16 / 64
16
しおりを挟む
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
ペリュグリスがニコの護衛騎士の一員になった頃の話だ。
ペリュグリスは休みを貰うと、しばしば街へ出掛けていた。体力作りの為に馬にも乗らず、街の裏路地を城との近道にして往復していたのだ。
その日も街で食事をし、仕事でもないのに街のあちこちを見回っていた。
少年に会ったのは、その帰り道だった。人よりもネズミや猫とよく出くわすような薄暗い路地裏で、服とも呼べないようなぼろぼろの布を纏った少年が石壁に寄りかかり、座り込んでいる。
治安が良く、こんなに豊かな街でも飢える子供がいるのだな、とペリュグリスは胸を痛めた。
「おい、大丈夫か?腹が空いてるのか?」
少年は、返事の代わりに力無い視線を送った。
ペリュグリスは手に持った袋からドライフルーツの混ざったパンを取り出した。同僚に頼まれた土産であったが、ペリュグリスに迷いは無い。
手の平程の大きさのあるドライフルーツパンを丸々少年に差し出すと、少年は荒々しく奪い取り、勢い良くかぶりついた。
「喉を詰まらせるぞ。ゆっくり食べろ。」
ペリュグリスはそう言って、その場を去ろうとしたが、突然少年が鼻水をすすって泣き出したのを見てぎょっとした。
「お、おいどうした?喉に詰まったのか?」
少年はぼろぼろの袖で涙を拭った。
「…誰もっ…オレの話をっ…信じてくれないっ…!」
子供の相手をすることに慣れていないペリュグリスはおろおろとすることしかできない。
「おっとうも、おっかあもっ…大変なのにっ!」
「あ、と…何かあったのか?」
「村が襲われたんだ!…ぅくっ…弟と、オレだけっ…別の村まで逃げて…。オレ…助けてっほしくてっ…ここまで来たのに…!」
「襲われたというのはいつのことだ?どこの村だ?」
「…あんた…信じてくれんの…?」
ペリュグリスは真剣な眼差しを少年に向けて、しっかりと頷いた。
「当然だ。私は王様に仕える騎士だ。村が襲われているなんて事態を見過ごすわけにはいかない。」
「王様に…?」
またしっかりと頷く。
そんなペリュグリスを見て、少年はごしごしと目を擦り、涙を止めた。
「西の…国境近くの…。もう…何日も経っちゃったけど…。」
こんな子供がそんなに遠くから来たのか、とペリュグリスは衝撃を覚えたが、次の言葉に、なぜ誰も少年の話を信じなかったのかが分かった。
「クァンザ族が、来たんだ。あいつら…あいつらが突然っ!」
目に涙を溜めながら悔しそうに憤る少年が嘘をついているようには見えなかった。しかし、クァンザ族が村を襲うなどという話はペリュグリスも聞いたことが無かった。村どころか、小さい被害さえ滅多に聞かない。
それというのもクァンザ族の住む火山方面、いわゆるフェリディルの北西部は、フェリディル王が絶対の信頼を寄せる王弟ハープナーが守護する土地なのだ。
ハープナーは20歳という若さで、王弟でありながら辺境の地である北西部の守護を自ら買って出るような勇敢な人物だった。それと同時に切れ者でもある彼は、次々とクァンザ族への対策を施行し、その被害件数を瞬く間に減少させるという功績を上げた。
だからといって城を建てたり豪遊したりということもなく、立派な兵舎を建てて、そこで仲間である騎士達と共に生活していたという謙虚さまで持ち合わせ、騎士達からはもちろん、民からも大変な人気があった。
もちろんペリュグリスも崇拝者の1人である。
だからこそ少年の言うことに、何か誤解があるに違いないと思った。
「信じて…くれる…?」
「…剣に誓って、調査すると誓う。」
涙を溜める少年の目から、雫が1粒きらりと落ちた。
「あり、がと…!」
城に戻ったペリュグリスはさっそく同僚に話したが、1人として真面目に受け取る者はいなかった。
