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敵襲来?
しおりを挟む裏口の方に行くと、誰かが立っていた。
男の人だ。短髪で、白シャツに黒い長ズボンをはいている。
辺りを見回しているところ、彼が『サヤシさん』?
「あの~」
恐る恐る声をかけると、男は鋭くこちらを向いた。
見た感じ、とても若かった。大学生だろうか?
「和泉……さん? ……ですか?」
学生らしき男は何かを探るように言った。釣り目を細めながら。
俺が和泉であることの確認というより、他の何かを探るような言い方だった。
「あ、はい」
俺が答えると、男は分かりやすく敵意がこもった眼差しを当ててきた。
「……こっちです……」
男はプイッと背を向けて先を歩いた。
(……え?)
俺、何か悪いことしたっけ……。いやでも初対面……。
「足元気を付けてください」
男は背を向けながら言い、階段を上がる。俺はその背を追いかけて、二階のスタッフルームに入った。
中は狭かった。
いや、狭くなっているという方が正しいか。
2リットルの天然水が入った段ボール、毛布や布団や枕が詰まった棚で部屋が狭くなっている。
(大丈夫……倒れそうになったら『お腹が痛い』って言ってトイレに逃げ込めば……)
部屋の中心には、パイプ椅子が向き合う形で置かれている。
「沢井さん、和泉さん来ましたよ!」
男が奥の扉に向かって大きな声で言った。
すると間もなく、扉が開いた。
「悪いわね、サヤシくん」
と、男に言いつつ扉から出てきたのはオバサンだった。
この人が沢井さんか。
声色通りの見た目というか、何というか。
ぽっちゃりとしていて、化粧は厚め。セットするのが面倒なのか、髪は超ショートカット。右耳につけている通信機の無線イヤホンが見えるくらいだ。
若く見ても四十代後半。五十代だろう。白シャツに、黒めのズボンを穿いている。ズボンの後ろポケットには通信機本体が雑に刺さっている。
「じゃあ、お願いします」
と、男は……サヤシさんは、沢井さんが入ってきた扉を経由して奥の方に行った。
「じゃあ、始めましょうかね、面接」
沢井さんは言った。
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