコに申し訳が立たんのだ…。」
「分かりました。殿下のご心痛、お察し致します。」
その言葉はペリュグリスの本心だった。むしろ王弟殿下も葛藤に頭を悩ませ、そして姫様を大事に想っていらっしゃるのだ、と感銘を受けた。
しかし、ペリュグリスが一安心して戻った城には、すでに帰る場所は無かった。
「どういうことですか団長!」
団長の執務室に呼ばれ、突然の退任を言い渡されたペリュグリスは、だんっ!と机に両手をついて団長に詰め寄った。
「もうお前は騎士ではないと言ったんだ。」
「なぜ急に!納得行きません!理由をご説明ください!」
「理由?自分で分からんか?」
団長の冷たい視線に睨まれ、ペリュグリスは少し怯んだ。
「姫様の護衛騎士ともあろう者が、1週間もふらふらと遊び歩いて、許されるとでも思っていたのか?」
「そ、それには理由が…。」
「お前の行動は、姫様の威信をも傷付ける行動だ!恥を知れ!王様も大変腹を立てておいでだったが、お前の無責任な行動が退任だけで済んだのは、お前のお父上に免じてだ。忠誠心の厚いお父上に感謝するんだな。」
「お、王様が…。」
あまりのことに、誰が、どのように王様に伝えたのかということは考えらえなかった。
頭の中は、受け入れる他どうしようもないのだという絶望感でいっぱいだった。
「今日中に荷物をまとめて出ていけ。」
はい、と返事はできなかったものの、ペリュグリスは言われた通り出ていく他なかった。
ペリュグリスがとぼとぼと実家に帰ると、父ペテロスがすでに待っていた。
ペテロスは国で運営する民間用病院の責任者で、王からの信頼も厚かった。
ペテロスは息子の姿を見るなり心配そうに駆け寄り、自身の書斎へと招き入れた。
何があったのかと聞く父にペリュグリスが今までの事の次第を話すと、ペテロスは今までにないほど重く、深いため息をついた。
「一体どうなっているのか、私には…。」
「…ペリュグリス、すぐに国を発ちなさい。」
「どういうことですか父上。」
「あの方に睨まれたのなら、この国に…もうお前の居場所はない。」
「どういうことです?あの方とは誰のことです?」
「…ハープナー王弟殿下だ。お前は…殿下に憧れていると思っていたのに…なぜ疑うようなことを…。」
項垂れるペテロスに、ペリュグリスも懸命に弁解した。
「疑うなどとんでもございません!むしろ、とても慈悲深い方だと再認識していたところです。…父上は…殿下が私を退任させたと、そう仰るおつもりですか?」
「あの方はな、ペリュグリス、とても恐ろしい方だ。人心を掴む術をよく心得ている。」
なんのお話ですか、と未だハープナーを盲信するペリュグリスに、ペテロスは再び深く息を吐き出した。
「お前が北西部での話をした時、自分でも言っていただろう。民が王様に不信感を抱いても、ハープナー殿下は報告をしなかったと。」
「それは、姫様の為に…。」
「本当にそれだけだと思うか?」
違和感の核心を突かれ、ペリュグリスは呼吸が浅くなった。
「この国に、王様ではなくハープナー殿下が統治することを望む者が、どれほどいると思う?」
「父上、それは…!」
「ほとんどだ。騎士団と民を中心に、ほとんどの者がハープナー殿下に心酔している。王様が王位を継承する時から、既にハープナー殿下派は存在していたのだ。殿下が謙虚に地方へ自ら出向いたのはなぜだと思う?それを危ぶんでいた王様が殿下を地方へ追いやろうとしたのを、先手を打って志願したのだ。」
ペリュグリスは父の言葉をうまく処理できず、声を失っていた。
「結局それも、王様にとっては殿下派の不興を買うことになり、殿下にとっては美談となった。王様の知らぬところでクァンザ族の被害が起こり、その処理をハープナー殿下お1人に任せているなどという話が国民に広まったら…愚かなお前にもどうなるか分かるだろう?」
「…殿下を旗印に…暴動が?」
「…あの方の行動が、どこまで計算でどこまでが自然な流れかはわしには分からん。ただ、あの方にとって、お前が邪魔になったことは確かだ。」
ハープナーの闇を知り、ペリュグリスは盲信していた自分が恐ろしくなった。愕然として手が震える。
「父上…私は、どうしたら…。」
「だから国を発つのだ。この国にいたら、お前は命を狙われる身になるだろう。国を発ち、もう戻ってはならん。」
「そんな…。」
「アイローイへ行き、アイローイ王にわしからの書簡を渡すのだ。」
「なぜアイローイ王に?」
「アイローイ王はご両親、つまり先代のアイローイ王夫妻をクァンザ族に殺されている。わし程度の役職ではたいした重臣ではないと思われるかもしれないが、クァンザ族の名を出せば、耳を傾けてくださるかもしれん。」
「…分かりました、父上の言う通りにします。…父上はどうされるのですか?私のせいで危うい立ち位置になってしまったのでは?」
ふっと、ペテロスは苦笑した。
「わしは忠誠心が厚いなどと言われているが、本来どちら派でもないのだ。今まで通り、雨を避けながら、うまいこと流れに身を任せるまでだ。…ペリュグリス、もし殿下に問い詰められたらお前の独断であったと…そう言わせてもらう。…不甲斐ない父を許せ。」
「いいえ、全て私責任です。何も見えていないこの愚か者が、毒蛇の巣穴に首を突っ込んでしまったのです。ご苦労をかけてしまい、申し訳ありません。どうか、どうかご無事でいてください。」
ペリュグリスは急いで荷物をまとめ、ペテロスからの書簡を受け取った。
別れの挨拶をした後、父と息子はしっかりと抱擁を交わし、ペリュグリスはその日の内に出立した。
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「これが、私がアイローイへ来た経緯です。」
ペリュグリスが話し終わると、しばし王座の間は静寂に包まれた。カルダが心配してちらりとニコを盗み見ると、驚いてはいるものの、意外と冷静に頭の中で処理ができているようで、泣き崩れたり、嘘だと糾弾するようなこともなかった。
ただ、静かに王妃の座に佇んでいた。
「余にその書簡が届いてからは、アイローイから斥候を送り、こちらで秘密裏に実情を調査していた。」
カルダの言葉にニコの瞳が揺れる。
「本当に…本当に叔父様がそんなことをお考えになっていたのですか?」
「事実だった。」
ニコは信じられず、目を見開いた。
ニコにとってハープナーは、いつも自分を気にかけてくれ、知らない知識や街の様子を教えてくれる、優しく賢明な叔父だったのだ。
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