「そりゃお前、同情煽って小間使いにでもしてもらおうしてたんだろ、はっはっはっはっは!」
そう聞いてペリュグリスは、なるほどその可能性もあるかと考えたが、調査することを剣に誓った事もあり、簡単に手を引くわけにはいかなかった。
何よりも、尊敬するハープナーの悪い噂の火種になりうるものを放置しておくことはできなかった。
ペリュグリスは最も信頼を寄せていた護衛騎士団の団長に話すことにした。すると、団長は同僚たちのように笑い飛ばすことなく真剣に聞いてくれた。その上、ハープナーが主導する北西部の騎士団に架けあい、情報提供をしてくれるという。
安心したペリュグリスは少年に知らせようと思ったが、街に下りてもあの少年に会うことは2度となかった。
しばらく経ったころ、ペリュグリスはふと少年の件を思い出し、再び団長に話を聞きに行った。
「以前お話した、クァンザ族の件はどうなったでしょうか?」
「ハープナー様の騎士団に情報提供したと言っただろ。」
「あ、はい。しかし、その後どうなったのか気になりまして…。」
「その後のことはハープナー様が処理なさったのだから、無事解決していらっしゃることだろう。」
「そう、ですよね。」
ペリュグリスの歯切れの悪い態度に、団長は見るからに怪訝な顔をした。
「まさか貴様、ハープナー様を疑っているのか?」
「まっ、まさか!違います!」
「では何が不満だ?」
「不満などありません!ただ…少年があまりにも哀れだったもので…誤解は解けたのだろうかと気になっただけです。」
ふむ、と団長はペリュグリスを品定めするような視線を送る。
「少年の行方は知らぬゆえ、誤解が解けたかは分からんが、北西部の事はハープナー様が調査してくださっていることだろう。」
「…はい。」
ペリュグリスはそれ以上は口を閉ざし、団長の元を後にした。
ハープナーのことを疑っていはいない。団長の事も信頼している。それでもペリュグリスの心にはわだかまりが残った。
あの少年の話は、何か誤解があるのだと思っていたが、ペリュグリスの胸の内は不安の色でざわついていた。
嫌な予感を感じたペリュグリスは、1週間の休暇申請を出した。北西部の状況を自分の目で確かめる為だ。
まさか少年の話が丸ごと真実などということはないと思い込んでいたペリュグリスは、旅人のふりをして訪れた村で聞いた話に驚愕した。
確かに村が丸ごとクァンザ族に襲われ、逃げてきた村人がいるというのだ。
その村が襲われた日、知らせを受けたハープナーの騎士団が駆け付けた時には、すでに村は崩壊していたらしい。それでもクァンザ族を追い払い、家を失った者たちに援助をしてくれている、とハープナーの騎士団は村人から感謝されいた。
ペリュグリスが違和感を覚えたのは、その話が王都にまで届いていないということだ。
ペリュグリスが敬愛するハープナーの真意をさぐるべく彼の元へ訪れると、ハープナーは随分と疲れている様子だったが、快くペリュグリスを歓迎してくれた。
「はるばる王都ノウラからよく来たな、ペリュグリス殿。」
「突然の謁見をお許し頂き、ありがとうございます、ハープナー王弟殿下。」
「…村を見てきたと聞いた。村が襲われたという話は悲惨であっただろう。」
「はい。…殿下も相当ご尽力されていると伺いました。」
「いや、当然のことだ。何より村が襲われるなど、私の責任に他ならん。家族や住処を失った村民たちにはいくら償っても償いきれぬ。」
頭を抱えてため息を吐くハープナーから、本当に心を痛めている様子が見てとれる。
「そんな…殿下のせいではありません。…しかし、なぜ王様に知らせないのですか?村人たちも、何もしてくれない王様に不満を募らせておりました。恐れながら申し上げます。すぐにでも知らせて、救援を求めるべきではないでしょうか?」
「そうしたいところなのだが…身内びいきと言われてしまうかもしれないが、ニコの為にも、なるべく大事にしたくないのだ。」
「姫様の為、ですか?」
「そうだ。」
ペリュグリスがニコの護衛騎士の一員になった頃の話だ。
ペリュグリスは休みを貰うと、しばしば街へ出掛けていた。体力作りの為に馬にも乗らず、街の裏路地を城との近道にして往復していたのだ。
その日も街で食事をし、仕事でもないのに街のあちこちを見回っていた。
少年に会ったのは、その帰り道だった。人よりもネズミや猫とよく出くわすような薄暗い路地裏で、服とも呼べないようなぼろぼろの布を纏った少年が石壁に寄りかかり、座り込んでいる。
治安が良く、こんなに豊かな街でも飢える子供がいるのだな、とペリュグリスは胸を痛めた。
「おい、大丈夫か?腹が空いてるのか?」
少年は、返事の代わりに力無い視線を送った。
ペリュグリスは手に持った袋からドライフルーツの混ざったパンを取り出した。同僚に頼まれた土産であったが、ペリュグリスに迷いは無い。
手の平程の大きさのあるドライフルーツパンを丸々少年に差し出すと、少年は荒々しく奪い取り、勢い良くかぶりついた。
「喉を詰まらせるぞ。ゆっくり食べろ。」
ペリュグリスはそう言って、その場を去ろうとしたが、突然少年が鼻水をすすって泣き出したのを見てぎょっとした。
「お、おいどうした?喉に詰まったのか?」
少年はぼろぼろの袖で涙を拭った。
「…誰もっ…オレの話をっ…信じてくれないっ…!」
子供の相手をすることに慣れていないペリュグリスはおろおろとすることしかできない。
「おっとうも、おっかあもっ…大変なのにっ!」
「あ、と…何かあったのか?」
「村が襲われたんだ!…ぅくっ…弟と、オレだけっ…別の村まで逃げて…。オレ…助けてっほしくてっ…ここまで来たのに…!」
「襲われたというのはいつのことだ?どこの村だ?」
「…あんた…信じてくれんの…?」
ペリュグリスは真剣な眼差しを少年に向けて、しっかりと頷いた。
「当然だ。私は王様に仕える騎士だ。村が襲われているなんて事態を見過ごすわけにはいかない。」
「王様に…?」
またしっかりと頷く。
そんなペリュグリスを見て、少年はごしごしと目を擦り、涙を止めた。
「西の…国境近くの…。もう…何日も経っちゃったけど…。」
こんな子供がそんなに遠くから来たのか、とペリュグリスは衝撃を覚えたが、次の言葉に、なぜ誰も少年の話を信じなかったのかが分かった。
「クァンザ族が、来たんだ。あいつら…あいつらが突然っ!」
目に涙を溜めながら悔しそうに憤る少年が嘘をついているようには見えなかった。しかし、クァンザ族が村を襲うなどという話はペリュグリスも聞いたことが無かった。村どころか、小さい被害さえ滅多に聞かない。
それというのもクァンザ族の住む火山方面、いわゆるフェリディルの北西部は、フェリディル王が絶対の信頼を寄せる王弟ハープナーが守護する土地なのだ。
ハープナーは20歳という若さで、王弟でありながら辺境の地である北西部の守護を自ら買って出るような勇敢な人物だった。それと同時に切れ者でもある彼は、次々とクァンザ族への対策を施行し、その被害件数を瞬く間に減少させるという功績を上げた。
だからといって城を建てたり豪遊したりということもなく、立派な兵舎を建てて、そこで仲間である騎士達と共に生活していたという謙虚さまで持ち合わせ、騎士達からはもちろん、民からも大変な人気があった。
もちろんペリュグリスも崇拝者の1人である。
だからこそ少年の言うことに、何か誤解があるに違いないと思った。
「信じて…くれる…?」
「…剣に誓って、調査すると誓う。」
涙を溜める少年の目から、雫が1粒きらりと落ちた。
「あり、がと…!」
城に戻ったペリュグリスはさっそく同僚に話したが、1人として真面目に受け取る者はいなかった。
「そりゃお前、同情煽って小間使いにでもしてもらおうしてたんだろ、はっはっはっはっは!」
そう聞いてペリュグリスは、なるほどその可能性もあるかと考えたが、調査することを剣に誓った事もあり、簡単に手を引くわけにはいかなかった。
何よりも、尊敬するハープナーの悪い噂の火種になりうるものを放置しておくことはできなかった。
ペリュグリスは最も信頼を寄せていた護衛騎士団の団長に話すことにした。すると、団長は同僚たちのように笑い飛ばすことなく真剣に聞いてくれた。その上、ハープナーが主導する北西部の騎士団に架けあい、情報提供をしてくれるという。
安心したペリュグリスは少年に知らせようと思ったが、街に下りてもあの少年に会うことは2度となかった。
しばらく経ったころ、ペリュグリスはふと少年の件を思い出し、再び団長に話を聞きに行った。
「以前お話した、クァンザ族の件はどうなったでしょうか?」
「ハープナー様の騎士団に情報提供したと言っただろ。」
「あ、はい。しかし、その後どうなったのか気になりまして…。」
「その後のことはハープナー様が処理なさったのだから、無事解決していらっしゃることだろう。」
「そう、ですよね。」
ペリュグリスの歯切れの悪い態度に、団長は見るからに怪訝な顔をした。
「まさか貴様、ハープナー様を疑っているのか?」
「まっ、まさか!違います!」
「では何が不満だ?」
「不満などありません!ただ…少年があまりにも哀れだったもので…誤解は解けたのだろうかと気になっただけです。」
ふむ、と団長はペリュグリスを品定めするような視線を送る。
「少年の行方は知らぬゆえ、誤解が解けたかは分からんが、北西部の事はハープナー様が調査してくださっていることだろう。」
「…はい。」
ペリュグリスはそれ以上は口を閉ざし、団長の元を後にした。
ハープナーのことを疑っていはいない。団長の事も信頼している。それでもペリュグリスの心にはわだかまりが残った。
あの少年の話は、何か誤解があるのだと思っていたが、ペリュグリスの胸の内は不安の色でざわついていた。
嫌な予感を感じたペリュグリスは、1週間の休暇申請を出した。北西部の状況を自分の目で確かめる為だ。
まさか少年の話が丸ごと真実などということはないと思い込んでいたペリュグリスは、旅人のふりをして訪れた村で聞いた話に驚愕した。
確かに村が丸ごとクァンザ族に襲われ、逃げてきた村人がいるというのだ。
その村が襲われた日、知らせを受けたハープナーの騎士団が駆け付けた時には、すでに村は崩壊していたらしい。それでもクァンザ族を追い払い、家を失った者たちに援助をしてくれている、とハープナーの騎士団は村人から感謝されいた。
ペリュグリスが違和感を覚えたのは、その話が王都にまで届いていないということだ。
ペリュグリスが敬愛するハープナーの真意をさぐるべく彼の元へ訪れると、ハープナーは随分と疲れている様子だったが、快くペリュグリスを歓迎してくれた。
「はるばる王都ノウラからよく来たな、ペリュグリス殿。」
「突然の謁見をお許し頂き、ありがとうございます、ハープナー王弟殿下。」
「…村を見てきたと聞いた。村が襲われたという話は悲惨であっただろう。」
「はい。…殿下も相当ご尽力されていると伺いました。」
「いや、当然のことだ。何より村が襲われるなど、私の責任に他ならん。家族や住処を失った村民たちにはいくら償っても償いきれぬ。」
頭を抱えてため息を吐くハープナーから、本当に心を痛めている様子が見てとれる。
「そんな…殿下のせいではありません。…しかし、なぜ王様に知らせないのですか?村人たちも、何もしてくれない王様に不満を募らせておりました。恐れながら申し上げます。すぐにでも知らせて、救援を求めるべきではないでしょうか?」
「そうしたいところなのだが…身内びいきと言われてしまうかもしれないが、ニコの為にも、なるべく大事にしたくないのだ。」
「姫様の為、ですか?」
「そうだ。」
0
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる